やさしさは、またやさしさを呼ぶ
98年5月から紋屋に来て、とうとう11年目になりました。前職の百貨店も足掛け10年でしたから、紋屋のほうが長くなってしまいました。
自覚としては、紋屋より百貨店の方が長いような気がするのですが、本当にあっという間の10年でした。

先日、あるおなじみ様がいらして、(私が若おかみになったばかりの頃からいらして下さっている方々です)先日のテレビを観て、
「おかみさんは、すっかりおかみが板についた。貫禄がついたな。」
と思ったそうです。

自分では分かりませんが、最初の頃の私は見るからに大変そうで、一生懸命さはものすごく伝わったそうですが、右も左も分からない感じだったそうです。

そんな私を応援してくださって、ずっとお付き合いして下さってきた。

ありがたいと同時に、恥ずかしさも感じました。

接客の仕事は、それなりにしてきたつもりでも、旅館業はまったく別物。
経営者と言う立場は初めてでしたし、宿泊に来るお客様は、買い物をしに来るお客様とは、勝手が違って苦労してきました。

最近は、たしかにお客様のことでストレスがたまることは、非常に少なくなりました。全体的に、心優しいお客様が増えているのです。私たちが、お子様連れを中心に、優しいおもてなしに徹底していると、お客様のほうもやさしい方が増えるのでしょうか。

このごろは、もっぱらストレスは人事のこと。
人が足りない。
休みがとれない。
AさんとBさんがうまくいかない。
楽しく働いてもらいたいのに、なかなかことがうまく運ばない。

ひとりひとりが、それぞれの事情や感じ方で物を言ってくる。
言うほうは1対1ですが、私はみんなの言ってくることを一人で背負います。

大おかみのように、気にしない、放っておくなんて私には出来そうもない。

前職の時、私はチーフに

「Sさんはご主人が木曜日お休みなので、
たまには木曜日に休みをあげたらどうでしょう?」というと、

チーフは、

「そんなこと考えたら、私が大変だからしないわ。」と言いきりました。

それが、自分を守る手段だったのですね。
紋屋の大おかみもおなじことを良く言っています。


やさしくもあり、そして、たじろがないおかみになれるように、これから先の10年がまた別の修行。

おかみ業は私の場合、10年ではまだまだ一人前にはなれません。

人事のことでいろいろ悩んでいると非常に疲れますが、おなじみ様のお子さんが、私に絵を描いてくれたり、ビーズでお花を作ってくれたり、お話したいさかりのお子さんたちが、一生懸命話すのを聞いていると非常に癒されます。


小さい子供達の可愛さは格別ですね。

最初は、老人クラブの団体さんしかおなじみ様はいませんでした。

このごろは、最初はそっけなかったお客様も、いつのまにか私のメルマガを読んでくださるようになっていて、いつごろからだったか、いろんなお話をしてくださる大好きなお客様になっている。

最初、こちらの大失態があってもう2度と来ないだろうと思っていたお客様が、何度もその後お越し下さって、つい先日、『メルマガは読んでいるんだよ』とおっしゃってびっくり。


そんなことが最近多くて驚いています。

なので、このごろはお客様には逆に励まされたり、慰められたりしています。

ありがたいことです。


忙しい時期の派遣社員の方に、私が「ストレスで吹き出物がいっぱい出来てしまって」といったところ、ビタミン剤を持ってきてくれました。

優しい声と話し方は、まわりをやさしい空気にします。


ストレスに負けない強い私になる事も大事ですが、それと同時に、やはり私はだれにでもやさしい人間でありたい。

まわりに優しい人がいるととてもありがたいと感じるから、私もそのようでありがたい。


ありがたいありがたいと思っていると、ありがたいことがむこうからやってくる。辛いことの裏にも、うれしいことありがたいことが潜んでいるから。

いつも些細なことに感謝できる自分でありつづけたい。

優しい気持ちでお迎えしつづけたから、きっとお客さまも優しい方が増えたのだと思います。

紋屋の従業員達にも、伝わる人と伝わらない人がいるでしょうが、やっぱりつねにやさしくありたい。

感謝していたい。

最近は、『私がおかみを守る』なんて冗談でも言ってくれる人もいて、驚きながらも、なんてありがたいことでしょう!


これからも頼りないながらも、頑張らなくては。


これからの10年もよろしくお願いいたします。

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◆素顔の女将◆

家内を乗せて館山市内を車で走っていた時のこと。
新装オープンの店を車中から見かけた家内が、

「フランス家具店がオープンするんだぁ」と助手席で言った。

「こんな田舎で、フランス家具なんて誰が買うんだろうね」と言うと、

「今は農家の方も裕福だから、買うのよ」と家内が推測する。

大都市でもないのに、商売になるのかなぁと懸念しながら車を走らせ、後刻、問題の店の前を通った時にその看板をよく見ると、
『オフィス家具』と書いてある。
“オフィス”と“フランス” えらい違いじゃないか!

(by aruji)

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