お客様のご要望
「お客様は神様です」という言葉がありますが、今は主人によると「お客様は王様です」なのだそうです。神様は謝れば許してくれますが、王様は許さないからです。それほどお客様は今、サ-ビスされるのが当たり前になっていて、とてもこちらでは応え切れないご要望も次々と出てきます。正直に申し上げて、全てのご要望をその通りに承っていたら、どんな商売も立ち行かなくなってしまいます。どこかで線を引かなくてはならないのです。
例えばお客様の忘れ物ですが、沢山のお客様がいろいろな忘れ物をされます。私自身も今までにいろんなところで忘れ物をし、なくしてきました。ですから旅には高価なものは持って行かないことにしていますし、自分で十分に点検をする様に心掛けています。紋屋では忘れ物はお客様から連絡が有った場合、着払いでお送りしています。しかし「『着払い』というのは、宿泊のサ-ビスからしてどうか」というお客様からのご意見がございます。私も郵便で送れる物くらい、送って差し上げるべきなのではと考えています。でも「郵便は何でも送れるのできりがない」という意見も社内にあります。
先日、お客様がフロントへベビ-カ-をお預けになったのですが、引き取りにいらっしゃらなかったので、忘れ物になってしまいました。そのお客様はご自分の方から、
「お手数掛けますが、着払いでけっこうですから送って頂けないでしょうか」とおっしゃって下さいました。私は、大きな荷物をお預かりしたにもかかわらず、配慮が足りなかったと考え、元払いでお送りしました。そうしましたら大変喜ばれて、御礼の電話を頂きました。
料理一つをとっても、房総ならではのお刺し身がたっぷり食べたかったという方もあれば、もっと豆腐や野菜等の軽い物が欲しかったという方、魚ばかりで肉が欲しかったと言う方等々、全く食べる量も好みもその方なりのものなのです。私たちもいろいろなところへ食事に出掛けて研究し、そうした上で、通常のご宿泊料金ならこのくらいの物で妥当ではないか、という献立をご用意しています。
ただ、いろいろなサービスを付けたお手頃価格のパック商品は、ご料金内に様々なサービスの料金を含んでいるので、そのご宿泊料金並みのお料理ではないために、ご不満をおっしゃるお客様もいらっしゃいます。(この頃では、お料理がメインではないパックものは、お手頃な料金のお料理内容とご案内するように致しました)
また紋屋では、食事も布団もいらない乳児のお客様のご宿泊料金は、頂いておりません。(他の旅館さんでは、入館料として数千円申し受けているようですが)でも「子供の浴衣もないのか!」とお叱りを頂くこともあります。本当にサ-ビスというものは、切りがないほどのご要望があります。おもてなしは目に見えないものです。物を買っていただくためのサ-ビスと違い、宿は目に見えないおもてなしに対して対価を払って頂いております。宿の裏側を知らなければ、お客様には絶対にわかっていただけないような内容の事も有り、本当に頭を抱えてしまいます。
それでも-
私はやっぱり接客の仕事が好きで、今までも接客業を選んできました。
宿の仕事は、ストレスが溜まる辛い仕事でもあります。でもアンケートに書かれたお叱りへのお詫びの手紙書きをしていると、「アンケートにあんな身勝手な事を書いて申し訳なかった」という内容のお電話やお手紙が届き、気持ちは伝わるものだなと涙ぐむ事もあります。
主人には「そんなあなたが好きだよ」と言われています。
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◆素顔の女将◆
「今日のメルマガの最後、恥ずかしいじゃないか」と照れながら言ったら、
「あなたはいいわよ。私なんか、足を踏まれて重かっただの、なぐり書きで字が読めないだの、お母さんの頭を角切りにしただのと書かれて散々よ!」とにらまれてしまった。 (by aruji)

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