◇10年を振り返って◇
99年の10月からはじめた私のメルマガ、とうとう11年目に入ります。
時々お休みはしたものの、よくも続けてこられたと自分でも思います。

いつからお読み頂いているかは別としても、私の拙い文章を読んでくださっている皆様、本当に感謝申し上げます。

皆様の応援なしには、今日を迎えられなかったと切実に思います。
本当にありがとうございます。


今日、この文章を書くにあたり、最初のメルマガから読み返してみました。

自分が書いた文章ながら、やはり最初の頃の私は、慣れない職場で戸惑いながら、懸命に頑張っていることが伝わってくるものでした。


書いた当の私が読んでも、けなげな感じがする。
もう今の私には絶対に書けない文章です。

それだけ、今の仕事に私は慣れたのだなと改めて思いました。

良い意味での慣れもあれば、やはり良くない意味での慣れもあると思います。

まだまだおかみとして一人前だとは思いませんが、かなりの事件に遭遇し、経験を積んできたのだと感慨深い思いが胸をいっぱいにします。

こんなこともあったな、そういえばこのときも辛かったなどと思い出し、今の私では、あのときのお客様の心を動かせなかったかもしれないと感じさせるほど、新鮮な接客への意欲に満ち溢れていました。


単純に一生懸命というより、慣れてないからこそ出来た。
お客様の心に響いたと思えます。

これからの私はどうしたら良いのか、多少慣れてきたからこそ出来るおもてなしを作り上げていきたい。

そして、やはり常に新鮮な風を自分自身に吹きこまなくてはいけないと強く思いました。

売店からはじめて、花活けやチェックイン作業
そしておかみとしての挨拶まわり
もろもろの事務、全体の宿つくり
最近は接客係
この10年、旅館業にどっぷりつかってきました。


これからは、同業よりも他業種や世の中の流れを見極め勉強しながら、多少余裕を持って宿つくりに取り組みたいと思います。


来年からは、息子も帰ってくる予定です。
若い感性も入って、私達経営者も刺激を受けられるだろうと想像しています。

私達夫婦が社長・おかみでいるのもあと何年になるのか、有終の美を飾りたいものです。

苦手な経理も勉強し、実質的な意味での経営者にもならなくてはならないでしょう。

本格的に人を育て、少しでも理想に近い職場環境をつくりたい。

逆に、今までの私では出来なかったことを成し遂げていきたいものです。


そして、引き続き心優しいおもてなしの宿として、
確固たる地位を築けるように努力したいです。

先日、私がこの宿に嫁ぐ10年も前からお越し頂いている、おなじみ様がおみえになりました。

私が嫁ぐ前は、誰もそのお客様がよくいらしているお客様だと気づいていなかった。

それで私がショックを受けたお客様です。

その後は、おなじみ様として適切な対応をしてきたつもりではいます。

3年くらい親御様の介護のために来られないときがありましたが、そのあとは順調にお越しいただいています。

いつもは1泊か2泊ですが、今回はなんと4泊もしてくださいました。



前回は、ゴールデンウィークのときで、お越しの時に好物の和風ブイヤベースのご注文をいただきました。

1日目は、こちらで接待料理をご用意していたので、ブイヤベースは二日目にしていただきました。

二日目は調理場のお任せ料理だったのですが、なんと和風ブイヤベースのご注文を頂いているにもかかわらず、他に鍋物が献立に入っていました。

ブイヤベースは生の伊勢海老1匹が丸のまま入り、そのほかにも新鮮な魚介類がふんだんに入り、和風の味噌仕立ての特製スープのボリューム満点なお鍋です。

「どうしてブイヤベースがあるのに、もう一度鍋なの?」と思いましたが、その献立だと知ったのが17時ころだったので、いまから変更は難しいだろうと考えたのと、調理場に文句が言えない弱気な私がそこにいました。

ゴールデンウィークのように忙しい時は尚のこと、調理場の空気はいつも張り詰めているので、何か細かいお願いをすれば、必ず文句が出るのが見えているからです。


献立はかなり手の込んだ創作料理なので、確かに大変です。
細かな好き嫌いやアレルギーなどの対応、離乳食の調整など、
調理場はかなりピリピリしています。


今更変更も言いづらいと、そのままお出ししたのです。
そうしたらお客様も、「えー、また鍋があるんですか」とおっしゃったそうですが、召し上がられたのだそうです。

でも、やはり翌朝体調が悪そうだったと係から聞きました。

朝食もあまり召し上がらずに会場をあとにしたそうです。


いつも良く召し上がり、
紋屋の料理を気に入って下さっているのに、
申し訳無いことをしたと心から後悔しました。



私が、もともと調理長と良くコンタクトを
とっていなければいけなかった。
お献立も早い時間に打ち合わせをしておくべきだったと、
おかみが調理長の顔色をうかがっていてどうするのだと、
心底自分を責めました。
これからは、面と向かって言うべきことを言おう。
そう決心し、お便りをしました。



お返事は、詳しいことには触れないものでしたが、「葉子さんのイメージで選びました」と書かれたお花の絵葉書でした。

今回いらしたときは、「お手紙ありがとう。ご心配をおかけしました」とおっしゃっていただきました。そして、ご主人様が1泊目で急にお仕事が入り、1度お帰りになることになり、また二日後にお戻りになる。
奥様は、ご主人様がお戻りになるまでずっと紋屋にご滞在下さったのです。


お献立はご希望をうかがった上で事前に調整し、
特に3日目のお献立は、素晴らしい内容でした。
一品一品喜んで召し上がり、
「幸せです」とおっしゃっていただきました。


奥様が北海道のお生まれだとか、昨年大切なおばさまを亡くしたこととか、いろいろ世間話や身の上話もしていただき、終始和やかな4日間でした。


私は、お客様と段々親しくなっていく過程がとても好きです。

宿ではそう頻繁にお目にかからないので、
本当に心開いていただくのには、
時間がかかりますが、人と人としての心の交流が無ければ、
接客業をしている意味が無いと私は思っています。



従業員達とも、日常の出来事とか上下関係無く悩みやくだらない話しも出来る
そう言う間柄でありたい。

なかなか難しいけれど、お客様とも従業員達とも、常に和気藹々でいたいと思います。


これからもどうぞ成長する私を見守っていただけるよう、
よろしくお願い致します。
ありがとうございました。



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◆素顔の女将◆
今日のメルマガを書くに当たって、

『10年分のメルマガを、全部読み返してみたら』と家内に提案した。


全て読み終えた家内は、

「素顔の女将のコーナーを読むと、つくづくあなたは人が悪いと判った」と

文句を言う。


いや、あの~そこは読まなくて良かったんですけど...(^^;)

(by aruji)

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