◇対価をいただく◇
観光業に携わって11年目を迎えましたが、いまだに悩むことがあります。

お客様にとってはなんでも安いほうが良く、出来るだけタダで、いろいろおまけがついているほうが得。


それをどこまでやるかということです。


サービスは、かなり前にも書きましたが、おまけがついてくることやタダで提供することを言うのではありません。


無料奉仕とは違うのです。


ただ、気持ちの中では出来るだけ何でもやってあげたい。

でもなんでもタダでやってあげていたら、商売成り立ちませんし、働くみんなに無理ばかり強いる結果になってしまいます。

それだけに苦しみます。



最近問題になったのが、幼児のお子様料金です。


ひとくちに幼児といっても、1歳半くらいから4,5歳でも幼児は幼児。

そのうち、幼稚園や保育園に通うようなお子様は大人料金の半額を戴くのが宿泊業では基本ですが、



うちの子は食べないので、布団も食事も要りません。

それでも料金がかかるんですか?」 ときかれます。



入社した頃は、布団と食事が必要ないなら無料でいいと私は思っていました。

しかし、何も食べなくても部屋は汚れますし、お風呂も入ります。
いろいろと細かいご要望やリクエストをいただくのも、その年代のお子様連れのお客様が多いのです。

紋屋ではいただいていませんが、入館料をとっている宿も少なくありません。

ただし入館料をとると、入館料金に対してのサービスを要求されることが多いそうです。

それもお客様からすれば当然でしょう。



はじめは小さかったお子様も、だんだん大きくなる。

何度かいらっしゃると、このお子様はもう半額相当のお子様だな、来年は小学生だなとわかっても、なかなか言いづらい。

何度かそういうことで、お客様側と気まずいやり取りをかわしたことがあったそうです。

正当な考えであれば、それで理解されるともいえません。

何かと難しいです。


食事も布団も要らないから無料でとおっしゃったのに、「下の子供の浴衣がありません」と言う館内電話がかかったり、お帰りになってお部屋に行くと、勝手に布団が使われていたり.....。

それはむなしいと感じます。


あくまでも、心優しさとおまけ・無料はイコールではありません。


それでも、お誕生日だと判ったお客様には、少しの気持ちだけでも、何らかのプラスワンをしてさしあげたい。


他方、「今日、誕生日なんですけど何かありますか?」と聞かれてしまうと、
お祝いをして差し上げようという気持ちが萎えますが、喜んでいただきたい
気持ちは、サービス業に携わる者みんな持っていると思います。


人間対人間。


お互いに良い気持ちで接したい。


お客様側は「タダで当然」と思わないこと。

迎える側は「ご料金を戴くことに固執しすぎないこと」でしょうか。



お互いに、

「お世話になります」

「ようこそお越しいただきました」と

気持ち良く相対したい。



いかなる時も、気持ちを尖らせずに自分を戒め反省し、相手に感謝できる人間でありたいです。


紋屋には、心やさしい温かいお客様が増えている。

これからも私は、無料を要求するお客様に心を尖らせるのではない。

おおらかにかまえて、
いつかはお客様が『行過ぎたことを要求してしまったかもしれない』
と言う気持ちになって戴けるほど、広い温かい気持ちで接したい。



人間の心は難しいけれど、

簡単でないからこそ喜びを分かち合い、

悲しみをあたためあうことが出来ると思うから。



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◆素顔の女将◆
股関節の病気で、階段の上り下りに支障をきたしている家内。

調子が悪いとお客様のお部屋へも伺えないので、悲しそう......。
伺って小さなお子様とお話しできたりすると、とても嬉しそう。

(by aruji) 

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