第三のお母さん
早いもので、私が紋屋に嫁いで8年半が過ぎました。はじめのうちは、おなじみ様と言えるお客様はほとんどありませんでしたが、今は大勢の顧客様に恵まれるようになりました。とても幸せなことです。そうしたおなじみ様の中に、私としては、母親のような存在の方が居ます。年齢は私の実の母より少し上です。はじめは、良く紋屋にお越しになるおなじみ様につれられて、お越しになりました。
お話してみると、すごく奥が深い方で、だんだん尊敬できる人として、私の心の中に入ってきました。人間としてさまざまな苦労や人生の苦味を十分に味わっていらっしゃる。だから、人の心がわかる方。すごく前向きで明るくて、包容力があって力のある方だなと感じ入りました。
ご主人様がなくなってから、お一人で暮らしていらっしゃいます。発想が70歳を超えた方とは思えないくらい力があり新しく、そばに居ると元気が出る。
そんな方です。私はいつの間にか、その方がお越しになるのを首を長くしてお待ちするようになりました。お客様としてお迎えするというより、お目にかかって、いらっしゃらなかった間のことを聞いていただく。お一人でお越しになれば、いつも1時間位、お話していました。
そのお客様も、紋屋に来るたびにいつも私のメルマガのバックナンバーを読んでくださり、「私の娘が宿屋に嫁に来たような気がしてしまって。」とおっしゃってくださいます。
お友達といらっしゃると、うちの社長に向かって、「いつも娘がお世話になっています。」とおっしゃり、私はそのお友達の皆様に、「母がお世話になっております。」と挨拶していました。
1年半前に足の手術をなさって、(それまでは2ヶ月に一度くらいはお越しになっていたのに)その手術が失敗だったために、その後は、電話や手紙でしかお話が出来なくなりました。本当に残念です。
年齢が年齢だけに、その後どうしているかなといつも心配し、時々電話でお声を聞く。意外と私より元気で、いつも声を聞くたびに私のほうが励まされてしまいました。今回も私の股関節の病気のこと、どうやってお話したら良いかと、思いあぐねていました。たまたま、手の込んだ手作りの品物を売店用に送って下さったので、そのお礼方々、私の近況とメルマガをお送りしました。
それからは、本当に心のこもった身内にしか書けないような手紙を何度も送ってくださいました。この一年半の間、足の不自由な生活でも負けてこなかった、へこたれなかった、気持ちの転換の早さ、少しの光に気持ちを入れ込む技術、根っからの明るさとたくましさと若若しい発想力、そうしたものを常に持ちつづけて、今80歳を超えても、元気に暮らしていらっしゃるのだと、改めて知らされました。
手術の失敗で足の神経が触るようになり、靴をはけない生活がずいぶんと続いたのです。それでもリハビリには欠かさず出かけ、用事はタクシーで出かけて済ませ、時々お友達ともお出かけになる。趣味の絵を描くことも、ずっと欠かさず、続けていらっしゃいました。

お便りの一部をご紹介しましょう。


『お仕事は、フロントに立って、いらっしゃる皆様に笑顔をお見せするだけで、相手にはゆったりした気持ちになって頂けますよ。杖をついてお迎えしたって良いじゃないですか。いつか、元気になれるんですから。今は落ち込むことばかりでしょうけれど、なってしまったことはしょうがない。今の自分はどうすれば良いか、先のことは考えないこと。今が元気な人だって、先がどうなるか不安でない人は居ないと思います。
一日一日の積み重ねが大事です。今は、あなたの息がかかったスタッフ達でしょ。あなたの気持ちはわかっているはず。こんなときは助けてもらってください。あなたの笑顔があれば、皆さん働いてくれます。今は自分を大切にされ
、前向きに考えましょう。また、元気な声を待っています。くれぐれもご自愛ください。』


その後も、私の病気のことが書いてある雑誌がある、医学は進歩するのだからとせっせと新聞の切抜きを送ってくださる。読むたびに涙しながら、こんな素晴らしい母娘のような関係を築けた、今までの私の仕事は素晴らしいものだったなと、改めて思いました。まだ、終わってしまったわけではない。今の私が精一杯で出来ること、それをすれば良い。
神様が与えて下さった休養。今年のクリスマスの飾りつけは、私が何も言わなくても、みんなでさっさとやってくれました。
私が指示しなければ、誰も動かないと思っていたのは、私の思い込みだったのです。みんなが自分で考え、自ら動くようになってくれるためにも良いのかもしれない。私はゆっくり見守ろう。私が暗くなって元気がないより、少しでも笑顔が出て、良い指示が出せるようになったほうが、みんなも安心して働ける。
一生懸命リハビリして、一日も早く少しでも良くなろう。第3の母親から、私は大きな励ましのプレゼントを頂いたのでした。

   ありがとう。
   本当にありがとう。
   私を見守ってくれるみんな、ありがとう。

つらい環境は周りへの感謝を呼びます。苦しい経験はきっと何かの役に立つ。
もっともっと勉強して、厚みのある人になりたいと思います。

■久々にarujiの正体■(発行者arujiのエピソードです)
一人で家にいると暗くなりがちですが、主人がそばにいると、私は微笑んでい
られます。そう主人に伝えると、「私しゃ、芸人か?」と言っていました。
ずっとずっとそばに居てネ。(by okami)



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◆素顔の女将◆ 自宅でうたた寝している私の顔を見て、家内は一言。
「ひからびたスヌーピーみたい」 そんな面白い顔なら、ずっとそばに居たいだろうなぁ~(-_-;)(by aruji)

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