掃除屋さんとの闘い
景気が良かったころは、すべての業務を紋屋の従業員がこなしていました。時代が流れ、なるべく少ない人材で旅館を経営していかねばならなくなり、繁忙期だけ派遣スタッフを入れたり、清掃業務を外注にしたり、様々な工夫をしてきました。
自社社員であっても、こちらが思うとおりに動いてもらうには苦労しますが、外注となると、さらに難しくなります。特に清掃スタッフは、もともとお客様の前に出るのが苦手な性格の人が多い為か、細かい配慮は殆ど出来ません。こちらがお願いしても、なかなか良い伝わり方になりません。
最近はチェックインが特別早いお客様も多く、そうなると、それに対応できなくてはならなくなりますが、『どうしてこんなに早く入れるのよ。』と不満をたらたら言っているそうです。
プランごとに、チェックアウトの時間も違うのに、まだお客さまがいらっしゃることなど何のその、平気で使用済みの浴衣やシーツ、ゴミ袋などを廊下にちらかし、こちらが注意するとやはり不満顔です。
次の日は改善しているかといえば、又同じことが繰り返されます。毎日同じスタッフが来ないことも有りますが、優秀なスタッフがいないというのが実情です。今は、お客様のチェックが厳しいので、紋屋の従業員も点検事項やら注意点やらと色々気を使っています。しかし、清掃がなかなかチェックイン時に間に合わないような状況の中で、私共の従業員にチェックをさせることもなかなか時間的に難しいものがあります。私達自体も、他の従業員がお昼休憩が終わってから昼食を取るので、なかなか点検にまわれません。
行ける時はなるべく行くようにしますが、行けば行ったで、注意しなくてならないところだらけであり、またうるさいのが来た、という顔をされるのもストレスがたまります。その上、窓サッシを壊したり、掃除機を壊したり、畳や部屋の壁紙を乱暴に扱って傷だらけにしたり、言い出したらきりがありません。
清掃会社の社長にはその都度知らせてはいますが、やはり優秀なスタッフはなかなか抱えていられないらしく、辞めては又新しいスタッフを入れている状況の中、育て上げるのも難儀であることが想像できます。
清掃業者側も、オフシーズンになると人を減らし、オンには増やす作業をしなくてはならず、この地区のサービス業は、みんな同じ苦労を背負っているといえなくもありません。
何時もそれなりに繁盛しているようにする為には、良いスタッフを育て上げなくてはなりませんが、良いスタッフをいつも抱えているためには、何時もどの季節も安定したお客様を迎え入れられる企業でなければならないのです。人件費を削り、無駄を極力減らすことも経営者の仕事の一つですが、反対に良い人材を育てられる力もつけて行く必要があります。
私が紋屋で面接を担当し始めた頃、滅多に気に入る人が来ないことに驚きました。大おかみの頃は、団体旅館だったことも有りますが、紋屋の接客レベルも決していつも誉められるものでは有りませんでした。
気に入らなくてもとりあえず入れてみて、様子を見ながら育てていく。そういう形式で昔はやってきたようです。本来、伸びる可能性を感じる人材を入れることが大切。人間は育てられるのではなく、育つものだからです。
育つような空気を作ること。素材はあるのに、初めはやる気がなくてどうにもならない従業員だった人も、今では、お客様からの評判がすこぶるよく、どんどん自分のお客様を増やしている人もいます。清掃業者の社長にも、是非そういった意識を持って取り組んでいただきたいと思います。忙しく、また暑いというだけで疲れる夏。その中で遊びにいらっしゃるお客様に楽しい思い出を作って差し上げる。好きでなければ出来ない仕事、また、適職でなければ勤まらない仕事でもあります。
何時も何か壁にぶつかる時、私の力不足を感じます。この人なら是非ついていきたいと思ってもらえるような、親分肌の人間では、私はありません。でも、どうしたらいいのかを見極めていく、そうしたことを感じていく力は、少しはあるかもしれません。そうした力をこれから自分自身でも、大切にしていきます。こうして今年の夏も、わいわいがやがやと過ぎていくのでしょう。あと、3週間の夏休み、何とか悪戦苦闘しながら頑張ります。皆様もお体にお気をつけてお過ごしください。・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
◆素顔の女将◆
私の学生時代には、アパートの部屋にクーラーなどなかった。真夏の暑い夜には、近くの喫茶店で遅くまで粘ったものだと家内に話したところ、「へぇ~、早く帰らそうとして店員さんが水を汲みになかった?」と聞く。水を汲みに来られても、わたしゃ、井戸じゃないんだから。「水を注ぎに」でしょ?(笑)

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