従業員がいてくれるからこそ
最初紋屋に来た頃には、田舎の空気やこの地方の人々の雰囲気にもなれず、
やはり東京に比べると、働いている人たちのレベル・カラーが違うような感じ
を持ったものです。

しかし今現在の紋屋は、洗練こそされてはいませんが、お客様を迎える空気は
非常に暖かく、素晴らしいスタッフ達に囲まれていると思っています。



人間が数十人集まれば、そこに長が出来、規則が出来る。長は指令を出したり、
今後の見通しを立てたりする。そうでないとまとまりがなくなり、ひとりひと
りがばらばらになってしまいます。

その長たる人は、その他の人より仮に優れている部分があるとしても、同じ人
間であり、偉い訳ではありません。本当に優れている長は、ひとりひとりを信
じ尊重すると私は思います。

少なくとも私はそういう上役でありたいと、このごろ強く思うようになりまし
た。

もちろん、基本的に経営側と単純に下で働いている人達とは抱えることの量と
質が違い、上の人はさまざまなことを幅広く考えなければならず、気楽さは少
ないと言えます。

以前大きな企業で働いていたときは、たとえば残業をしたい時の請求方法や、
事務用品や職場で使用する清掃用品などの用度請求などが、なぜそのときその
方法がとられているのかを知りませんでした。

会社のテーマソングや企業使命の変更などが大々的に変更された時のことを今
思い出すと、大きな会社ほどその意味を末端までしらしめるのは、大変だった
ろうと思います。



夏の繁忙期を迎えた紋屋は、今年一人の急な欠員が出たのと、家庭の事情でし
ばらく来られない人が出たために、夏の繁忙期の到来とともに、急にみんなが
休めない状況に追い込まれました。

毎年派遣スタッフも依頼しますが、今年は人が集まらず、いまだに内定者が出
ていません。

みんなが疲れないようにと気を配りすぎると確かに疲れますが、昔の紋屋のよ
うに、「疲れたから休ませて下さい」と言われるまで放っておく、夏は休みが
ないのが当たり前だった。そういう事は私は出来ませんし、したくもありませ
ん。

みんなが働いてくれることに感謝し、お客様から喜ばれたことをひとりひとり
に誇りに思ってもらうようになってもらいたいと願っています。



最近ある経済雑誌の取材を受けたのですが、「今、お客様と従業員のことは、
どちらが比重が大きいですか」と聞かれました。今は、まったく同じ比重だと
私は感じています。

お客様に喜んでいただくためには、従業員が生き生きと働けていることが肝要
です。

小さな不満はもちろんあるでしょう。小さな従業員同士のトラブルなどは常に
発生しますから、それぞれがいろいろ言ってくる事を真剣に聞いていたら、た
しかに自分の身が持たないかもしれません。

でも、お客様が不満を持っていると感じるのと同じように、従業員がそれぞれ
の体力の中で、もう限界が近いのでは?と感じるほど顔に疲れが出ていれば、
私はそれを無視することはできません。

十分な休みは取れなくてもなんとか切り抜けられるように、出来る範囲で少し
でも休ませる。声をかけるくらいはしたいものです。

また疲れてくると、従業員同士の小さなトラブルも続発するので、それぞれの
不満やそれぞれが抱えている気持ちなどには、その抱えている背景くらいは理
解を示し、せめて話を聞いてあげるくらいは、してあげたいと思います。

誰に味方するのではなく、かかえている気持ちを話すことによって苦しさから
解き放たれるように、誰にでもしてあげたいと思うのです。



人が足りないので、新しいお茶だしシステムを導入しました。それぞれの部門
が、かなり仕事がきつくなった部分があります。それでも、なんとか一人何役
も担ってもらい、それぞれが半休だけでも取得できるように計らえば、いくら
かでも疲れはとれるはず。

少しでも疲れがとれれば、またより一層お客様に優しいおもてなしが出来ると
思うのです。


本当に上の立場に慣れず、未熟なことばかり.....。

いつまでたったら一人前に近くなるのかと思いますが、最近はそういうことを
考えることも、若干楽しくなっている私です。


夏ははじまったばかりで、是からが本番。いつまで私の体力がもつかはわかり
ませんが、できるだけ自分自身が元気でいて、従業員たちに思いをはせられる
ようにと思っています。


皆様も、どうか熱中症などにお気をつけて、元気でお過ごし下さい。

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◆素顔の女将◆
一泊朝食付きのお客様からの電話を受けたフロントスタッフから、『宇都宮の
花火大会を見てからそちらに行く』と聞いた家内は、ホワイトボードにそう書
いた。いくらなんでも宇都宮じゃ遠すぎるんじゃないかと思ったところ、女将
の聞き違いで、宇都宮ではなくて一宮だった(笑) そりゃそうでしょう!
                              (by aruji)

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