旅先で見たもの
私たち夫婦は一年に一度、プライベートな旅行をしています。夏の疲れた体を、秋涼しくなってから癒しに行くのです。今年も昨年に続いて、北海道に行きました。
北海道の大地は広く、どこを走っても広々として素晴らしい道路ばかり。単純に何も無いという風景が、私には心の栄養になりました。
お天気にも恵まれ、気候は暑くも寒くも無く、非常に快適なすがすがしい空気です。まったく期待もしていなかったのですが、今年は紅葉もまだ楽しめて、紅葉の無い土地から来た私たちのような人間には、大変な心のご馳走になりました。今回は、今年私どもの宿にお越しいただいた御礼の意味もあって、社長の知り合いの方が経営している、旅館とホテルに行きました。私たちの宿とは比べ様も無い程レベルが高く、お休みモードの私には、感嘆しきりなお宿でした。
宿の入り口は、人が歩くとからんからんと心地よい音がするようになっていて、玄関扉は大胆な半月の模様、周りは湖と森をあらわし、湖に住む生き物をあしらっています。そして内扉があくと、従業員が正座して待っているのです。
中に進むと、一枚板が圧巻な長いテーブルをあしらったバーがあり、その奥には社長のこだわりのオーディオ。ご自分が好きなものを好きなように集めて、宿造りをなさっています。
そこまで行くと、やっと宿の経営も楽しくなるのかなと、私は別世界を見るような気持ちでした。一客としては、(私は個人的には、それほどすごい宿にあまり行った事が無いので)感嘆するばかりで夢のような世界でした。一日目に私たちが泊まったお部屋は、露天風呂付で110平方の広さがあるアイヌ調のお部屋でした。足元まで一面ガラスで、目の前は湖。マッサージ椅子が備え付けられていて、応接セットが置かれた洋室部分と和室、ベッドルームが続きで広がっています。
玄関扉を開けると廊下があって、内扉の先に広いゆったりとしたお部屋。お手洗いも二つ備えられています。2シンクの洗面所、シャワーブースの先には、湖に面した大きな露天風呂。もう大浴場にいく必要がありません。
持ち運びができるテレビやオーディオもそろっています。サイズ別の浴衣のほかに選べる浴衣と、パジャマまであります。冷蔵庫も有料の冷蔵庫のほかに、無料の飲み物が入っている冷蔵庫もついています。
何しろ、何から何まで申し分がない豪華なお宿でした。普段の質素な生活とはかけ離れた、本当に贅沢な旅。一年間の疲れも、やっとこれで癒されると、心からほっとし、何とも言い様の無いくつろぎ感を味わいました。宿の社長の計らいで、その社長が経営なさっている他のお宿もすべて案内してくださり、次の日の朝は、朝礼にも出席させていただきました。
私が一番驚いたのは、何しろ働く人たちのモチベーションが高いこと。社長が私たちを夜12時まで接待していたら、ほかの主な従業員もみな待機しています。
勤務時間はどのようにシフトしているのか?と心配になりました。食事もかなりチョイスができるようにしてありましたが、「やってられないとか、大変だから、気が進まない。」だとか、文句を言う人は誰もいないそうです。
「文句などいったら、私どもは大変な事になります。」と幹部の方はおっしゃっていましたが、その「大変なこと」は何なのかとも思いました。宿の評判は、単純に豪華なだけではなく、アンケートの集計や数字の追求を徹底的に行っていくことで、レベルアップを続けているらしいのです。
単純にそれを聞いただけでは、納得できる内容ではなく、それだけの人柄、人間の大きさがある社長一人の力なのかと、私は愕然としました。
かなり社長に目をかけられた幹部社員達は、みんな与えられた仕事に命かけているような、そんな気がしました。でも中には、プレッシャーがかかりすぎて、体調を崩す人や、幹部にしたら、喜ぶのではなくてやめていく人もいたそうです。「そういう人がいることが分からない」と、その宿の社長は首を傾げていました。
宿にいくらでもお金をかけられて、従業員にも充分な報酬があげられる。何もかも、羨ましい限りです。そうなるまでに、どれほどの苦労や努力を重ねてきたのか、私には想像も及びませんでした。二日目は、場所を移してリゾートホテルとなりましたが、やはり社長の思い入れが少しずつ実っていきつつある姿を見られたように思いました。
帰る日の午前中は、ホテルの支配人が地元の人しか行かないという、山の上まで車で連れて行ってくださいました。紅葉が殊のほか美しく、山の植物達が、私達をやさしく迎え入れてくれました。山を降りてから、近くの遺跡を案内していただき、何から何まですっかりお世話になってしまいました。
広々とした北海道の大地と豪華な施設、そこで働く人々。大きな癒し旅の裏には、私達の商売における勝ち組みの姿が横たわっていました。
今後、どのようにしたら従業員のモチベーションが上がるのかとか、どうしたらアンケートの点数が上がるのかなど、研究を重ねて私達も努力を積み上げようと思います。一番大事なことは、恐らくこういう宿にしたい。というビジョンをしっかり経営者が持っていること。それを諦めないこと。それが一番大事なのだと感じました。
私は紋屋に来たとき、お金が無いから設備投資はできない。お金が無いからいい賃金をあげられない。だからいい人が集まってこない。という、大きなマイナス要因ばかりを私は聞いてしまいました。何もできない。できないと思ってしまったら、何も前に進まないのです。
出来ないことが前提なのではなく、与えられている事の中で、出来ることから始めていく。今までもそうしてきたつもりではありました。
しかし、きっと私はいつも諦めの中でしか、物事を進めてこなかったのではないか。そう思えてきました。何が何でも自分がしたい世界に少しでも近づけるのだと、そう思いつづけること。成せば成る、成さねばさねばならぬ何事も。
できることは、できる範囲の中できっと有る。そして、理想には遠いかもしれないけれど、諦めないこと。それに気づかせて頂いた今回の旅でした。やはり旅はいいですね。行楽シーズンの秋ですが、紅葉の無い房総はお客様が少ないです。現実は厳しいですが、今回旅した北海道でも、宿泊した宿の周りは、安いパック旅行用の宿だらけの土地だそうです。それを信念を貫いてきた事から、今の成功ストーリーがなりたったのでしょう。
「私達も、いつかはきっと!」そう思い続けよう。自信を持って。・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
◆素顔の女将◆
自宅で書道をしている家内を見ていると、特に大きな作品を書いている時、なかなか堂にいってカッコいい。毎日展での入選が好影響を与えているのだろうか、やりがいを感じているようだ。ますます館内に自作品が飾られ、“女将色”がより出てきそうで楽しみ~(^-^) (by aruji)

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