オンシーズンとオフシーズン
観光地には、通常オンシーズンとオフシーズンとがあります。房総のオンシーズンでは、猫の手も借りたいほど忙しく活気もあるのですが、オフシーズンでは全く別の土地になったように、ぱったりと静かになります。
オンシーズンでは、従業員はお休みもろくに取れなくて、みんなストレスと疲れで、肉体的にも精神的にも非常にきつい状態ですが、オフは、パート社員さんは、めっきり出社回数が減ってしまいます。経営者側は、オンに人を多く雇い、オフは減らすというわけに行かないので、非常に悩まなければなりません。オフは布団干しや座布団カバーの取替え、皿の棚卸、ボイラー工事や改装工事、備品の破損状況を把握して、修繕したり注文したりと、普段忙しい時にはなかなか出来ないことを集中的にやる時期でもあります。
このように勤務にばらつきがあるので、以前は客室係、内務(布団敷きや皿洗い)フロントと分けていましたが、今はどの部署もやっていただける方を入れるようにしています。
そしてその人が一番向いている部署に、最終的には一番多く当てはめるようにします。見た目や言葉の響きから、旅館業はなかなか人が集まりませんが、最近は、世の中の就職状況が悪いせいか、結構若い方も面接にお越しになるようになってきました。
新しい方がどんどんはいってきては辞め、その度に非常に気を使い、完全に軌道に乗るまで見守るのは、意外とストレスがたまる仕事です。次の繁忙期にどれくらいの人の補充が必要か、また補充した人が続いてくれるか、何時も人の問題はついてまわります。
静か過ぎるのは、こちらとしては哀しいことですが、お迎えする側は、一人一人のお客様の印象が鮮明に残り、働く人もお休みが十分に取れているので、比較的良いおもてなしがし易い時期ではあります。そういうときこそ、いらっしゃれば良いのにと思いますが、地域が一丸となって自然を生かした産業を興していない。また、個々の旅館が、独自の魅力作りを今ひとつ出し切れていないことが、多くのオフシーズンを作り出してしまっているのでしょう。
南房総は、早春のお花のシーズンと夏しかお客さまが行かないと言われます。でも、山あいの宿屋さんでは、秋の紅葉狩りのシーズンでなくても、結構お客様はいらしています。冬はスキー、夏は避暑地として。また、春秋に向けてハイキングロードを整備したり、ハーブ園や美術館を作ったり。
今人気の湯布院や黒川温泉でも、ご自分たちで木を植えて景観を作り、町を上げての雰囲気作りに取り組んできた成果として、にぎわっています。
町を上げてのことには、全ての旅館の意思や行政の観光課の意見一致、地域住民の理解が必要です。簡単には、ことは進みません。でも、諦めずに地域としての魅力作りと個々の旅館の個性作りを少しづつでも作っていかなければなりません。先日、社長が大学教授をお呼びして、「海洋浴」の研究会を旅館組合で開催しました。海辺で大気浴をすると、新陳代謝が高まり、炎症の鎮静効果があるというのです。ドイツでは医療として保険の対象にもなっていて、5月6月は保養のお客様で大変忙しいのだそうです。
ドイツでは、海岸に小屋を建てて、そこで何時間もボーっとするだけで、大変体に良いとされているのです。そういえば、以前にドイツからお客様がいらしたときも、かなり長いこと、岩の上でじっとなさっていて、それがとても絵になっていたことを思い出します。
せっかく自然に恵まれているのに、白浜ではまだまだ何も生かしていないと先生から言われました。私自身も、この土地に来てもう8年目だというのに、何回海岸を歩いたことか。恐らくゆっくり自分のために歩いたのは、本当に数えるほどです。そうした時に覚えた潮の香りや、波の音、海風の気持ちのよさ、大きな岩から感じるなんともいえない「気」のようなもの。もっと自分自身が実感しなければいけないですね。何時も同じ視点で考えることなく、新しい視点でちょっとした工夫やアイディアを育て上げたいものです。
努力しているつもりでも、やはり努力は足りていない。何から手をつければいいのか、先に何をすればいいのか、オフが来る度に、何時も立ち止まり、様々な思いをめぐらせる私たちです。・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
◆素顔の女将◆
「あなたって、笑うとラセン状のしわが出来るのね」と、私の笑い顔を見て家内が評する。ラセン状のしわが出来る顔ってどんなだ!?放射状でしょうが!(by aruji)

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