◇ 変わるもの変わらないもの ◇
私ファミリーレストランの「すかいらーく」がなくなると言うニュースを
昨日聞きました。

私が娘の頃、突然あらわれた「ファミリーレストラン」なるもの。
その当時はとても斬新なスタイルのレストランでした。

最初の結婚当時は、今より更に貧乏だったので、外食といえばラーメン屋かファミリーレストランでした。

いまではどこでもあるのが当たり前のファミレス。

そのさきがけとなった「すかいらーく」の撤退は、結構衝撃的でした。




一つの企業が30年継続することはとても大変なことで、そう言う意味でも、紋屋が90歳なのはすごいと言わざるを得ません。

今までの経営者の手腕に頭が下がる思いです。

昨年のリーマンショック以来、安いことが良いこと的な風潮で、破綻した大型旅館の再生手法として、低料金バイキングの宿が絶好調です。

逆に、普通の料金帯の宿が全国的に一番苦戦していて、紋屋も今年の2月以降は非常に厳しい状態です。


「差別化」と言う言葉ももう時代遅れになりつつあり、常に脳の活性化をしていなければなりませんが、旅館業の抱える問題も結構根深いものがあります。

泊食分離されていないこと
食事時間が比較的自由にならないこと
早い時間に布団が敷かれること、等

旅館ならではの決まりごとから、なかなか脱皮が出来ない事実があります。


まだ10年ほどしかこの業界にいない私が、偉そうに何も言えるわけはないのですが、私は、良いものとして「変わらないもの」をどうしても残しておきたいと思うのです。

それは、サービス業では当たり前だと思われるかもしれませんが、

ぶれないお客様への信念、
偽物ではない温かな心に尽きるような気がします。


それをどう表現し、どのように実践していくか、どんなターゲットにどんな手法でどうやって世に知らせるか、どうやって自社のぶれない精神を鍛え上げるか。

世の中が複雑化し、人々のニーズも多様化する。
そういう時代だからこそ、「本物」は残るのではないかと考えます。

ひと頃、ぞろぞろ出てきた食品会社の賞味期限の偽造問題も、「本物」がやや色あせたから出てきたように思います。



決定的に人の心をつかむ、揺るぎ無いもの、それをなんとか目に見えて、音にして響かせたいものです。

思っているだけでは何も伝わらない。

どうすれば、どんなときも、強く伝えることが出来るのでしょうか。




北海道の有名な「六花亭」の話。

ある方が、閉店直後の店の前でたたずんでいたところ、たまたま表に出てきた六花亭の従業員がその存在に気づき、翌朝早いフライトで帰られるその方のためだけに、店の電気も人の配置も、全部もとに戻して迎え入れたそうです。

たぶん、現在の紋屋ではそんな優れた対応は出来ないと思います。
でもそれが本物。

閉店したら、もう帰りたい。
早くおうちに帰りたい。
はやく彼の元へ行きたい。

閉店間際は、個々の抱える生活に戻っていく時間なのです。

でも、そういう対応がいつもできたら、きっとお客様の心に決して忘れることのない、特別な思い出を残せるでしょう。

時代がどんなに流れて新しいものがもてはやされても、
残るものはきっと残る。
接客業は本当にその世界が深い仕事です。


一歩「地の自分」に戻れば、お客様を「お客」と呼んだり、経営を成り立たせるためということに走りすぎて、つい目の前の易きものに流されたり。

忙しいとき、ついそのありがたさを忘れて、「やってられない」「出来ない」の連発になる。

よくある私達の姿です。




以前、私が勤めていた百貨店の新宿支店である買い物をしようとした時、たまたまあったカード会社発効の商品券と百貨店カードの併用が出来るのか聞きました。


担当の店員はブランドの社員なので、レジ担当者に聞いてきてくれて、併用は出来ないとのことだったのですが、カード会社発効の商品券が1枚だけ残っていたので、1枚だけなんですがと問い合わせたところ、レジ担当の係が私の元へやってきました。


2度同じような内容の質問をしたため、その社員は、
自分の怒っている感情がそのまま出た形で、
烈火のごとく怒った表情としぐさで、
「このカードと券は一緒にはお使いになれませんので」と、
乱暴に私の前にどんと音を立てて置いて、
レジに戻っていきました。


使えないものを2度も聞いたのがいけなかったのでしょうが、怒りの感情をむきだしにしてはいけません。

何故買い物する側が怒られなければいけないのかと、不愉快になりました。

レジ係を何年もやっていると、人のお金のありがたさも消えうせ、常に重たいレジ袋を乱暴に投げるようになります。

一生懸命働いて、その対価として賃金を頂く。

毎日お客様がいらっしゃるから、1円の重たさも段々感じなくなる。




先日、ある電話での問い合わせでのことです。

最初、子供がいるから部屋出しにして欲しいという話でした。

部屋出しの赤ちゃんプランの説明をし、その日はプランでなくても、バストイレ付きの部屋ならお部屋出し出来ますとお答えしました。


ところが、最初の話と違い、「自分にも予算があるんで」とさまざまなプランについて、どの部屋になるのか、食事場所はどこになるのかお尋ねになります。

そのときはまだ部屋割りが出来てない状態だったので、はっきりとは申し上げられませんし、部屋指定が出来るプラン以外は、お任せになるとお答えしているのですが、納得してくださいません。

本当は部屋食にしたいのか、それとも予算にこだわっているのか、電話も長くなり、段々いらいらしてきました。


どのお客様にも喜んでいただきたいのですが、どんな商売でも、ご料金に準じて商品や接遇内容が変わってくるのは、仕方が無いこと。

安くしたいことが優先なら、
ご料金以上のリクエストを全ては受け入れられません。


ただ、後になって考えてみると、その私のいらつきが、
直接お客様に伝わってしまっては、プロとして失格。



以前私の買い物のときと同じだったのかもしれないと思い起こし、(そうか、やっぱりまだ私は修行が足りていない)と反省しました。

その時は、私自身は間違っていないと思っていましたが、いつまでも心の中で、そのことが消化不良で、なんとなく気分の悪さがのこりました。


そういうときは、必ず自分に非があるということです。
いかなる時も、自分にも反省点が必ずあるはず。


満点の接客だったとしても、まだまだ向上できる余地があるのです。

常に自分を振りかえることが出来るか否かが、とても重要なこと。


接客業の仕事は、本当にありとあらゆる場面で、いろいろなことを学べる気づきの場です。


常に自分を振り返り真心をお届けできる、
いつまでも変わらない温かい宿でいつづけなければならないと、
改めて決心しました。



「すかいらーく」も、さまざまなファミリーレストランが出来て、選択肢が多くなっただけでなく、何か問題があったのかもしれませんね。

紋屋も気を引き締めなければなりません。


決して変わらないもの、変えてはならないものをずっと持ちつづけ、コツコツと努力を重ね、細々と続けていきたいと思います。


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◆素顔の女将◆
毎回、このコーナーにどんな事を書かれるのか、チェックの厳しい家内だが、 さすがに女将を10年やっていると、新米の時のような、ボケボケしたおかしなエピソードは無くなってきた。

家 内:「今回の『素顔の女将』は何?」
aruji:「特に無いなぁ~」
家 内:「関心が無いのは、愛情が冷めたのね」

今までさんざんネタのダメ出しをしておいて、ネタが無いと言うと愛情が冷め
たって、いったいどうすりゃいいのよぉ~!

(by aruji)

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