お客様は敏感です
先日、あるおなじみ様がお越しになりました。その方は、最初にご夫婦でおみえになったのが5年くらい前。でも、もっと前からのお客様のように感じます。
今では従業員達も知らない人間はいないくらい、すっかり紋屋の大事なお客様になっています。

厳しい目もお持ちのお客様ですが、いつからか紋屋と私のファンになってくださいました。厳しいことをおっしゃるときも、こちら側のために教えてくださる。私達と一緒に紋屋を育ててくださるお客様の一人なのです。


そのご夫婦の奥様が、先日お手紙をくださいました。
内容は大体次ぎのようなものです。

おかみの思い(高い志)と従業員の方々との意思の疎通がかみ合っていない?と感じたことがあった。社長の協力はあっても、旧態依然とした方法をよしとしているような雰囲気を感じた。
「これはおかみが大変だ」と思った。

お役所の改革がうまくいかないのも、現状維持が一番安全で楽と思っているから。

でも、いつからかどんどん変わってきた。
きっとそれは葉子さんが、おかみとして接客の大変さと楽しさを、従業員の方々に伝えたからなのだと思った。

それは素晴らしい能力。ふつうならめげてしまうかもしれない。
長年培ってきたものに新しく入っていくのだから。その勇気に敬服。

そう言う内容でした。


このお手紙を拝見し、そう言うところまでお客様には見えてしまうのだなあとつくづく思い、急に今までの苦労が走馬灯のように心をよぎり、涙がにじんできました。考えてみると、ここ10年で最も苦労したことは、やはり「人」だったように思います。



私が紋屋に来たとき漂っていた空気は、“社長の2度目の奥さんがやってきた。
自分たちとは別種の人間だ”と、初めから受け付けないような、異様なものでした。

いつも一緒にいるその頃の事務所の人ですら、いつも一線を隔していたと思います。調理部といろいろな話が出来るようになったのは、まだ4年前くらい前のこと。

そして客室係は、いまだに誤解が多い部門でもあります。最近やめていった事務所兼客室係だったある人は、「全然そんなことないのに、裏で間違った情報が流れ、悪口をたたく人がいることがすごく嫌だ」とよく言っていました。

人から聞かなくても「おかみは係をやったことがないからさ」と、それだけで全てを片付けている言葉を偶然、直接耳にしたこともあります。


世間では、その会社に別の会社から急に新しい社長が赴任してきて、恐ろしく斬新な改革をして業績を伸ばすことも珍しくありません。あたらしい流れをいやがる体質が、本来問題なのです。

でも、ここ数年は私がやってきたことを認めてくれる人も、昔からいる人達の中に多く出てきました。

おかみが来てから働きやすくなった。

思っていることが言いやすくなった など。

私は上の立場だからと言うだけで、力でねじ伏せるやり方は好みません。
みんなが働いてくれるから、会社が成り立つと思っています。


そして、誰もが認めざるをえないほど紋屋がどんどん変わって行ったこと。
私の考えを辛抱強く伝えつづけたこと。

それがいつの間にか、従業員達の中にも浸透していった。

だから今の自分と紋屋がある。そう思います。



自分にとっても、いつのまにか紋屋の空気が異様なものではなくなっています。
半分以上の人達が、私が面接をして入ってきた人達になったことも大きいと思います。

今では、私の考えに非常に近い信頼できるフロントの責任者が、私の右腕になってくれています。そのこともとても大きなことだと感謝せざるを得ません。

そして、そうした紋屋の移り変わりを見守って下さってきたお馴染み様。
何というありがたさでしょうか。


他のおなじみ様からも、

「以前にくらべたら、館内の雰囲気はよくなってきていますね。」
「ワイングラスや食器類がいつからか大分改善されましたね。」
「従業員さん達が皆さん素晴らしい接客をするようになりましたね。」
「食事が前よりずっと充実するようになりましたね。」など、

お客様は敏感に感じ取る。有り難いような怖いようなお話です。


でもそれだけにこれからが、本当の意味での私の力の見せ所なのだろう、と思うのです。

いつかはきっと全員の気持ちが一つとなって力を発揮し、全国に名がとどろく気持ちの温かい宿にするのだと、改めて決意するおかみであります。

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◆素顔の女将◆

私が事務所に入ると、家内が一人しかいなかったため、何本も電話が重なり大変だったと言う。

ただ、「電話をいっぱい取ったから、顔が乾燥しちゃった!」そうだが、なんで電話をいっぱい取ると顔が乾燥するのかは解らない。

通販のコールセンターの方々は、皆さん乾燥肌なのかねぇ。

 (by aruji)

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