毎年夏は気力も体力も限界との闘いであり、特に最近の数年は、本当に厳しい勤務状況でした。今年は夏休み前に突然体力の限界で辞めた人が出たこと、家族の事情で急に来られない人も出たので、格別に人手不足の夏になりました。
社長も毎年夏は一日17時間労働です。今年は一日も休めなかったため、疲れのために夕食が喉を通らない日もありました。従業員も、中抜けの時間はあっても、休みは満足に取れない日が続き、疲れと苛立ちで社内の雰囲気は良い状態では有りませんでした。
繁忙期は派遣社員も入れますが、それなりに手が掛かる為、教える方で気がとられている分お客様にご迷惑をかけたり、また派遣社員の方でも遠慮して協力を要請しなかった為に、お客様をおまたせしたりした事もありました。
私も午後から出勤の日はありましたが、それでも普通の会社の労働時間です。朝からの日はもちろん12時間から14時間働きます。しかもそれは、忙しい時も忙しくない時も同じです。お客様のクレームや従業員の悲鳴や不満も全て私の耳に最終的に入ります。また、自分が一般社員だった時の気持ちから、推測も出来ます。家庭内の悩みやトラブルもありますから、本当にぼろぼろに疲れきりました。昨年も同じ思いになったことを思い出しますが、特に従業員の顔色を見ていると、無理をさせていることが忍びなくて辛くなります。経営は、経費削減の努力で成り立っている部分が大きい為、余計に責任を感じます。
自分にはやはり女将業はつとまらないと思い、接客スランプにもなりました。夏のお客様は、ゆったりとしたおもてなしがしづらい部分もあり、お客様と心を通わせたい私としてはやるせない季節でもあります。
接客が好きな私ですが、接客以外の部分での心労が大きく、聞き流しが出来ないという生真面目すぎる性格も、追い討ちをかけます。いくら経費をかけられないとはいえ、人手不足は在籍している人の体をいためます。辞めたり入ったりがひんぱんなことも、新しい人が入ればそれなりに気を使い、安定して勤められるようになるまで見守るので、急に辞められると、やはりがっかりします。
ある程度つとまって、これから本格的に期待しようとした途端に、家庭の事情で辞めることになる人、こちらが稼がせてあげよう、他の人と平等にしようと思って勤務させていたら、本人はありがたくないと思っていたということも。
暇になれば、打って変わって稼げないから辞めるという人が必ず出てきます。経営者は一人一人のその時の気持ちを十分に理解してあげて、納得いくように勤めていたら、恐らく体がつづかないでしょう。
何においても自分に経営者としても力が足りていないのだと、そう思わざるを得なくて、社長や常務のように、「いちいち気にしてなんかいられないよ。」と突っぱねられないのも、経験や力不足によるものと思います。そんな時に、私が尊敬しているある方が紋屋にお見えになり、「今旅館の女将さんは何もしていない人が多いですよ、象徴として存在しているだけ。」と言われショックを受けました。もちろんそういう旅館もあるかもしれませんが、昔からのイメージどおり、擦り切れるまで働いていると言うのが紋屋では本当のところです。
「社長もうちでは小間使いと同じだよね。」と言っていた社長自身もぼろぼろになりかけていますし、本当にそんな優雅なかたがいらっしゃるのでしょうか。本来はある程度任せられる支配人をおいて、自分はもっと統括的な立場で様々なおもてなしや宿作りを提言した方が、宿は繁盛するのかもしれません。特に私は様々なことに敏感すぎるのでしょう。この人はお友達が日曜日がお休みなので、日曜日にできればお休みをあげよう。この人は午後からのお休みの方が、家庭の事情からいいらしい。この人は体力が無いから、この辺でお休みをあげないと続かないだろう、この人は足が痛いからなるべく人数が少ない部屋にしてあげたらどうか等など。
お客様の細かい部分に気を使いながら、従業員のみんなにも同様に気くばりする。体も頭もいくつもないと心底女将が嫌に成ります。私がそこまで気を使っていることなんて気がついている人はごく一部。「私たちの苦労が分かっていない。」と思っている人の方が多いのです。社長は「そういう人は、女将の苦労が分からないんだよ。女将にもなれるわけじゃない。」と言ってくれますが、ある意味では何を言われようと毅然として、見下すくらいの迫力が欲しいです。私が百貨店にいたときも、チーフから「いちいち気使っていたら私がやってられないわ。優しい人と意地悪い人がいて丁度いいのよ。」といわれたことを思い出します。
上に立つということは、難しいです。何事が起きても動じないこころが欲しいと、今までにも書いてきました。ここへ来てやはり私には無理なのかと、大きな壁に突き当たったような思いです。人間は誰でも壁に突き当たっては、立ち止まり考え、又歩き始めます。それでいいのかもしれません。成長する為にも、壁は必要なのでしょう。とにかく少し休んで英気を養い、自分自身を見つめなおしてみようと思います。考えてみれば、勉強以外の旅行も、ここ数年していません。たまには仕事を離れ自分を違った空気の中に入れてみることも大事です。初秋にでも計画してみようと思います。
新しいことに挑戦してみる。珍しいセミナーを受けてみる。そういうこともいいかもしれません。毎日が忙しすぎるのも今日が最後。しばらくは息がつけます。何か楽しそうな情報があったらお知らせください。
みなさまも夏の疲れが出ないようお気をつけ下さいね。・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
◆素顔の女将◆
「百貨店を辞めてから身体測定してないなぁ~」と家内が言う。いまさら身長や座高を測ってどうするの? してないのは健康診断でしょうが!(by aruji)●おまけの息子●
東京にいる家内の息子を、コンピューターのデータ入力のために呼び寄せた。
その息子と母の食事時の会話。
   息子:「おばあちゃん、料理うまくなったねぇ~!」
   母 :「そうかい?」(と嬉しそう)
   息子:「うん、美味しいよ。
       前は賞味期限切れとかあったからなぁ~」
   母 :「・・・・・」
こりゃ、褒めた事にならないわ(笑)           (by aruji)

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