◇ 泊食分離 ◇
先日、ご宿泊されたお客様からお電話がありました。
お値段が違うと思ったご様子です。

そのお値段の差はたいした金額ではなかったのですが、結局は、お気に召さなかったということなのです。

気に入らない理由は色々なのですが、そのネックになっていることは、恐らく宿泊料金イコール料理値段と思われたことにあるようでした。


そのお客様のご利用になったプランは、「ゆりかご」という赤ちゃんプランです。


そのお値段の中には、貸し切りのお風呂代金・離乳食代・お夕食のお部屋だし代・お子様用の大人と同じお布団代・バストイレ付き客室への差額アップ分・レイトチェクアウト代・専用の貸出しグッズ代・記念写真代など、諸々が含まれています。

それぞれの料金を個別に積み上げると、本来ならもっとお高くなるのです。

ただし、プランに慣れていらっしゃらない、もしくは旅行の内容の選定などになれていらっしゃらない場合は、誤解も多くあることは事実です。


私自身も、この世界に入るまでは観光業の常識などほとんど知りませんでしたから、


「それは、このシーズンはどこだって当たり前」とか、
「旅行会社だってみんなそうでしょ」とよく社長に怒られました。

ただ、お客様側からみると観光業の常識とイコールではないので、値段がすべてになりかねません。


以前に安い値段の宿を選んで失敗したから、
2万円だせば失敗は無いだろうと。

そしてその大丈夫は、もてなしに限らず、お料理・お部屋、全てそれぞれが2万円相当のものだと思い込むのです。

1泊2食でほとんどの旅館さんは料金設定をしていますが、プランの値段は、お食事代金ではありません。

特典の含まれたプランではなく、ご宿泊はいくら、お食事はいくらという設定なら、分かりやすいかもしれませんね。

今回のそのお客様は、プランではない通常の予約で、ひとり2万円以上する宿とおそらく比べたのではないかと推測できました。

「料理がたいしたことない」とそのお客様。

私達の宿は、漁師料理の宿ではない。そのことも恐らく、房総というだけでそのようなお料理を期待されたのでしょう。


船盛りなどの漁師料理を期待してお越しになる方にとっては、紋屋の料理は「たいした料理ではない」などと表現されてしまうのです。


きちんと素材を活かして調理を施した料理であり、
単に素材を切っただけのお料理ではない。
ありきたりな旅館料理を、もともとお出ししようと思っていません。

紋屋の料理が今までで一番美味しかったとおっしゃってくださるお客様も大勢いらっしゃいますし、季節ごとにその味を楽しみにお越しになるお客様も多くいらっしゃいます。


若夫婦様がお選びになり、
まったく私共のコンセプトもご存知ないおじい様おばあ様がお支払いになる場合、
ご自分達の趣味に合わないということになります。

また、先日お越しになられたお客さまは、1泊朝食だったのですが、近くのマンションに知り合いがいて、一緒にお食事したかったようです。
お夕食は、5,000円からとお話すると、御予算が合わないらしく、「それじゃお風呂だけ」ということになってしまいました。

お夕食のみも、もっとお安く出来なくはありませんが、それでは旅館料理らしくない、定食屋さんのような料理になってしまいます。

「旅館に泊まるなら美味しい料理」という定義からもはずれます。


私個人は、客側のとき、
もう少し少量の料理のほうがダイエットの邪魔にならなくて良いのですが、そういう人ばかりではないですよね。



旅館料理は、和食のフルコースのようなもの。
居酒屋ではないですから、料亭や日本料理店のような、
きちんとした形となった料理であるのが、
旅館としての本来の姿なのです。


お部屋代とお料理代を分けた場合、
その値段設定や予約システムは非常に複雑になるでしょう。

ホテルのように、完全に食事を別にしてしまってもいいほど、部屋数もありません。

今までは、幼稚園児4,5歳くらいのお子様が1泊2食のときは、大人の半額を常に頂いていました。


以前から、私は高いと思いましたが、宿の常識では、
それは「当たり前」の中に入っていました。

世の中の風潮がデフレ傾向になると、お正月やゴールデンウィークのときなど、大人の半額では余りにも高いと感じます。


コンサルタントからそれは止めたらとの提案もあって、
今は、お食事代と布団代を別々に頂戴することにしました。
そうすれば、お客様の負担はかなり軽くなりますね。

今後、料理代を宿泊から離すと、更に料理は頑張らないといけなくなるでしょう。
安い価格帯のお料理をどう組立てるかという問題もあります。
プランものをどうするかということもありますね。
一応、この先はプランものと泊食分離と両方が良いだろうと考えています。


まだまだ実現までは時間がかかりそうですけど、
取り組むべき課題は多くあります。

宿の仕事が楽しいことのひとつとしては、「やることが多くあること」だと思います。


毎日がおなじことの繰り返しでは、飽きてしまいます。
お客様側の要望と、宿側のさまざまな事情。

その間には、やはり隔たりもあります。

そして、本当は爆発的なヒットとなるヒントもあるのでしょう。
それを模索しながら、新しい考えかたを探しつづけて参ります。



--------------------------------------------------------------------------------

◆素顔の女将◆

家内は、将来的に人工股関節の手術も覚悟しなければならない体なのだが、この夏は無理をしすぎたせいか、ここのところかなり具合が悪い。

病気のためびっこを引く感じで歩いてきたためか、体がねじれているみたい。

整体でねじれを戻しに行ったが、施術は「出産の痛み」くらい痛かったとか。

かわいそう.....。

(by aruji)

ご予約・プラン紹介はこちら