ゼネラルマネージャーへの道
世の中の皆さんは、宿の女将と言うとどんなイメージをお持ちでしょうか?
昔、TV放送されたという「細腕繁盛記」のイメージでしょうか。
それとも、お客様へ挨拶回りをする姿でしょうか。
今では、女将がご挨拶をする宿は大変少なくなっています。
そしてそれだけが、仕事でもありません。
女将でも、全くお客様の前に姿を見せず、もっぱら部屋の改装やお出しする料理の器選び、出し方の演出、館内ディスプレイ等の裏方に専念している方々もいらしゃいます。
また宿の社長は外に出て不在という事が非常に多いため、毎日のように訪れる多くの出入り業者さんとのやりとり、宿における全ての指令を出す役割に徹している方も多いと思います。
中には女将が3人もいると言う大きな旅館さんも有り、そんな所はどういう役割分担をしているのかしら?と私も思いますが、女将不在の宿も決して少なくありません。
その代わり、女将役のような社員が沢山揃っているそうです。
我が紋屋も、大女将が白浜に来てから一人で切り盛りしてきた宿です。
やはり前社長が月20日も宿にいないと言うのが普通で、お客様の前に出ていた事よりも、従業員を仕切って動かしていたという方が、どちらかと言うと正しい姿だったように主人からは聞いています。
要するに、その宿なりの女将の姿、その人なりの得意分野を強く出していけば良いのではないかと思います。
どの女将が正しくて、どの女将が正しくないという事はないように思うのです。
私は接客の仕事が好きで人の心と触れ合いたいので、出来る限り、お客様の前に出て、お得意様づくりに貢献したいと思っています。
女将しか出来ない心配り、昔ながらの女将わざのような、お客様毎のお好みに合ったおもてなしをしたいのです。
そしてその他、館内の備品を少しづつ女将色にしていきたい。
自分で将来はお品書きをしたり、掛け軸を作ったりもしたいと思っています。
そして一番難しいのが、宿の従業員教育でしょう。
一人一人みんな性格も育った環境も違う訳ですから、本当にこれだけは、そううまく行くとは思っていません。
自分が目をかける従業員がいたとしても、いつ辞めていくか分かりませんし、どこまでarujiや私の経営方針に同意できるかも....難しい事ばかりです。
でも、単に権力を振るうのではなく、一人一人の性格や長所短所を良く見据えて、何も指示しなくても、みんなが自然と動いてくれるような職場に出来たら最高だと思っています。
皆が思っている事を把握し、その上で適切な方針を打ち出して行けたら...。
そして従業員と一丸となって宿作りをして行きたいと思っています。
女将と言う職業は、実際は、どういう宿にするか、どんな施策をたてるか、又その為には何をすべきで、どのように人を動かすか、そんなことを常に考え、組み立て、指令を出し、細細と点検したりと言う仕事が一番多いように思います。
お客様が滞在する時間が長く、衣食住すべてに関わっている為、大変仕事の幅が広いのです。
百貨店にいた頃は、ずいぶんと仕事が一辺倒だったように思います。
まだまだ私は駆け出しであり、不勉強で、ちょっとぬけているというかボケているところがあるため、何においても大女将の母の力強い手助けや、arujiの頭脳を借りないと動けません。
母やarujiがいてくれるので、私は何とか女将をやりはじめているのだと思います。
ゼネラルマネージャーとしての道は、まだ入り口で先は全く見えていませんが、自分の持ち味はやはり、人の心に触れる事が出来るような温かい接客にあると思っています。
くつろぎにいらっしゃるお客様の心に、余り深く入り込んでもいけないと思いますが、ひょんな事から急にお互いに親しさが沸いてくる事もあります。
先日も、私と同じ持病のぜん息のお客様と「私もなんですよ」という事から、そのお客様のご家族の背景や、今までの苦労話しを伺う事が出来ました。
また別のお客様で、何度もお越しくださるうちに、その方の趣味でなさっている絵画展を訪れたりするようにもなりました。
百貨店時代もよくお客様とお食事に行ったり、入院なさるとお見舞いに行ったり、いろいろしてきました。
今までは店や商品を通して、今度は宿を介して、心のふれあいを大切に出来るおもてなしの宿となりたいと思っています。
百貨店時代、よく他の販売員から、何故そんなにお客様と仲良くなってしまうのかと注意された事がありました。
一歩間違えば、自分のプライベートな時間や休日にも、大きく影響が出てくる恐れがあります。
でも沢山のお客様の中には、常識はずれな拘束を要求される方はほとんどいらっしゃいませんでしたし、私を好んで下さるお客様は、皆さん大変に心の広いやさしい方々ばかりでした。
私が再婚して退社する時も、「あなたがいないと困るけど、あなたの幸せの方がもっと大切。幸せになってね」と沢山のお客様が私にお別れを言いにお越しくださり、もう、私は何もして差し上げられないのに、結婚のお祝いを頂戴したり。
そうした思い出は、私にとってかけがえのないものであり、これからも私を近しく思って下さるお客様を一人づつ増やして行きたいと思っています。
紋屋には、ものすごく旧式な部分もまだまだ残っています。
本当の事を申し上げて、心からおくつろぎいただこうと、全てのお客様に心を研ぎ澄ましていろいろ考えると、ストレスが溜まってからだが変になる事もしばしばです。
静かな宴会場の隣が賑やかな宴会で、静かなお客様がしらけてしまったり、夜いつまでも騒いでいるお客様の隣の部屋は静かな老夫婦だったり、お越しになったら4階の部屋(エレベーターがない)なのに、足の悪いお客様だったり、部屋割りは本当に気をつかって頻繁に取り替え、それが吉と出るか凶と出るかで、心臓がドキドキしたりします。
ご料金をいただかない小さなお子様が、大人の方の座布団と座椅子を使ってしまっていて、大人の方が畳に座っていても気付かない客室係もいます。
それぞれのお客様の表情一つ一つに注意を払い、考え行動する。
まだまだ未熟ですが、頑張らなくちゃ。
お越しの一人一人のお客様を大切にし、いつか今よりも立派な宿にしよう。
その為にやらねばならない事の山、山、山。
ポンコツな私が寝込まないよう、時々休みながら、さぁ今日もゼネラルマネージャーとしての道を歩いていくのです。◇主人の正体◇
百貨店のスーツ売り場に行き、「ウエストはおいくつですか」と聞かれたarujiは「ひとつです」と答えてたが、店員さんはニコリともしなかった。商談が成立しなかったのは言うまでもない。(by yoko)・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
◆素顔の女将◆
花屋のディスプレーにハロウィンのかぼちゃが飾ってあった。家内と歩きながら、そのオバケかぼちゃの顔真似をしたところ、「花屋の店員さんに微笑んでるの?」と聞かれた。そんな顔で微笑んだら店員に 怪しい人だと思われちゃうじゃないか!(by aruji)
 ↑
 もうすでに思われてしまったと思う(by yoko)

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