◇ 学びの場 ◇
今年は、年が明けてから寒い日が多いですね。
太平洋側は、穏やかな晴天が多いですが、空気はすごく乾燥しています。

風邪などひかないようにお気をつけ下さい。


私は日頃、病院通いが忙しい人間です。

股関節の治療だけで2箇所、そのほかアレルギー外来やしつこい肩こりの治療、歯医者さんなどなど、合計6箇所の通院で、そのうちの5箇所が東京まで出かけています。

こちらの地方では、自力で行ける病院がないことが一番の理由です。

そうなると、私の公休は、ほとんど病院で終わってしまい、いちいち東京まで出かけるので体は全く休まることがありません。

そのほかにセミナーや習い事もあり、万年お疲れモードです。
段々年をとってくると、それもきついように思います。

でも、私はそのことに気がつかないでいました。

今はフロントと夜の客室係の手配、掃除屋さんの手配、布団敷きや皿洗いの手配などあるので、1組増えると手配が変わります。

体だけでなく、心も今までより更に休まらなくなりました。

そのせいなのか、この頃お客様に対しても、
自分のなかでなんとなく気持ちがささくれ立ちやすいものを感じ、
やっぱり初心を保つのは難しいと思っていました。

先日お越し頂いたお客様で、ご主人様からのメッセージに

「神経質なので、部屋の掃除丁寧に」と書かれてあったお部屋から、ご到着して数分で「雑巾を持ってきてください。」と電話がありました。

そして、それから係が伺ったのですが、結果として私が呼ばれお部屋へ。

お客様の為に一生懸命努めているつもりでしたが、一言申し上げるたびに、反対の意味にお客様は受け取られます。

そのお客様ご自身は、
「私はちっとも神経質なんかじゃありません」とおっしゃっていました。

きっと私の顔には、
「お客様は神経質過ぎます」と書いてあったのだと思うのです。

係が二人がかりで清掃し、その日に洗って茶櫃に入れた急須。
その上に埃があったとおっしゃるのです。

あったとしたら、多分布巾の繊維であろうと思えました。
でも、それが表に出てはいけない。

その人によって、気になる個所は違う。
そのことを十分につきつめていなければプロではない。


自分がどう思うかは別として、お客様のおっしゃっていることを十分に伺う。
そして、おっしゃっているお客様の内容ではなく、お気持ちの深さに同調する。

それがクレーム時における、一番大事なことだったはずでした。

また、ほかのお客様で、
「10年前に亡くなった御主人の愛車を、次女の結婚を機に手放すことにした。最後の記念旅行」と書いてあったお客様がありました。

係から「これはお祝いですか」と聞かれてお客様に確認したところ、こちらの言った意味をほかの意味に取られたのが残念とアンケートに書かれました。


最初は、「どうして?」と思いました


よくよく考えてみると、いつものようには、お客様の立場にたてていなかったのでは?と気づいたのです。

きっと、亡くなられたご主人様との思い出がいっぱいつまったお車だったのでしょう。
とても仲が良いご夫婦だったに違い有りません。

それを、お嬢様の御結婚のお祝いですかと聞くなんて野暮でした。

さっとしか読まないから読み取れない。
お客様の気持ちになっていない。

東京の病院通いを午前午後とかけもちして、家に帰ってくると、朝8時半頃家を出ても、帰ってくるのは22時頃。

往復4時間の高速バスに揺られ帰ってくるのです。
自分が思っているよりずっと、体は疲れていたようです。

その疲れに気がついた時に、その疲れから良い接客が出来ていない自分に思い当たりました。


もっと隅々まで当日予定のお客様のコメントに目を通し、
暗記同然に頭に入れておけば、そうは思わなかったかも知れない。

実際、さまざまなお客様から電話で予約や問い合わせを頂いたときに、本当に多岐にわたるヒントを頂戴します。


それを感じ取る感性だけは無くしたくないなと、切に思います。



たとえば、0泊2食でお越しになったお客様がお帰りになるときに、
「本当は泊まりたいんだけど、年寄りがいて」とか
「うちは犬がいるから」というお話をきくと、


「なるほど、今はお年寄りの介護でお出かけになれない方が大勢いらっしゃるんだ」と、
そういう実情とマーケットがあるという事を知ることが出来ます。



また先日、私はその場にいなかったのですが、お会計でもめたお客様がいらっしゃいました。


お客様は最初、「海の物語」というプランを検討なさっていました。
このプランは、地魚7点盛りのほかに、伊勢エビと鮑がお一人に1匹ずつついて、お一人23,000円というプランです。

それを説明するうちに、段々「値段が高い」と。

そこで電話対応した係は、

「それでは、通常の宿泊になさって、伊勢エビと鮑を1匹ずつになさったらいかがですか?そうすれば***円になります」

と奨めました。


その時はそれで成約したのですが、お客様は実際お越しになって、


「伊勢えびと鮑を一人に1匹ずつと言ったのに、それぞれひとつずつしか来ない」とお叱りの内線電話がかかったのです。

フロントは手配漏れかと思って、もうひとつずつそれぞれを追加でお出ししたのですが、お会計になってその分が加算されていたので、お客様は金額が違うとフロントで1時間ももめる結果になりました。

前日に予約内容の確認電話を入れていますが、お客様は、結構きちんと聞いていないことが多いのです。

お客様がご自分で思いこんでいる事があると、こちらが確認の電話を入れても、そこでまた聞き間違いを起こします。


今回も、お一人毎に伊勢海老あわびが一つずつ付くプランは高いという事でしたので、係りは別の提案をしたのですが、最初に聞いたプラン内容がお客様の頭に残っていたため、こちらの提案内容を誤って理解されたのでしょう。


今後は、予約確認の電話も、

「伊勢エビのお料理はお造りですね」
と調理法を確認するだけではなく、
「伊勢エビのお料理はお造りがおひとつ、鮑のお料理は踊り焼きがおひとつですね?」
と数量まで言わなくてはいけない。

もしくは予約時に、

「伊勢エビ鮑を1匹ずつ、お二人でご一緒に半分ずつ召し上がったら
  いかがですか?」と提案する。

これも「学び」です。

なにかトラブルや問題が発生したときには、
やはり必ず自分自身への何かしらのサインがあるのだと、
また少し初心に戻れた気持ちです。



もう年齢的にも無理が効かない時期なので、たまには家でゆっくりする日も作らなければと考えています。(現実にはなかなか難しいですが)

がむしゃらに進むときは、もう過ぎたかな。
これからはゆっくり進もうと思います。

お客様をまっすぐに見つめられない自分がいるときは、きっと私自身が疲れているとき。


たまには自分の心や体にも目を向けないと、
いいおもてなしは出来ませんね。

もう若くはないのだから。


そしてすべてのシーンに学びの場がある。


それを逃さずにこれからもじっくり感じ取り、おもてなしに生かしていきたいと思ます。

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◆素顔の女将◆

最近家内は、目覚まし時計の代わりにスマートフォンのアラームを使っている。
それは良いのだが、そのアラームには「事前お知らせ」と言う機能があって、目覚ましが鳴る5分前に、小さな音で事前に知らせてくる。

小さな音と言っても、やはりその音で目が覚めてしまうので、ほとんど意味を成さないから「事前お知らせ」を「本お知らせ」にしたらと勧めるのだが、がんとして受け付けない。


かくして私は、毎回5分前に起こされるのでした.....(;_;)

(by aruji)

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