変わらないもの
私が紋屋に嫁いでから、大規模な設備投資はずっと控えてきました。
控えるといえば聞こえが良いかもしれませんが、出来なかったというのが正直なところです。


そのかわりに、比較的簡単に出来るたぐいのことは、ありとあらゆることに気配りをして、ほかに出来ることはないか、この次は何をしようかと常に考える癖をつけてきました。

その成果もあってか、私が嫁にきた頃は老人クラブの皆様以外では、リピートするお客様がいない宿だったのが、大勢のおなじみ様に恵まれるようになってきました。

そして、ターゲットをある程度絞り込んだ結果として、お子様連れで賑わうようにもなってきました。



宿は本来、設備投資は必須であり、単純に古くなっていくだけでは、どうにもならない部分があります。
新しければ良いというものでもありませんが、やはり新しい施設は必要です。


お風呂もなるべくなら露天が欲しいですし、エレベーターも欲しい。

お手洗いを綺麗にしたい、二間続きの部屋を増やしたい。

お子様が遊べるスペースが欲しい。

言い出したらきりがないくらい、さまざまな設備投資が必要です。


エレベーターは、どうしても建物の構造上つけられないのですが、旧式な部屋を新しくしたいですし、狭い駐車場も広くしたい。
お風呂がもっとも悩みの種なので、夢としては新しいお風呂棟が欲しいです。
いまさらかもしれませんが、露天つきの部屋もあっても良いです。


でも、資金がありません。それですべてが夢のまた夢となってきました。


繁盛するまでには、まだまだ及ばない紋屋。

やはり設備を少しでも新しくしたい。

そうでなければ単純に古くなっていくだけの紋屋。

おもてなしやソフトの面で様々な取り組みをしてきましたが、
それでもやはりまだ弱い。


今年の後半に、やっと数年あたためてきた新しい食事処を作る予定です。
もちろんまだまだ構想の骨組みさえも、しっかりとは出来ていない状態ではあります。

それを作るにあたって、今までの紋屋のお食事のスタイルもおもてなしの方法も、多様になって来る予定です。



先日あるおなじみ様にお話ししたところ、

「僕達にとっては、ここは思い出の宿だから、
あまり変わって欲しくないんですよ。難しいところだとは思いますが、
変わらないで欲しい。」

ぐっと来るお言葉でした。


他のおなじみ様からも、

「ここへ帰って来た気がしなくなるので、
なるべく緩やかに変わって欲しい。」といわれたことがあります。

そのときは、ロビーに多少の調度をいれただけだったのですが.....


ありがたいといえば確かにありがたいお言葉です。

「帰って来たと言う気持ち」

「思い出の宿」


でも、それでも長い目で見れば、やはり紋屋をつぶすわけにはいかない。
このままでは何年続くか分からないのだから。



今まで設備は古いし駐車場は狭いし、エレベーターがないしとデメリットにばかり気を取られ、どんなに努力してきたことも、自分自身ではたいした努力とも思えずにいました。

知人に自分の宿について聞かれても、自信がないのであやふやな返答になってしまうことが多々ありました。

しかし、料理一つとっても、私が来た頃から評判は良かったものの、いつも献立は変わり映えしませんでしたし、ちょっと目を離すと、いつの間にか献立会議で決まった内容が、業者に作らせた出来合いの品に変わっていた事もありました。


デザートはいつも同じでした。

アンケートに、『デザートが出なかった』と書かれても、なぜかわからず、気にする人もいませんでした。


今では献立も2ヶ月ごとに変わりますし、内容もかなりブラッシュアップされてきています。

中には「調理場の方が変わったのですか?」と聞かれることがあるくらいに、料理の評判はかなり良いです。


おもてなしも、どの係もたいがいにこやかで、アンケートにも「スタッフの皆さんが親切で気持ちが良い笑顔だった」とかかれています。

私が自信を持てないのは、ひとえに設備が古いからなのです。



最近久しぶりにお越しになったお客様から、『ここの古さが気にっている』というありがたいご感想を戴きました。
どんなに新しい施設ができても、又少しづつ古くなっていく。

新しい施設が好きな方は、又新しい宿が出来ればそこへと流れていってしまう。
だから古くても素敵な宿にしたいと思います。

そのためにも、これからは今までと少し違った改革や、さらに紋屋のグレードを上げるための努力が必要となります。


形は変わっても、心は変わらない。

お客様にいつも斬新な宿としての提案をしていくのだ。


悩みながらも決心する私です。

新しいお食事処が出来れば、お部屋出しはぐっと少なくなります。
小さいお子様連れ以外のお客さまは、食事処になります。

今まで手運びだったお料理は、実際お客様のお口に入るまでに冷めてしまう。
冷たいものはぬるくなってしまう。そういう事は無くなります。


おなじみ様からは、お部屋だしご希望の悲鳴が聞こえてきそうですが、 頑張らなくては。

全部手運びのお料理は、係が持っていくのも大変でした。
そのために、お料理が一番美味しい状態でお出し出来ない部分がありました。
係達が余裕のない気持ちで働いているのも、私は辛い。


変わることは、働いている人にとっても、来てくださるお客様にとっても、賛否両論あると思います。


本当に紋屋を良くしていきたい。

お客さまに恥ずかしくない紋屋を見て頂きたい。

それが成功すれば、次ぎの投資も出来るかもしれない。


古くなっていくだけの紋屋にならないように、これからもどうか応援してください。





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◆素顔の女将◆

先日、研修旅行から帰ると家内の携帯電話が壊れていた。原因が思いつかない家内は、「飛行機に乗ったから壊れたのかなぁ」と大胆な(笑)推測をする。

あの~、私の携帯電話は壊れてないし、もしそれが原因なら搭乗者全員の携帯が壊れるでしょうが!(by aruji)



◇ついでに大女将◇

家内が母宛てに送ったデコメール(※)が気になった母は、家内に携帯電話を どう操作するのか聞いた。料金はかかるのかと聞かれたので、

「パケ放題(※)に入っているのよ」と家内が話したところ、
「えっ、何? ボケ放題?」と母に聞き返されたとか。

お母さん、頼むからまだボケ放題にはならないでおくれ(爆)(by aruji)


(※)デコメール:メールの文字色や背景色を変えたり、メールにカメラで
         撮った画像を貼り付けたり、デコメ絵文字といって動く
         絵文字を挿入したりできるドコモ携帯の機能
(※)パケ放題 :パケット通信料が定額になるサービス

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