心遣いの宿として
最近の私の仕事は、人の手配とお部屋割り作りが一番重要なものになってきています。ホームページで、私たちの宿にエレベーターがないこと、旧式なお部屋もあること、駐車場が狭いことなど、正直にデメリット表示しているのに、それがかえって信頼に繋がってきています。今はお花摘みのシーズンなので、土曜日や連休は殆ど満室ですが、高齢のお客様のお祝いなどで、ご家族さまがお揃いになる事も多く、そして足が悪いお客様も非常に多いのです。
ホームページで足が悪いお客様には出来る範囲で配慮します、と書いてあるので、エレベーターがないにもかかわらず、足が悪いお客さまが大勢いらっしゃる日もあります。
また、小さいお子様連れに多くの配慮をしている為に、小さいお子様連れのお客様も非常に多く、お部屋割りがとても辛い状況を迎えています。
ある意味では、私が考えてやってきたことが皆当たっていて、皆様からご支持いただいて、非常に嬉しいことなのですが、やはり4階建てでエレベーターがないことは変わりありませんし、お部屋数も決まっているので、配慮が出来ない状況を迎えつつあります。
そうなってくると、このさき更におもてなしの質を向上するために、予約の状況を早い時点で見極めなければならなくなりそうです。もちろん平日は何の問題もありませんが、土曜日や連休、最近の日曜日もやや辛い状況です。「できる範囲」という言葉を使っていますが、言葉通り、できる範囲には限りがあります。その限りがお客様には見えにくいのが、また現実の厳しさになります。
なんでもして差し上げたいのは山々ですが、私共は小さい宿なので、従業員もギリギリの人数でこなしています。有り余るほどの人材を雇用できる余裕があれば、もっと多くの心遣いも出来るのですが、残念ながら現状では難しい状況です。私もこの宿に来たばかりの頃は、宿の実情も分らなかったので、レジャー施設まで迎えにきて欲しいというお客様の要望を、軽い気持ちでお受けしてしまい、社長に叱られてしまいました。その施設は比較的私共の宿に近い場所でしたが、往復20分以上かかってしまうために、そのお客様一組に人を用意できないのでした。
先日も、やはりレジャー施設に迎えにきて欲しいとお客様から電話があったのです。次のバスまで1時間もあるとおっしゃるのです。寒い日でしたし、普段はお受けしていなくても、お受けして差し上げたかったのですが、丁度お客さまが次々にご到着なさって、余裕がない時間帯でした。その日は社長が出張で、フロントも手薄でしたし、どうしてもお迎えにいける状態では有りませんでした。
そのお客さまは、大変ご不満なご様子でした。タクシーも呼ぼうとしたら直ぐにいけないという返事だったそうです。田舎なので、タクシーの台数も足りないのです。
ご到着が遅くなったので、担当係のその他のお客様はみなさんご到着になっていて、ご要望のお食事時間もお取り出来ませんでした。一度不満を感じると、次々に不満になるものなのです。お客様のお気持ちは、充分に理解が出来ましたが、もし私がその立場だったら、先にバスの時間を調べておいただろうと、思いました。かりに、思いつかなかったとしても、迎えに来てくれるのが当然だろうと考えるかは微妙です。心遣いというものは、どんなことでもして差し上げるという意味ではないのです。お客様のご要望であっても、してはいけないこともあります。
私たちは、本当にして差し上げたいことが実際に一杯あります。それができるように、いま、はじめている小さいお子様連れへの配慮もそのひとつです。お荷物をなるべく少なくして差し上げたいと、貸し出しグッズの充実に力を入れています。エレベーターはなくても、お部屋でお食事の時に、立ったり座ったりしやすいように、低めの和室用椅子を用意したり、近い将来にはベッドルームも少しは作りたいと考えています。
段差だらけではありますが車椅子もひとつご用意し、玄関とフロントから1階に上がる数段の階段にも取り外しのできるスロープもご用意しています。ある意味では、お部屋割りに苦しむくらいに、今まで努力してきたことが実を結んでいるのです。ありがたいと思います。何所までしてさしあげられるか、線を引くのは、お客さま側とお迎えする側では、若干の相違があります。
正当な範囲の中で、充実したおもてなしと心遣いをさり気なく示せる宿に、毎日すこしづつ成長しよう。たとえ出来ないことであっても、お客さまが思っている要望の背景くらいは察して共感して差し上げたいなと、私は考えています。
そして、優しい気持ちでお迎えしていることを、「やってくれて当然でしょ」と受け取らずに、「ありがとう」とおっしゃっていただけたら、私たちは嬉しいですし幸せなのです。お互いにハッピーでありたいですね。・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
◆素顔の女将◆
家内が作成した翌日のフロントシフト表を見た。フロント・能条さん(男性)の欄に「ぬいもの」と書かれている。「ん?」と思ったら、となりの欄がフロア係り・白石さん。家内が欄を書き違えたようだが、フロント・能条さんも明日の仕事が「ぬいもの」では、驚いたことだろう(笑)(by aruji)

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