お菓子作り
おかげさまで、私が入社した頃にはほとんどいらっしゃらなかったおなじみ様もずいぶんと増えました。いつもと変わらないおもてなしの中にも、日々前進する紋屋を表現したい。この頃そう思います。
そのためには、どうしても経営者と従業員が一体となった宿造りが必要です。はじめは、教育というレールをしかれる事に抵抗を示した従業員達でした。
その頃はまだ、全員大女将が入れた従業員でしたし、みんなかなりな年配の人たち。新しい発想を取り入れるのも、なかなか難しい状態でした。
会議をしても、従業員からまったく意見が出ない。仮に意見が出て、その意見が取り上げられ、結果お客様に喜ばれても大して嬉しそうでもない。
今まで長い間、単純に指示されたことだけを、何も考えずに実行してきた従業員達の意識レベルを上げるのに、本当に何年もかかってきました。
私の呼びかけにほとんど反応が無いミーティング。いつも深いため息と自分の力不足に嘆き、苦しんできました。紋屋程度の小さい旅館なら、(理想はもっと小さい旅館ですが)みんなの力で動くはず、宿を皆で作っていきたい。そう思いつづけてきた年月でした。でも、諦めずにすっと反応を確かめつつやり続けていくと、案外みんな思っていることはあるのです。実際にお客様に一番多く接しているのは、従業員たちなのですから。
ミーティングでは黙っていても、後でこっそりと自分の意見を言ってくる人がひとり、そしてふたり。長い間、意見があっても却下され続けてきたことも、意見が出ない原因だったかもしれません。
最近でも、進んで自分の意見を言ってくる人はまだ限られていますが、ずいぶんと増えました。また、みなが話していることのなかに、結構改善点の鍵があって、早く言ってきてくれればよかったのに、と思う事もありました。おなじみ様が増え、また連泊のお客様もいらっしゃる時に、「いつも同じお茶菓子では情けない。夏はカキ氷を出していたのにね。」と裏で言っている話が耳に入り、そうだ!忘れていた。早速考えなければ、ということになりました。
ずいぶん前から、お茶菓子については会議で話が出ても、なかなか良い案が出ないまま、もう2年くらい経ってしまったかもしれません。
お茶菓子にかけられる宿側のコストの上限もあります。また、お菓子メーカーの方では、お茶菓子として出せる値段と言うものもあります。お茶菓子を提供するからには、これだけは売ってください、という数字も存在します。
高級旅館ではないだけに、いつもそのあたりで四苦八苦してきました。出来れば、手作り感がある簡単で美味しいお菓子をご提供したいものです。
オフの静かな季節に、たまには手をかけたお茶菓子を出すことも、不可能ではありませんが、忙しくなると手軽に簡単に出来て、しかもインパクトがあるお茶菓子でなければなりません。というわけで、宿題にするから考えて来てね。と一週間の期間を設け、一人一人に発表してもらいました。その間に家で作ってきて試食してくださいと言ってきた人、思い浮かばなくて、本屋さんで探してきた人もいました。逆に意外といつもは静かな人から多くの意見が出て、やはり何事も向き不向きがあるのだなと、頼もしく思いました。
そして、又1週間後に、みなでお菓子作りすることにしました。私は家で作ってきますと宣言して作ってきてくれた人もいましたし、彼女に作ってもらった人もいます。普段は、あまり料理をしなくても、その時は結構さまになっている人もいました。一度に多くのお菓子を食べたので、「当分甘いものはもういい。」という気持ちにはなりましたが、みんなでわいわいと作って試食。家庭科の授業のようでした。
手軽でなくてはならないと言う条件がつくので、ある程度限られましたが、一人より二人、二人より三人の方がさまざまな意見が出て、なかなか楽しい試みでした。
まだこれからも試してみる予定ですが、手軽に誰にでも出来て、しかも手作りと言う価値が出そうなものは、その後もぽつぽつと出てきます。お正月が過ぎたら、本格的に改善して行く予定です。本来、こうして宿は作っていくもの。自分が意見を言って、それが実際行われて、お客様に喜んでいただく。喜んで頂くことで、また従業員達の元気につながっていく。
仕事は皆が楽しく、やりがいを感じられなければと、私自身も思います。経営者は、従業員と友達ではありませんが、決して偉いわけでも有りません。
大会社ではありえないかもしれませんが、小さい会社だからこそ、結束も出来る。病気のときもあるでしょうし、一人一人が抱えている家族の状況もある。つらいときも苦しいときも、みんなで色々な気持ちを分け合い、喜べるときは肩を抱き合って喜び合える仲間であって欲しい。そう思います。
そうなるためには、まだまだ多くのハードルがあるでしょうが、来年はきっといい年にするのだと、今みなぎるような熱い思いが私を支配しています。
そして良い1年にするのは、自分自身の力なのだと、大きく地球が動くような音を感じています。皆さまにとっても、来年が良い1年であるように祈っています。今年1年、私のメルマガにお付き合い頂いて、誠にありがとうございました。・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
◆素顔の女将◆
家内はフィギュアスケートのファン。全日本選手権など、かなり熱くなってテレビを見ていた。ふと気が付くと家内は、選手のスピンに合わせて、無意識に頭を振っている。自分も回っているつもりなんだろうか(笑)(by aruji)

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