手紙書きの勧め
ご挨拶

前回の配信後、読者の方から大変多くのメールを頂きました。皆様、私の為に 心から心配してくださり、励ましたり慰めたり、ご自分の体験談も多くお寄せ くださいました。本当に、ありがとうございます。

まだ、目の前は真っ暗ですし、日によっては鬱々とした気分に落ち込んでしま うこともあります。まだ、先は見えませんが、筋力トレーニングと軟骨に良い とされている栄養補助食品を取りながら、無理しない程度に働いています。

1階の部屋限定で、一日2.3組のお客様としかお話できないのが残念です。 数年後の手術までの間にこそ出来ること、こういう体になってはじめて分かる ことを精一杯吸収して、出来る事に努力致します。皆様の温かいお声が何より の心の栄養となります。ありがとうございました。

                           女将 高尾葉子

◇手紙書きの勧め◇

最近、テレビでも、脳の活性化をするような番組がもてはやされています。漢字などは普段使わないような言葉が出てきて、驚くこともありますが、携帯電話やパソコンの普及により、活字離れが加速し、仮に読めても書けない漢字、言葉が多くあることに危機感を感じます。
言葉は大変重要なコミュニケーションツールです。普段から本を読まない、字を書かない生活からの脱却に努め、分からない言葉や漢字は辞書を引く習慣を、皆さんにも是非取り戻していただきたいと思います。今は手書きの手紙も本当に少ない時代になりました。言葉を自分で考える習慣がないために、紋屋内でもお詫びの手紙を社員に書かせると、悲しくなるようなレベルの人がほとんどです。
先日NHKの番組でも、従業員の一人が漢字を読めなかった為に、多大な損害が発生してしまったケースが紹介されていました。
その番組によると、パソコンや携帯電話の入力では、本当に限られた部分の脳しか使われないそうです。それが、自分で字を書くと、驚くほどさまざまな部分へ脳が働くのです。
3.4年前から、客室係には苦手な礼状書きをしてもらってきました。でも、書くのは決まっている文章です。

   「先日はお越しくださいましてありがとうございました。又是非お越しくださいませ。係○子。」

というもの。
それだけでも、手書きで書くという習慣がない人達にとっては、結構大変な作業だったようです。
手紙書きをしてもらって数年経つのだから、そろそろもう少しハイレベルな手紙を書いてほしいと思いましたが、ただ指示しただけでは出来ないことは承知していました。
忙しすぎる夏をすぎてから、手紙書き講座をしようと、私は夏休み前に用意しておきました。
なんといっても、例文が大事。
お子様連れの場合の例文、余りお話なさらないお客様への例文、何かエピソードがあった場合の例文、おなじみ様への手紙。
気持ちのこめ方のポイントを繰り返し説明して、眠くならないように例文はみんなに読み上げてもらいました。
そして実際のアンケートから、各係にこのアンケートだったらどう書くか、例文をもとに考えてもらい、その都度指導しました。

私は前の職場でも、毎日礼状書きをしていました。どんな話をしたか、どんな洋服を着ていたかまですべてメモしておき、礼状に私はあなたを覚えていますと言うメッセージを託しました。
そうすると、土地に根をおろした東京都下の百貨店だったので、お客様が手紙を持って、「お便りありがとう」とそれをおっしゃりに立ち寄ってくださるのです。
それが嬉しくて、私は本当に毎日手紙を書いていました。私が手紙を書くことの楽しみを味わい、本当にありとあらゆるメッセージを伝えるための施策をこの場で考え、今に至る土台が出来たのでした。
普段からもともと筆まめな方で、学生時代にも交換ノートという友達同士の連絡ノートをグループや個人で数人としていました。そのなかでも、私がいつも長文でした。
恋愛においても、やはり連絡ノートや手紙が活躍していました。その頃は、今のようにメールという便利ツールがなかったからです。子供が小学校に上がっても、担任の先生との意志疎通に連絡ノートが大変役立ちました。紋屋に来てからも、私ははじめから手紙書きをする役になりました。それまでは、フロント課長や社長が決まった文章を書いていました。内容は、

「先日は紋屋にご宿泊くださいまして、誠にありがとうございました。またご感想も頂戴し、重ねて御礼申し上げます。今後より良い宿作りを目指して努力してまいります。また是非お運びくださいませ。お待ち申し上げております。従業員一同」

というもの。丁寧かもしれませんが、「私」メッセージが何も入っていません。お客様が誰でもかまわない文章です。それでは頂いたかたは、嬉しくないですよね。
従業員一同というのも、いったい誰なのでしょう?フロント高尾のほうが伝わります。
受け取った方が、「あ~、あの方がお手紙くれたんだ!」と思い出してくれるような手紙、 それでこそ手紙を書く意味があります。
私が書く手紙も、全員の方にはお目にかかっていませんし、皆さんのことを思い出せるわけではありません。でも、アンケートを書いていただいた文章から、誠意を込めてお便りします。
一番多いときは、年間で1500通くらい書いていました。なかなか普段は忙しくて良い文章は書けませんが、全く同じ文章の手紙は、たぶん一枚もないと思います。

手紙書き講座でも例文をたくさん作ったので、その後、係たちの手紙は大分良くなりました。
本来はもっと自分の力で考えて、毎回違う文章が書けたら、きっとその人本人のためにすごく役立つと思うのですが、少しづつ段階を踏んで成長してもらおうと思います。
私は講座をしながら、本当に私は手紙書きが好きだなと感じました。また手紙について話すのもとても楽しく、やっていてたまらない快感を感じるほどでした。人は、人と人とのつながりの中で生活しています。印刷した字では、手紙のありがたさが感じられません。
頂いた方が、その手紙を大切に取っておいてもらえるようなものを書きませんか。気持ちをこめて丁寧に書いてみる。電話やメールよりずっと手がかかる分、
違いが出ます。
たとえば、普段は恥ずかしくてなかなかお礼が言えない近しい家族や友人に、一文字一文字、思いを込めて文字をしたためてみましょう。
心のぬくもりがきっと伝わりますよ。



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◆素顔の女将◆ 階段の上り下り、お座敷での立ち座りが厳しいので、お部屋回りがほとんど出 来なくなり、悲しそうな家内......。我々の館内での食事部屋も2Fなので、 上がり下がりが大変なのだが、私がいる限りは、その都度、腕を組んで階段を 上がっている。恋愛時代が思い起こされ、ちょっと嬉しかったりする♪~ (by aruji)

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