心のふれあい
先日、私達夫婦が病院通いの帰り、昼食をどこで食べるかと言う話になりました。最近私達夫婦が気に入っているレストランは、『B』というイタリアンなのですが、その店が出来る前まで、足繁く通っていた店『I』にもたまには行ってみよう、ということになりました。

私が「その店にも顔を出さないと悪いものね。」というと、
社長は「別に悪くないでしょ。うちのお客様で、『紋屋に行かないと悪い。』
なんて思ってくれる人は、誰もいないよ。」と言います。


そうなのでしょうか?


もちろん、宿と言うものは飲食店やブティックのようには、頻繁に出かけるものではありません。こちらも、うるさいくらい手紙を出すようなことはしません。他の宿にもどうぞいらしてみてください。全国にたくさんの宿、観光地があるのですから、他の宿に行くななんて、私は言えません。

私は、気持ちが一度繋がったお客様とは、たとえ、しばらくおみえにならなくても、気持ちはどこかで繋がっていて、決して紋屋のことを忘れてはいないと思うのです。

そうでなければ、接客業をしている喜びは見出せないと、私は基本的に思っています。

食事がおいしい、眺望が気にいっている。

それも、もちろん紋屋を好きになってくださる要因だと思います。
そして私達経営者や従業員たちと心が通い合うような、そんな会話が出来るようになれば、より強固な顧客様となってくださいます。


建物とか味とかそれだけでは、結局離れていってしまう。

もちろん、いつまでもお客様は、同じ宿にはいらっしゃらないでしょう。
それでも、ふと私達のことを思い出してくれる。
そんな人と人との温かなふれあいを作り上げていける、そういう宿でありたいのです。


私は自分が客である場合、今までいつもそうでした。

どんなに商品が気に入っても、
どんなに店の雰囲気が好きでも、
どんなにそこのアイスクリームが美味しくても、
店員さんが好きでなければ永くは行きません。


逆に、その店員さんや病院の先生や、その人となりに惹かれるものがあり、店や建物や雰囲気・味が好きでなくても、人が好きでお互いに感じ入るものがあった場合、その人がそこにいる限り、私はほかに移れなかったのです。

最近ショップなどは、あまり良いお客様にならないように気をつけています。

手紙や電話を戴いても、経済的に余裕がないので、そんなに買えないからからです。あまり同じ人から買わないとか、いろんな店で買ってみるとか、私なりに気をつけています。そのせいか逆に買い物をしていても、親しい人間関係が成り立っていないので、ちっとも楽しくはありません。

しかし、すごく気に入る店員さんと一度心通じてしまうと、手紙を戴きそのままにすることがどうしても出来ません。顔くらいは見せないと悪いな、と思うのです。


皆さんはどうでしょうか?


「紋屋にしばらく行ってないな。悪いなあ。」と思わなくても、

おかみさん元気かな?
係のAさんはまだ紋屋にいるかな? などと、

思い出してはくれるのではと思います。


単純に紋屋の料理が好き。それでももちろん結構です。

行くのに時間がかからない。

貸し切りのお風呂が気に入っている。どんな理由でももちろん有り難いです。


でも、それ以上の心の通い合いが私はやはり欲しい。
だからこそ私は接客の仕事をしているのだ!といつも思います。

そのつよい思いが無ければ、おなじみ様の増え方も違ってくる、と私は信じているのです。



私は生まれつきアレルギー体質で、すぐに何にでもかぶれる。
特に、汗やゴム製品・ウールなどが駄目です。

食品でも触れないものがあります。
だから皮膚科の薬は常に持って歩いています


そうした理由で、前の結婚のときから利用させて戴いている、皮膚科の個人医院があります。今は、場所的にはすっかり遠くなってしまったのですが、今でも必ず1年に一度はその医院を訪れます。

腕が良いとか、そういうことより、その先生の人柄が好きだからです。

いつも私が行くと話が長くなり、終わって待合室に戻ると、患者さんがあふれてしまって悪いのですが、何とも言えない温かさと優しさを感じる先生です。


ウォーキングや改造したキャンピングカーで犬を連れて旅をするのが趣味で、その話を私に楽しそうになさいます。大きなビルをバブルのときに建てて、今はそれが古くなり、借金が膨れて大変だと言う話も伺いました。

一度は、病院を継がないといっていた息子さんが継ぐことになって、今はその息子さんが、卒業するのを待っている。

後もう一息だと先生はおっしゃっていました。


2年ほど前行くと、先生はなんと紋屋の前で記念撮影している写真を私にみせて、「もし今度行ったら、薬を届けるよ。」とおっしゃっていました。

もし、その先生がそういう先生でなかったら、私はもっと通うのに便利な場所に、病院を見つけていることでしょう。

病院と言えば、私はたいがいどこの先生とも比較的親しくなります。
だからこそ、遠くてももし仮に転勤があっても、その先生を追いかけて病院を変えてきました。

はじめから気が合うわけでも、信頼が生まれるわけでもありません。

でも、しばらく通ううちに気心が知れてくる。
そうならない先生のところからは、だんだん離れていくことになります。



人間は、結局そういうものなのだと私は思います。


今まで行っていたレストランも、

一生懸命ご夫婦でお店を切り盛りしている姿、
アルバイトの人材でなかなかいい人が見つからなくて、
ため息をついている様子。

なんとなく私達にも姿が重なって、やはりそこのレストランにも、時々顔を出して差し上げたいなと、私は思うのでした。


人間同士の気持ちの通い合い、何よりも大事だと思います。


おなじみ様のあるご夫婦は、

「いつのまにか紋屋以外に行けなくなった。」と

おっしゃってくださいます。


また、あるほかのおなじみ様は、

「いつもこうして迎えてくださるから、他へ行かなくても良いよね。」と

話し合っているそうです。


また、あるご年配のご夫婦は

「ここだけなんですよ。何でも話せて心から寛げるのは。」と

おっしゃってくださいます。

ご家族の心配事や、人には言えないような苦しみ。
それを私に話してくださるのです。有り難いですね。


そうやって、少しづつ積み上げていく人と人との関わり。
これからも、ずっと私は大切にしていきたいと思います。


今夜もある方から、
「好きな人ができました。」というメールを戴きました。

お客様と一緒になって、喜びの気持ちが心を満たしました。


良いご縁がこれからずっと続きますように。

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◆素顔の女将◆

フロント課長の能条さんが、たった今、事務所から出て行ったボイラー係りの鯉渕さんを「鯉さ~ん!」と追いかけて行った。事務所に残った家内と私は、

“待ってて、こいさん♪~” と偶然にも一緒に口ずさみハモった。

同じ年代だと、ナツメロでシンクロすることもあるのです(笑)

(by aruji)

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