間違いにご用心

一年のうち何度か、ご予約が入っていないお客さまが、「予約しています」と突然お越しになることがあります。大概はこちらの予約伝票の書き間違いなどによるのですが、いろいろなドラマがそこに生まれます。
ネット予約で取り消しになったはずのお客様が、お越しになったことがありました。メールアドレスが旧姓になっていて、たまたま同姓のお客さまが同じ日に予約が入っていました。その同姓のお客様がお取消になったのですが、取り消しになっていないお客様の方を取り消してしまったのです。
また、お越しの途中からのお電話で、そのお客様がいらっしゃるのは南紀の白浜だと分った時もあります。勘違いなので、こちらはキャンセル料金なしで取り消しましたが、向こうで良いお宿があったか心配です。その他にも、伊豆の白浜と間違われていた事もありました。お客様がお持ちになった旅行会社のクーポンを見ると、明日の日付である場合もあります。1ヶ月先という時もありました。お部屋が空いていればすぐに対応が出来ますが、空いていない場合は他の旅館さんをご紹介するという運びになります。そのお持ちのクーポンは、照会先の宿が好意的であれば、次の日の振替になります。
またお部屋は空いていても、そのお約束内容の部屋は空いていない、という時もあります。その場合は、やはりクーポン券面の記載事項、もしくはこちらがお出ししている予約確認書が一番の証拠になります。先日も、ある旅行雑誌のお客様のご予約で、こちらが料金を見間違ってしまったことがありました。お客様に間違って安い料金の内容で対応してしまいましたが、お客様は正当な料金を覚えていらして、ご清算の時に料金が違う事に気が付き、クレームが発生してしまいました。
また先日は、前日不着(ご予約日に来ない)で、次の日にお越しになったお客様がいらっしゃいました。その方々は、旅行会社からのお客様で、前日は夜遅くまでお料理を準備してお待ちしていましたが、結局お越しにならなかったのです。
翌日いらっしゃって出されたクーポンは、前日の日付になっていました。旅行会社に問い合わせると、「クーポンを渡す時に、お客様に日にちを確認して頂いていますから、こちらの間違いはありません。」と言っていました。
お客様は「明後日と言った」 旅行会社は「明日と言った」と言っています。どちらが正しいのかは、その時のビデオテープでもなければ分りません。
旅行会社は、キャンセル料金をいかなる場合もしっかり取ります。お客さまがお支払いになったクーポンは、もう全額徴収になってしまいます。ご到着早々、不穏な空気に包まれました。
こちらは何も悪くはありませんが、お客様としては二重に料金を払うことになり、大変な出費になってしまいます。一緒にいらっしゃったお子様方に、今更帰るとも言えないでしょう。それではあまりにもお気の毒なので、かなりお安くしてお泊まりいただきました。旅行会社は、決まりを一人の意見で換えることは出来ません。また、言った、言わないで争っても結論も出ません。日にちが印字されているものが、やはり最優先となります。
こちらがお客様のお気持ちに同調したために、余計に旅行会社の方は非難の対象になってしまったかもしれません。どちらの気持ちも良く分ります。実際はどちらのおっしゃった方が正しかったのでしょうか?よくお客様は「書いてある文を見なかった」とおっしゃるのですが、実際のところ、書いてあるものについては、特に予約の確認書やクーポンは、よく確認する必要があるものなので、やはり確かめるのが本来は筋ということになるでしょう。しかし人間ですから、こちらの言い分が正しいとしても、お客様側は納得が出来ないという場面に良く当たります。
そうしたときに突っぱねるべきかどうかと言うのは、そのときの状況や客層、場面場面で違ってくると思います。しかしながら、接客の仕事の一番大切な部分は、お客様のお気持ちや言い分を十分に聞いて差し上げること、理解を示すことです。
いかなる場合も、お客様の言いなりになるということではないのです。何でも安くしてあげるとか、ただにするということではなく、お客様の抱えている状況に、こちらが誠意を示せる内容かどうかということが基本になります。今回の、次の日にいらしていただいたお客様は、故意に間違ったわけではありません。前日に無駄になったものの分は、旅行会社からいただけます。次の日の分は、利益などありませんが、とにかく沈鬱な表情でずっとお過ごしいただくのが辛いと感じました。
家族旅行は楽しくなければ、お金を使う価値がありません。私共の対応が良かったのか、お夕食の頃にはもうニコニコしていらっしゃって、本当に良かったなと思いました。こうした事件を経験することも、今後の勉強にもなります。
旅行会社は個人の会社のようには行きません。お客さまは「同じお金を払うなら、こちらに落とせばよかった。」とおっしゃってくださいました。何より、なんともいえない怪訝な表情が消えて、爽快な笑顔を拝見できたことに、私は接客業の喜びを感じました。
損をしなければ、今後の紋屋のお客様になってくださればそれでいいと、このお客様に関しては喜んで頂いてホットし、感謝してくださることに何やら涙が出て参りました。
接客の現場は、様々に考えさせられる場面に出会います。私たちは気持ちの良い接客をして、やはり喜んでいただくことに喜びを見出します。それがいつか大きく実ってくれたら嬉しいですね。・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
◆素顔の女将◆
とても身長の高いお客様がいらした。家内は「何をしてる人だろう」と私に聞くが、例えば車のディーラーさんはみな長身だとか、ラーメン屋さんは背が低いとかと言う、職業と身長の関係は無いんじゃないの?(by aruji)

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