自戒はチャンス
クレームはサービス業に携わるものにとって嫌なものです。
ただクレームにもさまざまな種類があり、こちらの気持ちも対応もそれぞれに違ってきます。


本当に店側に非がある場合と、単純に好みに合わない場合。
こちら側を応援しようとする気持ちがある場合と恨みがある場合。
クレームがそのときにおっしゃっていただける場合と、あとになってから口コミや旅行代理店を通して言ってくる場合。

書き出したらきりがないくらい、さまざまなクレームの形があります。
クレームにならなくても、日々、お客様をお迎えしていると、いろんなミスや事件が発生し、そのたびに「こういう場合は、対処をAにしよう。
今後防止策はBにしよう」と学んでいきます。サービス業は毎日が勉強の場です。

それを少しも気にしないで、「気をつけるしかない」とやり過ごしていると、そこの職場はちっとも成長しません。

繁忙期は、みんな体が疲れるのでミスも多くなり、またその対応もぞんざいになりがちです。


今回は、私の失敗のお話です。


そのお客様はご家族様で、ご長寿のお祝いを兼ねて小さいお子様とご一緒にお越しになりました。思い入れの強いご旅行だったのだと思います。

そのお客様は、紋屋では一番値段が高いプランを選ばれました。

お部屋は、紋屋ではランクが高い彩り亭を二部屋ご用意して、その隣の少しランクが下がる客室をお食事の会場としてご提供しました。
お目にかかって、とても温かいご家族のご様子にこちらも気持ちが休まるような感じがしました。皆さんとても良い方々だと感じました。
ご長寿のお祝いを、こちらとしても出来る範囲で一生懸命させていただきました。
ところがアンケートを見ると、

「正直に言うと、ホームページから想像していたよりも、施設はいまいちだった気もします(清潔感がちょっと)。
でも、スタッフの皆さんのお人柄で帳消しになりました。なのでちょっと残念です。」

私は、自分の宿が本当の姿として見えるように、ホームページにも飾り立てた表現を避けるように社長に頼んで来ました。ホームページの中には、「お許し下さい」という、デメリットがはっきり分かるようなページも明記してあります。
パンフレットにさえも、デメリット表示がしてあります。

世間では「おいでおいで」ばかりして、来てしまえばこっちのものという店が多く、騙されたと思うケースが多くあると思います。

本当のことを言う。

常に正直に心掛けている私としては、非常に心外なアンケートでした。

先日のテレビ放映のあと、紋屋は大変忙しい日々が続き、非常に疲れていただけに、過剰反応してしまいました。

ご来館のお礼のあとに、ホームページの「お許し下さい」のページの事に触れ、ご案内しているはずですが...と言う、通常なら書かないような手紙をそのお客様に送ってしまったのです。

その後、そのお客様から手書きの封書が届きました。

内容は、

今回紋屋に決めたのは、まず、小さい子供がいたこと。
子連れで行ける宿で、いけるところが絞られたこと。
そして今まで料金が安すぎて、はずしたことが何度もあったので、
あの料金なら間違いがないと思って決めたこと。
良くしてもらったのにこんなことをいって悪いが、どうしても料金に見合っていたと思えない。とても良くしてもらったのに申し訳ないが、やはり料金は素人にとっては判断材料だと思う。
そう思う人間もいることを知って欲しい。

と言うものでした。

お客様からわざわざ封書をいただいたのは、ホームページと印象が違うと書かれたことに、私が過剰反応した事がいけなかったと思うのです。


よくよく宿泊アンケートを読むと、「支払った金額相当の満足」に丸がついていて、「また利用するかもしれない」になっています。
しかも、最後の文章は、「ちょっと残念です。」です。

恐らくその時は、「どうしてもあの金額に見合っているとは思えない」とは思っていなかったのだとおもいます。


結局お客様は、ホームページの印象より施設が古かったと感じながらも、本当は、よい旅行になったと思っていたはずです。それなのに私は、そのお客さまのお気持ちを踏みにじってしまったのです。

よくよくアンケートを読みこまないで、「ちゃんとデメリット表示もしてあるのに」と言う自分の気持ちに揺れてしまったのです。

どんなに疲れていても、お客さまのお気持ちに沿うように考える。

それがプロであるのに.....。少なくとも、私はそのようでありたい。


私の反応がなければ、そのお客様はここまで料金に見合わなかったと、考えなかったに違いない。本当に怒っているのかどうか位のことは、文面から読み取れなければいけない。

また初心に返らなければ。

すべては私が台無しにしたのだなぁと反省しています。私も時々こうしたお叱りを戴くことが大切。体が疲れているとこのように良くない反応をしてしまう。まだまだ修行が足りていないと思いました。

そう思った日は、自分がまた生きかえったかのように、気持ちの良い接客が出来ました。

どのお客様にも、お越し戴いたことを喜び、有り難いと思うこと。

クレームは、自戒のチャンスなのです。

これからも、常に、自分としては心外なことが書かれてあったとしても、良く十分に思い返し、自分の反省点を見つけられるおかみでいたいと思います。

また、一から頑張ります。

教えていただいたお客様に感謝。

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◆素顔の女将◆

いろいろなミスや事件が発生し、
そのたびにいろいろと家内は学んでいっている。

ん~、偉いねぇ~

(by aruji)

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