◇宿屋は全員の努力の結集です◇
昔から、日本旅館に泊まるとなると心づけが必要な気持ちがします。

私達も食事処での食事の場合は出しませんが、部屋出しの場合は、案内してくださった方に「皆さんで」と渡します。

本来、必要は無いと私は思っていますが、どうしても昔からの慣わしで、そうしないといけないような気がするのはどうしてなのでしょうか。

昔に比べれば、くださる方は確かに減ってはいますが、「お世話になります」というお気持ちなら、お菓子で十分です。お菓子ならみんなに分けてあげられますから。



私もこういう仕事になってはじめて気がついたことですが、


フロントは電話予約やメールでのやり取り

間違いが無いかどうか入念な伝票のチェック等

客室係達がみんな帰ってしまっても、フロントはなかなか帰ることが出来ません。忙しい季節は、かなり遅くまで仕事をしています。


狭い駐車場での車移動

第一印象のチェックイン

お部屋への案内 等々

フロントは、宿の中心部です。


係達が忙しい時は、かわりに追加注文のお料理をお部屋へ運ぶ、
お食事が済んだと連絡が来ても、係からなかなか返事が来ない時、
かわりに下げに行くこともよくあります。

それでもフロントに戴いた心づけのお裾分けをする係りは、あまりいません。



調理場も朝早くから出社して、


時間に間に合うように、数の間違いがないように神経を尖らせ、
アレルギーの有無などの確認もしながら、
一日中立ちっぱなしで包丁を握っています。

係達が料理を間違えば、その代わりを作るのは調理場です。

それでも直接お客様に接することがないと、
調理場は心づけを頂戴することは、ほとんどありません。



風が強い日の窓の掃除、今は掃除屋さんが中心ですが、時々紋屋では内務と言う職種の人達が担当します。風が強いこの土地での窓ふきは、大変な重労働です。



紋屋では、ボイラー係がお風呂の清掃をすべてやっています。
温泉のくみかえ、館内全部の設備全般を担当します。


館内の電球の取り替え、

テレビやエアコンの些細な故障への対応、

部屋のドアの緩みやきしみ等

そうした調整をすべてひとりで担当します。
調理場とボイラーさんが、宿屋の中で一番長く勤務しているのです。


直接お食事のときにお世話をする係達は、
確かに紋屋ではすべて手作業で運ぶので重労働ですし、
お客様の快適な宿泊に大きく影響します。

ただ宿屋は、全ての人の努力でまかなわれています。


すべて平等と言うわけにはいきませんが、いわゆる慣わしだけで心づけをいただくと言うことは、
なるべく避けたいと考えています。


どうしても「この係にお世話になったので、お礼を渡したい」というときは、もちろんありがたいです。どうぞその係に渡してあげてください。



そうでないときは必要はありませんが、
どうしても渡さないといけない気がする方は、
「皆さんで」とフロントなどに預けてください。



係に慣わしだからと直接渡してしまい、その係が黙っていれば、お返しも出来ません。最近は、お客様から戴いた時は報告してもらい、半分はフロントで保管することにしました。そして紋屋として、こころばかりのお返しを致します。


そのお返しは業者さんの既製品のものではなく、
(私は一銭もいただきませんが)自分で手作りすることにしました。

セラピストに教えてもらって、ハンドクリームを家で作っています。
保存料を入れず、すこしずつ作るので結構手間はかかります。

いただいた心づけの件数によっては在庫切れすることもあります。


喜んで戴けるかどうかわかりませんが、
色々嗜好をこらせたらいいなと考えています。



そして戴いた心づけは、みんなの為に使わせて戴く予定です。



心 づ け ―

私達はいただかなくても、お客様の嬉しそうな笑顔や言葉で十分です。

どうかご心配なさらないでください。



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◆素顔の女将◆
心づけのお返し用ハンドクリーム作りを、
家内はけっこう面白がってやっているみたい。

ただ自宅で作っているので、
匂いが家中に漂っているのがちょっと.....(^^;)

(by aruji)

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