箸の話から
私は良く東京駅を利用します。南房総へ帰るとき東京駅を利用するからです。頻繁に利用する東京駅にある気軽な中華料理のお店で、2年半位前からお箸が割り箸ではなくなりました。
その頃から、他の和食屋さんでも、割り箸以外の竹箸や結構しゃれたお箸を見るようになりました。なんだか、「懐かしい」という感じがしました。
一昔前はどこでも使いまわしの箸でした。近年は、割り箸が当たり前のように出て来たので、中華屋さんで割り箸以外のお箸を見たとき、「そういえば、昔はみんなこういう箸だったな。いつから割り箸がスタンダードになったのだろう!」と思いました。昔のラーメン屋さんのように、お箸が剥き出しでさしてある姿が、とても新鮮に思え、目からうろこでした。昔と同じでは嫌だけれど、割り箸ではつまらない。それから耐久性に優れて、見た目のしゃれた箸を探すのにどれくらいの年数がたったことか。値段も塗りのお箸のように一膳が高いと困ります。
業者にも聞いてみましたが、なかなか「これ」というものにあたらず、苦労しました。それでも諦めずに探したところ、やっと理想に近い箸に出会う事が出来ました。
歯ブラシの先の素材で出来ているというその箸は、大変丈夫で皿洗い機にも対応していました。持ったときの触感がよく軽いのです。導入してから、「この箸を持って帰ってもいいですか?」と何度きかれたことか、断りなくお持ち帰りになる方もあるほどでした。私が、紋屋に入社してからずっと使ってきた割り箸は、地元の業者だったのですが、見た目もあまり素敵な箸ではなく、しかも値段がじりじりとあがっていました。
割り箸ひとつでも、インターネットで検索してみると、非常に見た目も良くて決して高価ではない割り箸が載っています。色々な形のものがあり、今まで勉強不足だったとずいぶん思いました。
箸袋も、業者にずっと同じ物を頼んでいましたが、単純に紋屋のロゴと名前が入っているというだけで、紙質も何とも安っぽく、何しろロットが大きくて不便でした。
名前が入っていなくても、紙の材質がいいほうが見た目にも高級感があります。宿の名前が入っていること自体は、お客様側には、そう大きな事でもないのです。夜は新しい材質のお箸。朝は見た目に綺麗なカットの割り箸ということになりました。
お越しになるお客様の中には、女将は必ず宿にいなくてはならないとか、必ず挨拶に来るものとか、毎日見送らなくてはけないとか、よく言われます。
しかし、私はそうは思わないのです。よそも見なくては新しい発見は出来ません。特に他業種には、いろんなヒントが転がっています。中華屋さんでお箸に気づけたのも、出かけたからであり、ちょっとした事を敏感に感じ取ることも大切です。
館内に私達経営陣の気持ちを表現できるよう、私達は、さまざまな努力を裏で行っているのです。また、従業員達が気持ちよく働けるように、従業員達の特性が生かせる職場にすること。これからの紋屋がどうすればいいかを見極めること。かくあらねばならぬという考えに縛られず、いつも、新しい何かを発見できる感性を磨きたい。
そのためには、第一に私達が元気でいなければなりません。いつもいつも経営者が宿の中にいては、井戸の中のかわず。会社も元気になれないのです。そして、これからは、私達の考えの表現を、もっと説得力あるものに、インパクトがあるものに変えていかなければいけません。
旅に出かけて、懐かしい気持ちや温かさ、やさしさに触れ、私達のとびっきりの笑顔でお客様は癒される。箸もその懐かしさのひとつだと思うのです。
使い捨ては確かに便利ですが、ごみにもなります。少なくとも、取っておきたいようなものはありません。割り箸には、いかにも使い捨ての味気ない雰囲気があります。
私達の仕事は、衣食住すべて扱っているので、参考にすべき職種は、恐らく他の企業より多くあると思います。いつも新鮮な目と気持ちを持ち続け、さまざまな分野から回りの宿屋さんが、あっと驚くような企画を、いつか計画してみたいものです。
紋屋に来たら、あったかい気持ちになれる。何とも言いようのない、落ち着く気持ちになれる、とお馴染様からお言葉を頂戴します。でも、まだまだ私達は甘いのです。紋屋でしか味わうことが出来ない、取って置きの、新鮮な心に染みるおもてなしを、これからも感性を磨くことにより、ご提供できるようになりたいと思います。このお箸のように、ヒントは周りにいっぱい転がっているはずですから。
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◆素顔の女将◆
社内の企画会議で、お客様に恋愛映画のDVDを貸し出すことが決まった。映画ファンの私がDVDを買ってくることになったのだが、家内からは、「早く買ってきてね、BVD」と言われた。それって、私のパンツのブランドなんだけど.....。(by aruji)

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