新しい食事処
紋屋では数年前からずっと計画していた食事処を、近々やっと完成させる運びとなりました。何しろ予算が無いので、もうずっと計画しては計画倒れの連続で、何時になったら出来るのかとため息混じりの構想でした。
本来は、しっかり壁で仕切られている食事部屋が一番望ましいのですが、今はしっかりした壁を設けていないところが多いようにも思います。さまざまなレストランや飲み屋さん、お料理屋さん、又旅館でも、コストダウンするために違った方法をとっているのです。きちっとした壁を作ってしまうと、その次のリニュアルも大仕事になります。今回はデザイナーさんの指導で、私達も思いもよらなかった、布地を垂らした小間仕切りというアイディアで食事処を造ることになったのです。しかも布は着物生地で、和の雰囲気を出すと言うもの。かなり変わったイメージで出来上がりました。
細かい部分で想像とははるかに違うものになりましたが、お客様からのご意見が凶と出るか吉と出るか、今はドキドキしています。着物生地選びの時も、デザイナーさんと趣味が合うかが心配でした。実際は意外と問題はなかったのですが、実際に生地をかけてみると、反物だけで見ていたときとはかなりイメージが違いました。また、透け感が出来てみると思ったより強く感じ、もう少し厚手の生地にすればよかったかなとも思いました。
寸法の問題で、各ブースで生地と生地の間の隙間が気になったり、ブースの形や入り口の大きさなどがやはり問題になったり、何に於いても完璧な仕上がりというのは、図面上だけでは計り知れない部分が出てきました。
座卓の高さや色、材質などそれぞれ細かい所まで打ち合わせをして、好きなものはいつも値段が高くてしかも傷がつきやすく、なかなか使うことが出来ません。
エアコンの位置や照明の向き、照度、これも出来てくると少しずつ不満が出て、造る事の難しさを感じます。私は装飾用の額作りを担当しました。墨の書の作品を自分で書いたのですが、時間が無くて先生にも(書家の石飛博光先生)、額装をお願いした書道用品のお店にも、かなりお力添えを頂きました。最近、レストランではなくお部屋で夕食という旅館は、かなり減っています。どうしても手間がかかり、また客室係のやり手の減少が一番の理由です。房総などよりもっと歴史ある京都などでも、今は客室係のなり手がないと聞いています。
私が客として泊まる時は、別な場所に移る方が、自分たちの部屋に頻繁に人が出入りせず、かえって良いと思っています。この頃のお客様のなかにも、自分たちで選べるほうが良いというご意見や、もともと別部屋が良いとおっしゃるお客様もいらっしゃるようになってきました。それに反し、小さいお子様連れやご年配のお客様を中心にお部屋出しも根強い人気があります。
食事処は、今の段階ではまだ6部屋分しかありません。でも今後は、なるべく食事処を作って部屋食を極力減らしたい、というのが私たちの考えです。特に紋屋はエレベーターがありませんし、お料理を運ぶベルトコンベアもありません。導線が長いために、温かい料理や冷たい料理を、時間の経過なしにお出しするのが非常に難しいのです。
また、おもてなしする側も階段の上り下りで忙しく、細かなおもてなしをできる余裕がなくなります。働いている人にとってもお客様とのコミュニケーションは大事であり、ゆっくりと落着いてお客様のご要望を伺いたいのです。はじめてのお食事処は、布地で仕切っているのでお隣の声は聞こえてしまいます。また、禁煙喫煙の問題も出てきます。紋屋では健康増進法が発令されてから、狭いながらも喫煙コーナーをつくり、ロビーを禁煙にしました。アンケートで「禁煙にして欲しい」というご意見が多く、これも長年にわたってやっと完成したのです。何に於いてもお客様のご要望は多岐にわたり、すべてのご要望は伺いきれません。なるべくなら、どのお客様にとっても納得の行くかたちで、スムーズなご案内ができればと念じています。
これから少しずつ個室化を勧めていけば、団体のお客様は承れなくなります。同時にカラオケも廃止しましたので、いよいよ個人のお客様だけの宿屋となりつつあるのです。宿のターゲットの絞り方も、今後の紋屋のあり方に大きく影響してくることでしょう。提携旅行会社の選別を含め、自分たちが進むべき道の模索を繰り返し、今より更に個性ある宿屋を目指していきたいと思います。
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◆素顔の女将◆
家内は自宅で暇があると、携帯電話に付いてるゲームのソリテアをよくしている。私も携帯用のパソコンで一緒にやったりするが、携帯電話と違ってスピードが早いので、何度も出来てクリアする回数が家内よりはるかに多い。あまりの違いに家内は、「その機械とできてるんじゃないの?」と不可思議な疑いを私にかける。どうやってたら、機械といい仲になれるんだぁ!?
(by aruji)

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