プライバシーとコミュニケーション
先日、3泊したお客様のアンケートに、「余計な干渉は控えることと、コミュニケーションのバランスを一考された方が良い」というご意見をいただきました。
2泊は個室風の食事処で、最後の1泊がお部屋食でした。お部屋食の時は、係も個室風のお食事処よりも話はできるはずですし、お布団敷きの者とも会話はできるはずです。私もいつもタイミングが合わなくて、最初のチェックインの時しかお目にかからなかったので、少しその言葉が気にかかりました。しかも最初の日はフロントが非常に手薄な日で、自分でもろくな接客が出来なかったと感じていた日でした。
お客様が望んでいらっしゃる気持ちを、言葉ではなく表情や雰囲気で感じ取ること。簡単なようで難しいです。そのお客様は、どちらかというと干渉されたくないお客様に見えました。本来、私が築きたい接客の世界は、お客様と心の交流を図れるような世界です。そうした意味では、宿屋は1回お越しいただいただけでは、なかなか難しいところがあります。
普段からお客様のお部屋に行かなくても、廊下でお目にかかったら、なるべくお声をお掛けするようにはしています。お子様を抱いていたら、お子様のご機嫌を伺ったり、浴衣が小さそうだったら、お取り替えしたり、お風呂から出られた後のときは、湯加減を伺ったりしています。
そうした小さなお声掛けはとても大事な事です。でも、お目にかかれない方も多いのも事実です。お部屋で寛いでいらっしゃるところへ伺うのは、見分けやタイミングが難しく、かなり厳選もしなければなりません。
いま、お部屋に伺っているのは、お祝いのお客様や、フロントで私へのコメントがあった方や、事前にメールをかなり交わしている方、お内金の振込み書に「楽しみにしています。」というメッセージがある方などです。お客様と触れ合いたい、疲れた体と心を癒して差し上げたい。そういう熱い思いをいかに少ない場面で実現していくのか。できない事が多く、館内の案内の字を自筆で書いたり、細かなおもてなしを見てわかっていただけるように工夫することで、少しづつ進めてきました。
メルマガを読んでくださっている方は、初めていらしていただいても、まるで以前からの知り合いのようにお話しができるのですが。お越しになるお客様の恐らく95パーセントの方は、もう2度とお越しにならない方々として去っていってしまいます。
私たちの工夫や努力を感じ取って下さって、何度かいらっしゃっていただければ、段々従業員の顔や名前まで覚えて下さり、私たち経営陣の顔も判り、いろんな世間話に花を咲かせることもできるようになります。最近の出来事の話しができたり、小さな悩みのグチをこぼしあったりできて、家庭的なホットな気分に浸っていただける。私たちも同様にやさしい気持ちになれます。
1回だけで去ってしまう、お互いに全く忘れてしまう。そういう方がほとんどで、何回かお越しになっても、全くお互いに親しみがわかない方もあるのは残念です。心の通い合いがどこかにもてなければ悲しい。それが私の正直な気持ちです。
宿屋では、それをなかなか創り上げるのに時間がかかり、しかもできにくいのが実情です。疲れた体を休めにお越しになっていらっしゃるお客様を、そっとお見守りするにとどまり、心と心の接点が何ももてないで終わる事のほうが多い。旅館業になかなか気持ちがのめりこめない悲しさが私には、入社以来ずっとありました。昨年の秋くらいから、おかみが挨拶に行ったって、どうせ喜んでなんてもらえないし、といじけてしまい、干渉されるのが嫌いなお客さまでさえ、どこかで心の温かさを感じたい、感じれば気持ちがいいのだとわかっていても、接客スランプになっていたのでしょう。気持ちのどこかがマイナスに動いていました。
でも、今回のお客様が書かれたアンケートを拝見して、やはり気持ちが前向きになっていなければいけないと反省しました。もちろんそのお客様は、私の事を指摘したのではないと思いますが、良いきっかけになったのです。私は、皆を引っ張っていかなければならないのですから。私は、いつもお客様にとびっきりの笑顔と温かさを提供できるようにしよう。私の動きひとつで、ものすごくいろんな事が変わるのだからと。
どんな人間にもスランプは必ずあり、そのスランプを抜けることで、また成長も出来るのでしょう。ちょっとしたきっかけを大事に、チャンスを掴んでいけたらと思います。・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
◆素顔の女将◆
花粉症の私同様、マスクをしている人を見ると、私は「おお、友だ!」と何か親近感を抱く。先日、テレビ番組で花粉症で苦しんでいる猿が紹介されたところ、「ほら、あなたのお友達よ」と家内が教えてくれた。だが、花粉症の猿と友達になっても、全然ウレシクナイ!(by aruji)

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