◇ アレルギー対応の難しさ ◇
紋屋には、
食材アレルギーのあるお子様連れのお客様がよくお越しになられます。


何年も前から多少のアレルギー対応はしており、
それが口コミなどで広がったのか、最近では、
1日に食材アレルギーのあるお客様がいらっしゃらないことの方が
少なくなってきています。

それだけにきちんとした対応が必要ですが、その程度やアレルギーの出る食材の数、またその種類内容などにより、非常に難しい場合があります。


直接のお電話でのご予約でしたら、ある程度普段どんなものを召し上がっていらっしゃるかなど、詳しく聞き取ることも可能ですが、お客様のお電話番号の記載がない旅行業者からのお申し込みで、備考欄にアレルギーがあると書いてある場合などは、本当に対応に苦慮します。


アレルギーは、好き嫌いと違って生死に関わる問題なので、繁忙期だけは、積極的には承らない方が良いのかもしれないという気持ちもします。


それでも、私自身も生まれつきアレルギー体質で、
生死には関わらなくても、蕁麻疹や湿疹、喘息等に
苦しんできましたので、アレルギーのお子さんでも、
宿泊や外食が出来る環境は多くあったほうが良いと思います。

大人の方でも、たんぱく質がすべて食べられない、ご飯も肉も魚も豆腐も駄目、という方がおみえになったことがあります。

お越しになってから、肉や魚は少しなら大丈夫。
ご飯は特別なものを持っていらしていて、あとはすべて野菜の天麩羅や煮物で対応してほしいということでした。


大勢のお食事を1度に作る旅館では、ひとつだけ特別料理を作るのではとても非効率。

そのお客様はとてもお喜びだったのですが、調理場はしびれていました。


そうでなくてもいろんなプランがあり、プランによってお料理は変わります。

そこへ要注意のお客様がお一人だけということになるので、調理場が良い顔が出来ないのも分かります。


しかし、今のように環境が変化して、
アレルギーがほぼ当たり前になりつつあると、
「やってられない」なんて言ってはいられません。
大変でも、出来ないと思ったらおしまいです。

先日お越しになられたお客様は、お子様が卵と牛乳、パイナップルにアレルギーがあると流れてきました。

ところが実際は

「うちの子は、食べ慣れないものは食べません。
家から食べ物を持ってきているので、
温めてもらっても良いですか?」

とおっしゃいます。

ひとつひとつ食材と調理法を確かめ、確認と質問をしながら食べさせるということで、非常に緊張しました。


嫌な予感がして調理場にデザートを聞くと、メロンとさくらんぼだということでした。

お聞きしてみると「食べません」とのお答え。お刺身も食べないそうです。


トップシーズンの忙しい中、
アレルギーがあると流れている食材の除去に
なんとか対応しているので、とても切なく思いました。

それなら、はじめから食べられるものをおっしゃって頂きたかった、と思いました。


その後、料理のつなぎに使われている山芋にアレルギー反応が出て、お部屋にお帰りになってしまわれました。

ご滞在でしたが、次の日は朝食のみということになりました。


アレルギーのあるお客様がいらっしゃる。
お料理を作る側は、大変なのです。
それでも対応しようと頑張っている。
お料理をお運びする私達も、その対応に喜んでいただきたいのです。

持っていらした食糧は、恐らくいつも食べている、ビニールにパウチされた肉団子とお豆腐でした。

それより、プロの調理長が作ったお料理のほうがきっと美味しい。

お子様も食べることに積極的でなく、お食事をする環境がとても楽しくない雰囲気に包まれていました。


アレルギーがあったって、
美味しいものを食べる時間は楽しいのだと、
教えてあげたい。
そんな思いで胸がいっぱいになってしまいました。

いったいどこでお食事をなさっているのか、できればしっかり食べられるものを伺って、こちらで召し上がっていただきたかった.....。


実際、お子様は体調を崩されて、お熱が出てしまいましたが、それ以上のことにならなくて良かったと思いました。


次ぎの日は回復し、御両親様も

「山芋にアレルギーがあると分からなかったので、仕方がないです」

とおっしゃってくださいました。


ご朝食があるので、

「豚肉は大丈夫。サラダやお豆腐は大好き。
豚しゃぶ、卵なしのハンバーグ、ひじきの煮物、切干大根、
みかんの缶詰、みかんゼリーはOK」とうかがいました。

ところが翌朝、サラダの中に入っていたわかめが残ったと報告がありました。

調理場にどうして書いて渡した食材だけにしないのか。
またアレルギーが出たらどうするつもりなのかと
詰問してしまいました。

調理場は、なんとかお料理の形にしようとします。
冷奴も、お豆腐だけをお皿に盛るなんて出来ないといいます。
サラダもそれなりに形にしたい。

切干大根もひじきの煮物も、中に油揚げや人参を入れないと、料理にならないそうです。



確かに、調理場さんは夏場全員1日の休みもありません。
朝5時半から夜は21時くらいまでずっと立ちっ放しです。

トップシーズンの忙しさの中、
多くの料理・離乳食・各種料理プランをこなし、
さらにアレルギー対応。
怒られては切れますね。

調理長の手が怒りで震えているのが目に入り、申し訳無い言い方をしてしまったと私も反省しました。

みんな疲れている中、頑張っているんだ。
「ありがとう、ありがとう」と言わなくちゃいけなかった。
忙しいときは、みんな疲れて心に余裕がなくなる。

そういうときも、文句をいったり、陰口を言ったりせず、みんなにやさしい職場であって欲しいと切に願います。


2、3日前にも、お部屋に伺うと

「急なアレルギー対応のお願いをしてすみませんでした。」

とおっしゃったお客様がいらっしゃいました。


アレルギーがあるとは知らず、たまたまお子様が他のことで入院し、アレルギーのことが判明したそうです。

そういうこともあるんですね。



また数年前にも、調理場はきちんとアレルギー対応をしてお料理をお作りしたのに、係が間違ってアレルギーのある食材入りのお料理を出してしまったことがあります。

お客様の方で気がついてくださり、難を逃れました。


そのお客様はアンケートに、

「これからもアレルギー対応を続けていただきたいです。
アレルギーのある子供は、なかなか旅行に行くことが
出来ないので、1度の失敗に懲りないで下さい。」

と書いてくださいました。


また、今日読んだアンケートの中にも

「アレルギー対応で宿を選びましたが、
子供連れに優しく、感激しました」

とも書かれました。

これもしなくちゃ、あれもしなくちゃと忙しい中、
決まり事に縛られていると、
余計に気持ちの余裕が無くなります。

アレルギーに限らず、なんでも解決法や少し楽に出来る抜け道はある。

その解決法を考え出し、従事する人が困難に立ち向かえるように、経営者として考えられるように、なりたたいと思います。


暑い夏ももう一息。 頑張りましょう!

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◆素顔の女将◆

家内はシロクマ好きだが、お嫁さんの亜衣さんは、キャラクターグッズのリラックマ ファン。

お互いクマファン同士なので、『クマ友』と称しているが、傍で会話を聞いていると、クマ友というより、

「く、まとも?」 と言えなくは無い(笑)

(by aruji)

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