挨拶と言う形に悩みながら
私がおかみになって挨拶を少しずつはじめた頃は、世の中では反対に、おかみは挨拶に行かない旅館が増えている時でした。
私としては、なるべくお馴染様を作っていきたいのと、お客様のご様子やご意見を伺わなくてはと言う気持ちで、社長の反対を押し切って挨拶をはじめました。
挨拶を始めて2年くらいは、紋屋にいる時は99%どのお部屋にも行き、かなりのお馴染様が確かに増えました。
でも、やはり中には挨拶にこられたくないお客様もいらっしゃいますし、私のカラーとはあわない方もあります。お邪魔したら申し訳ないような、アツアツのカップルさんもいらっしぃます。私自身の体調が悪かったり、心の状態が元気でなかったり、やはり人間なので、スランプで少ししか伺わない時もありました。3年目くらいからは、チェックインの時、お客様のご様子からある程度判断し、残念ながらお目にかかれなかったお客様に関しては、伺うのを遠慮しました。
この頃、挨拶と言う形はあまり好ましくはないなと感じます。挨拶ではなく、もっと気軽なコミュニケーションの場でありたいです。本来なら、お部屋へうかがうのではなく、個別のお食事処などでお目にかかれるのがベストです。
紋屋には完全な個室のお食事処がないので、今はお部屋や一部の宴会場に、様子を見ながら伺うようにしています。困るのが、後になっておかみさんにお目にかかれなかったのが残念と書かれること。
私は結構いない日があるのですが、『おかみさんに会うためにきたのに』と言われること。私のメルマガの読者で、私に会うためにいらっしゃるのであれば、いなくては申し訳ないのですが、事前に分かっていることは少なく、私にも色々な都合があるので、いつもいつもは残念ながらあわせることが出来ません。
私は接客の仕事が好きですし、出来る事なら、どのお客様とも気軽にお話がしたいです。『私たちの部屋に入ってこないで!』という気配を感じると、なんとなくわびしい気持ちがします。人間、旅をするのは疲れを取るためであったり、気分転換だったり、何かの決心をするためであったりします。旅は、心と体にいい栄養をくれるのです。
そのお客様がどういう精神状態でいらしているか、それをそれとなく察して、やわらかいおもてなしをしたいものです。心を閉ざして、部屋に入ってこられるのが嫌な方でも、心のどこかには、やさしい笑顔で接してもらう事、やさしい言葉で包んでもらえることは、気持ちがいいと感じるはずです。
何度かいらっしゃるうちに、はじめは硬い表情だったかたも、すっかり紋屋になじんで、お客様のほうからお声がかかったり、笑顔を向けていただけたりするようになると、こちらも本当におもてなしのし甲斐を感じます。
私は、いつもどんなときでも、お客様に最高の笑顔で接し、お客様の心を和ませたいと思っているのです。マニュアル的な接客用語ではなく、心からのやさしい言葉と笑顔で、気持ちがいい、寛げるとおもって頂くこと。
直接お目にかかることだけでなく、館内のあちらこちらに、心遣いをあらわしていきたい。そうした事で、温かな気持ちになっていただけるようにしたい。
それは、館内のひそかな生け花、書の額や軸、手作りのタペストリー、そうしたものは、私や従業員がみんなで作り上げているものなのです。そうした事に気づいていただけるお客様からは、{館内を先ほど散歩してきたら、ここのお宿は心遣いがしっかり出来ていると感じましたよ。}とおっしゃって頂いています。ほんのちょっとのきっかけから、お互いの心の糸口がほどけて、心を通わすことができたらいいなといつも思います。私自身が手がけているのは書の作品ですが、何時かは全室、すべての廊下に飾りたいと思っています。そしてそれが出来たら、今度は季節ごとに取り替えたい。それも実現したら、楽しい小作品を作って販売したり、差し上げたりしたい。夢は膨らみます。
お花も、一人一人教育してもっと充実した生花飾りが出来たらと思います。生花はすぐに痛みますし、お水もすぐにくさくなります。見た目ほど優雅な仕事ではなく、体力も気力も、そして美意識も必要です。そして旅館の場合は、すばやく出来なくてはなりません。でも、やはり生花は心が和みます。
海辺は、季節感が乏しいので、手作りのタペストリーや館内飾りで何とか季節感を表現したいです。縫い物だけのためには、人を雇えないので、すべてが本業との間での作業で中々進みません。でも1歩1歩前進したいものです。
そうした事で、紋屋の滞在中に、お客様がそうした生花や飾り物や、書の作品を眺めて楽しんでいただけたら、紋屋オリジナルな素敵なおもてなしになりそうです。先日も行ったギターコンサートやコーヒー教室、その他も色々なイベントを計画中です。そうした場で、皆さまとふれあい、楽しい思い出作りをしていきたいと思います。それがこの頃の私の思いです。挨拶と言う形以外の、コミュニケーションとして。・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
◆素顔の女将◆
風邪や鼻炎で鼻が詰まると、私はイビキをかくらしい。前妻には、鼻炎のシーズンになると「うるさい」と言われ、家庭内別居をさせられていた(;_;)   しかし家内は、「あなたのイビキは眠りを誘うイビキね」と、全く意に介する風でもない。ちょっと嬉しかったりする(^-^)(by aruji)

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