土曜日の憂鬱
私は、毎週土曜日だけは心安らかになれません。
何故なら、土曜日は大概満室になるからです。
単純に忙しくてミスが出がちであるとか、サービスが手薄になり易いとかという問題では有りません。満室はもちろん有り難いに決まっています。贅沢な悩みだと叱られるかもしれませんが、平日はガラガラです。常にコンスタントに70%位が一番私にとっては、嬉しいかもしれません。
このメルマガに毎度毎度「古い宿」と記しているせいか、このコラムを読んでお越しのお客様は、“さぞ古びた宿なのだろう”と思われるそうです。先日も、遠くからディズニーランドの後に紋屋へお運び下さったお客様が、そのようにおっしゃっていました。
「でも確かに古いのかもしれませんが、実際は余り古い感じを受けませんよ」と、そのお客様はおっしゃって下さいました。
それはそのはず、改装済みの部屋だからです。
紋屋は現社長の時代になって、かなり改装を進めてきました。
私が来て3年の間にも、3,4 Fの改装、階段周り、アロマルーム等、数々を手掛けました。
でも、まだ1/3の部屋は残念ながら、白浜に紋屋が出来た当時と余り変わりが無い古いままなのです。
古い=汚い ではないと思いますが、どうしても古さが際立ってしまう造りの部屋もあります。
昨年もそこを何とか二間つずきの部屋にしようと考えましたが、予算の見通しが付きませんでした。
今の不景気に、当分はその1/3の部屋を本格的に改装する事は望めそうも有りません。
もちろん、少しづつカーテンを取り替えたり、備品を入れ替えたりして、大幅な改装は無理でも、それなりにしゃれた雰囲気が出るようにしようと思案はしています。
でも部屋の構造は、当分はお預けになりそうなのです。
紋屋のパンフレットやホームページをご覧になり、ものすごく理想的な素敵な宿と、イメージを膨らましてしまうお客様が少なくありません。料金表にある通り、13000円からとなっていれば、その「から」の場合、土曜日は旧式な部屋になってしまう事もあるのです。
特に狭い部屋は料金を下げたり、貸切風呂を無料で提供したりしていますが、お客様が作り上げた「素敵なイメージ」とはかけ離れてしまいます。
1泊2万円以上するような宿でも、今は不景気でオフシーズンの平日は、お求め安い価格になっている事も有ります。
でもお客様は、それがオフシーズンの平日であった事等も忘れてしまい、あの高級宿でも同じような値段だったのに-----と思ってしまいがちです。
紋屋ではフロントや一部の階段等がきちんと改装されているため、よけいに部屋に到着した時のギャップが大きくなり、その途端にお客様の夢が破れてしまうという現実が有ります。
日本の古くからの宿は、かなりの数、そういう宿が有る筈です。
そしてその多くが、お越し下さったお客様に申し訳ないと思うよりも、来てしまったらこっちの勝ち、知らぬ存ぜぬ、仕方ないでしょの世界なのです。
もちろん、紋屋の旧式な部屋でも満足して下さるお客様も少なくありません。そうしたお客様は、生活レベルが低いからではなく、紋屋の料理や係の対応、アロマ、眺望等いろいろなことを評価して下さっているのでしょう。
ヨーロッパの建物はみんな古い建物ですし、備品やアメニティも全く無しです。
それが当たり前だと知っているので、クレームにもなりませんね。
でも日本の宿屋では、沢山のアメニティが揃っていて当然で、あちこちでこれがあったのに、ここは無い等とクレームになるのです。
私は、一番大切な事は、お越しになったお客様を大切にしようという気持ちではないかと思います。
アメニティも私が来てから、着替え用の巾着袋、レディースセット(綿棒・化粧コット・ヘアバンド)、女性にはタビソックス等を入れました。
女性と男性の浴衣の色を変えたり、女性用の大きいサイズの浴衣を作ったりと、少しづつでも改善を進めています。
またこうした改善一つ一つに、とてつもない労力と費用が掛かるのです。何をするのもボタンひとつ押せば済む世界とは程遠いのです。もちろん、だからと言って旧式な部屋で我慢しなさいとか、こちらに責任は無いと申し上げているのではない事は、ご理解いただきたい点です。
宿屋は昔から、そしてこれからもずっと投資を繰り返していかねばならない宿命を背負っています。まさに宿の命とはよくいったものです。お越しくださるお客様に少しでも多くのご満足をと、日夜いろいろな細かい事を考えつづけ、私はなかなかぐっすり眠れる日が有りません。折角お越し下さったお客様に、その落胆を味合わせてしまうのが忍びなくて、私共の至らない点をホームページに表示する事にしました。
 「お許し下さい」 http://www.monya.co.jp/oyurushi.html
しかしなんと表現するか、意外とマイナス表示もいざ行うとなると難しい問題が沢山有りました。
それにマイナス表示をし過ぎてお客様が全然お越し下さらなかったら、改装どころではなくなってしまいます。
「お許し下さい」をお読みいただければ、4階建てなのにエレベーターが無いこともご理解いただけると思います。
またそうした事を知っていても、足の悪い方が是非泊まりたいとおっしゃってお越しになる事もございます。
必ず今に残りの1/3の部屋もきちんと改装しなくてはなりませんし、少しづつでも居心地が良くなるように改善は進めます。
土曜日のような満室になる日は、そういう事も有るとどうかご承知いただき、その上で、料金やサービスは見合ったものなのか、お考え頂ければと思います。
マイナス表示を、今まではどんな古い宿もしてきた所は無いと思います。どこも綺麗な処だけを写した写真をパンフレットや広告に載せたり、料理のみのご案内だけだったり、門だけが写っていたりします。その料理も、普段の宿泊料金では出ない特別の料理だったり.....。もちろん、どこの宿もお客様を騙したくて、そうしてきた訳ではないと思います。でもこれからは、そういう時代ではないと思うのです。
お客様のニーズも様々なのですから、例えば、きかん坊の小さなお子様が沢山いらっしゃるご家庭では、高級旅館からは遠慮されてしまいますし、お客様自身、気詰まりされてしまうのではないでしょうか。と言っても、そこそこのサービスは受けたいし、料理も美味しい方が良い。眺めが良い所、海が近い所、子供に優しい配慮をしてくれる宿、という点では全て紋屋は合格していると思います。
だからこそ今は、マイナス表示も大切かと思うのです。
新しいものも、また古くなります。
新しい所が好きな方は、どんどん出来る別の新しい施設へすぐ心を移していきます。ちょっと古目ですが、客室係達も明るく気さくです。
私もまだまだ力不足で、特に引率力は弱くいつになったら一人前になれるのか判りません。
しかし、私は主人と出会って、女性として本来の自分に戻れたような気がするのです。
私は元々努力家かもしれませんが、誰かそばに頼れる人がいてこそ力を発揮できるタイプです。
主人の側にいられるようになって、やっと安心して肩をいからせて歩かなくて済むようになったと思います。
主人も「あなたと話していると、良い宿を創ろうって夢が膨らんでくるような気がする。」と言ってくれます。人間一人で生まれ一人で死にます。
自分の力で生きなければなりません。でもやはり一人ぼっちでは寂しい。
主人と力を合せて働ける事が今の私の幸せであり、真面目に頑張れば、いつかきっと道は開ける。そう信じて生きるしかありません。
そしていつか、女将業は主人によりかからなくても何とか逞しく?やって行けるように、努力していくつもりです。
初めは、主人との出会いも運命だとは思わなかったのです。
でも、もしかしたらこの道は、初めから私が歩む道として決まっていたのかも知れませんね。今はまだ険しい登り坂。
主人と息を切らしながら登っている所です。
でも、頂上まで登ってしまったら、もうその先はありません。
今が一番苦しくても充実している時。一歩一歩土を踏みしめて登っていきます。◇主人の正体◇
主人と館山へお昼ご飯を食べに行った。館山湾に美しい虹がかかっていた。「ねぇ見て、虹よ。きれい!」と叫ぶ私に、主人は「虹より三時の方が良いな。おやつが出るもの」とつぶやいた。(by yoko)・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
◆素顔の女将◆
高校生の息子の一人は、自分の昼食代を削って小遣いにするため、自分で弁当を作り出した。見ていると毎日焼肉弁当らしい。
  aruji:「毎日焼肉だけで飽きないのかなぁ」
  家内 :「ほんとね。たまにはハンバーグにしたらいいのに」
 aruji:「.....」
あまり変わらないと思うけど。(by aruji)●おまけの息子●
  aruji:「毎日焼肉で飽きない?
 おかあさんが、たまにはハンバーグにしたらって。」
  息子 :「飽きないよ。いつも変えてるから」
  aruji:「あっ、そう。」
  息子 :「うん、ロースとカルビで日変わりなんだ」
  aruji:「.....」
やはり、家内の血は濃かったようだ。(by aruji)

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