◇ 旅館として守るべきもの ◇
最近は、お客様のニーズが非常に多岐にわたるようになり、そこからヒントも頂けるのですが、困ることも多いこの頃です。

以前、旅館だけの研修ツアーに出かけたときも、ある宿のオーナーは、ゴルフ場の近くにある旅館だったらしく、

「朝食時間の希望がすごく早くて、どうしたら良いのか。」

と悩んでいらっしゃいました。


紋屋でも、釣りに早朝行かれる方のご朝食は出来ないとお断りしています。
お弁当やお握りなども、気候や湿度、保存状態などにより、万が一食中毒にでもなったらと、(今はコンビニもあるので)やはりお断りしています。


通常は、8時から9時半までがご朝食時間。
早めがご希望のときは、7時半からにさせていただいています。
ごく稀に遠い地方からの団体で、7時希望のときは、お越しの地方を考え、7時も受け付けています。

でもそれは特例です。
最近の傾向としては、夕食時間の遅いことがあります。

何時がよろしいですかとお聞きすると、8時とか9時とか真顔でおっしゃるので、従業員の労働時間が長くなり困っています。

皆さんがそれなら、それでもよろしいのですが、ご年配の方は早めがお好き。赤ちゃん連れは圧倒的に早めです。
なるべく残業させず、労働基準法から外れないようにしなければなりませんから、とても苦労します。

私個人としては、自分がお客様のときは、朝食が遅いほうが良いので、プランによってはブランチにできるものも作っています。
夕食時間は、健康のためには、なるべく夕方6時まで食べ始めたほうが良いといわれて言われています。

でも仕事上、普段は無理です。

恐らく世の中の方々も、夕食時間は遅い傾向が強いのだと思います。

また、旅館を居酒屋と同じように考えるお客様も少なからずいらっしゃいます。
それはそれで仕方が無いかもしれません。
宿屋の方で、それなりに対処できるようにするのもひとつなのでしょう。


夏休みに、あるお客様が、メニューには無い焼きお握りの別注文をなさいました。
専用の網がないので、フライパンで焼くので良いならと、調理長がうけてくれました。
網で焼くときも同様ですが、大変時間と手間がかかります。

焼き鳥屋さんとか炉辺焼きの店なら、専用の設備なので簡単なのでしょうが.....。

旅館は人数が多いので、どうしても決まったコース料理を召しあがっていただくのが通常です。
それでもいろんな料理コースがあり、作るほうも提供するほうもかなり大変な思いをしています。

飲み屋さんなら、もともと一品料理チョイスの積み重ねですから、種類が多くても問題はないのです。
そのなかで、離乳食やアレルギー対応も多少はしているので、調理場は常に戦争です。

調理の形態が違うなら、やはりどこまでやるかは線引きが必要だと感じます。

お客様が旅館というもののシステムを知らずに、チェックインの時から、アルコールの注文とつまみを枝豆にするとおっしゃったかたがあり、ちょっと閉口しました。
小さいお子様連れのお客様で、その親御様のご両親様が、「部屋は子供が寝ているから、ロビーにビールを持ってきてくれ」とおっしゃったときもありました。
ロビーで宴会を特定のお客様にされてしまうと、他のお客様が静かに書籍や新聞を読んだり、寛いだり出来なくなるので、お断りしなくてはなりません。


様々なご要望の全てにお応えは出来ませんが、旅館は旅館ならではの良さもある。
ホテルのスマートなもてなしも良いですが、もう少しほっとできる何かが欲しい。

貸し切りのお風呂があれば、一般的なホテルのユニットバスより快適です。

具合が悪ければ、お粥をたいていは作ってくれます。
ホテルは、ルームサービスのメニューに無いと断るところもあります。


旅館ならではのおもてなしをする。
出来ない部分をしっかりお断りするのも、
ある意味では旅館のよさを守ることにつながるのかもしれませんね。

月の座というお食事処をつくってから、そこでは一品づつお料理のご提供をさせていただいています。

温かいものは温かく、
冷たい物は冷たいままお召し上がりいただきます。

導線が長いと、どうしてもお料理がぬるくなる。
それを回避して、旅館ならではのコース料理を楽しんでいただくのです。

ですが、中には、お酒を飲みながら、ちびりちびりとつまむ方があります。

そうすると、その方の前だけ、お皿がどんどん増えてしまいます。
お刺身などは、ぬるくなります。

テーブルもそう広くないのでとても困ります。

だからといってせかすことも出来ず、結局、他の方の料理も遅れ、時間がかかる分、お腹がいっぱいになってしまい、途中で帰ってしまわれることもあります。


旅館にいらしたら、宿屋らしいコース料理をじっくり楽しむ。
居酒屋に行ったら、ちびちびつまんでお酒を楽しむ。
そう使いわけて頂けると助かります。

お部屋食の場合、係が数回お部屋に出入りすることが分かっていても、いちいち鍵を閉めるお客様。

それならホテルのルームサービスの方がよいかもしれません。

いちいち鍵をあけていただくのも申し訳ないですし、お部屋から出るとすぐに鍵が閉まって、出ていけといわれている空気が悲しいです。


ホテルや居酒屋の良い部分は取りいれ、旅館に似合わないものは、しっかり排除していく。


これからもより良い旅館、
より先進的でかつ伝統的な旅館を目指して参ります。

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◆素顔の女将◆

最近、女優の若尾文子さんがCMによく出る。
その昔、建築家の黒川紀章氏は「君はバロックのようだ」と言って、若尾さんの心を掴んだそうだ。

家内は何だろう、などと考えていると、
「君は“ブロック”だ、とでも言いたいんでしょう!」と先制攻撃。

なにも、自分からおとしめなくても、ねぇ...(^^;)

(ちなみに、“メヌエット”かな♪~)

(by aruji)

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