スペインからのお客様
今までも、ドイツ・イタリア・フランス・台湾などの外国人のお客様がお越し
になりました。その都度心配しますが、今までは何とかクリアしてきました。
英会話でさえ紋屋では、堪能な人は社長しかいません。英語が通じる場合は、
社長が社内にいる日はもうお任せになります。
今回は、ホームページに全部英文のお問い合わせがきて、しかも、その方々は
スペイン・バロセルナの方だといいます。成田からそんなに近くもないのにと、
心配しました。
今迄は、たいがい日本に紹介者がいて、紋屋にお越しになることが多かったの
ですが、今回は全く知り合いもなく、日本に来るのも旅館に泊まるのも初めて
だそうです。
こちらがメール返信してからかなりたってから返信がきて、やはり本当にいら
っしゃるらしい。しかも、あまり英語もわからないらしい。と言うことが判明
しました。しかも紋屋に3泊もなさるのです。
最初の2泊は、私がいない日。最初の1泊は社長がいない日でした。そうなる
と接待するのは、いつでもどこでも、どんな国籍の方でも「心」で話す、心で
全部日本語で話す(?)能条さんに頼るほかありません。
客室係は、いつも何事も動じない春子さんにやってもらいました。私が紋屋に
帰ってから係に「どうやって会話しているの?」と聞いたら、「会話しないの。
全部能条さん」と言っていました。(一応日本語で説明はしていたようです)
能条さんには、「どうやって料理の説明しているの?」と聞くと、私には、
(これで本当に通じているのかなぁ?)と思うようなパフォーマンス。案の定、
1泊目は、豆乳ににがりを入れてお豆腐を作っていただくお鍋だったのですが、
固まらないうちに召し上がられたそうです。何も入っていないお汁のような感
覚で召し上がられたのかもしれませんね。何かほほえましいような光景です。
言っていることは、なんとなくしか分からなくても、本当に誠意(何とかして
伝えたい気持ち)が相手に伝わり、相手も何とかそれをくみとり理解したい一
念で、それとなく伝わっているようでした。
彼らは言葉が通じないので、館内電話もしない。時間を見計らって、能条さん
が行く。と言うスタイルです。能条さんの時間の説明は、目覚し時計や腕時計
を使い、また、5ヶ国語のあんちょこで、かなりスペイン語を使うようにして
いました。そして3泊目には、なんと大原のはだか祭りを見に行くと言って来
ました。
彼らにはもちろん、車もありません。どうやっていくか、夜の11時までかかっ
て能条さんは説明したそうです。(白浜から大原へは、日本人でも説明は大変
です)どこまで理解できたのかは予想の範囲ではありませんが、彼らは彼らな
りに、わからない点はその都度、誰かに何とかして聞いたのでしょう。
千倉発白浜着の最終バスが到着する時間をかなり過ぎても帰ってこなかった時
は、かなり心配しましたが、やはり遅くなって戻っていらっしゃいました。
大変遠い異国の地から、ホームページをもとに紋屋にたどり着いてくださった
お客様。なんてありがたいことでしょう! 奥様は、とてもかわいらしい女性
でした。ご主人様も、なかなかハンサムです。
彼らは、はだか祭りに行ってちゃんと写真も撮って来て、能条さんに見せてい
ました。かなり前で見物したようです。この日は、日本列島の東沖を大きな台
風が通り過ぎていった日で、すごい波と大風で寒かったとご夫妻は身振りで私
にお話しされました。
その日は、恐らくお帰りが遅くなると予想できたので、ご夕食は個室風お食事
処「和布座」でしていただきました。この方々なら、なお一層ご挨拶に行きた
いと、出社してからいろいろ考えて作った絵と、自分なりに5ヶ国語のあんち
ょこから言葉を選んでメモし、お目にかかりに行きました。
結婚15周年記念だと伺っていたので、1泊目には前日に私が筆で色紙に書いた
メッセージをおき、それに対する説明文を社長がスペイン語で残しておきまし
た。私がお食事処へ出向くと、ご主人が「筆でメッセージを書いてくれた人で
すね。」とパフォーマンスでおっしゃいます。
「そうそう!私が書きました。」と私もパフォーマンス。料理がお口にあって
おいしく召し上げれているか。今日は日本の東沖を台風が過ぎていった話。
(台風が良く伝わりませんでした)自分がこの宿の経営者であること。日本に
お越しいただいたお礼に香り袋を差し上げて、その読み方と使い方の説明をし
てきました。もっとたくさんお話したかったですが、ひとつ説明するのに長い
時間がかかるので、遠慮して帰ってきました。
私の場合は、かえって英語が堪能ではない方のほうが会話がしやすく、自分が
知っている範囲の英会話がつかえます。百貨店にいた頃も、いつも絵と身振り
手振りで会話してきました。
簡単に言葉で伝わらない相手と話すのは大変ではありますが、通じれば、とて
も楽しいひとときとなります。一生懸命な気持ちが、これほど正直にあらわせ
る現場も、そう多くはないと思うくらいです。
お帰りのときは、お二人がバロセルナの写真はがきを持ってきてくれました。
葉書の裏に、ローマ字で「ご親切に感謝いたします。ありがとうございます。
セルジオ、カロリナ」と名前はカタカナで書いてありました。
紋屋のあと京都に5泊、そして東京に5泊だそうです。すごいゴージャスな旅
ですね。あのお二人なら、きっと日本の旅を大いに満喫なさったことでしょう。
文化の違い、言葉の違い、生活習慣の違い、国籍の違いは、いろいろなエピソ
ードを生み、大変ながらなかなかミステリアスで楽しいものです。都内のホテ
ルなどは、部屋の中で煮炊きされてしまい、火災報知器が作動してしまったこ
ともあるそうです。お越しになるお客様も、わからないなりに大いに楽しもう
と意気込んでお越しに成ります。
バカンスを本当に心のそこから楽しむ姿は、われわれ日本人も見習いたいもの
です。何かと忙しく疲れている私達日本人。こまごまとしたことに目を皿のよ
うにして、すぐ機嫌をそこねます。
そのこまごまとしたことに対する心遣いが、逆に日本の宿としてのおもてなし
につながるのですが、なんと言っても、もてなしの基本は温かな誠意だと、今
回能条さんの姿を見ながら思いました。細かいところまでは通じてなくても、
親切で温かい彼は、どのお客様からも好かれ、本当に紋屋にとって大切な人財
になりました。
あまり神経質に成りすぎず、一番大切なことに思いをはせよう。
喜んでいただけることがもてなしの基本。
喜んでいただくことが私達の幸せ。
外国人の旅を楽しむ姿を見習い、私も1年に一度旅をするときには、心から楽
しむことだけに専念しよう。
いつも元気でこれからもお客様をお迎えできるように、一生懸命に成りすぎて
逆に疲れるのはやめよう。
今回もいろいろなことを考え、吸収した異国のお客様のお越しでした。
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◆素顔の女将◆
1999年から配信を始めたこのメルマガも、10月で満七年を迎える。次号からは
八年目に入る訳で、よくまぁ続いたものだと思う。出版の話しも進行中だし、
これからも頑張れ~!
ただ最近、ぼけネタが減ってきた事が残念ではある。(笑)(by aruji)
◇arujiの正体◇
人の性格は顔に表れるとよく言います。政治家でも「この人は悪人の顔」と言
う人がいます。そういう話しを私がすると
   aruji:「じゃあ、あなたはどんな顔なの?」
    私 :「悪人の顔ではないわね」
   aruji:「ボケボケした顔なの?」   失礼な!(`へ´)(by okami)

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