女将のこだわり、あるじの思い入れ
皆さんは「宿づくり」というと、どんなことを思いつきますか。新しい露天風呂を造るとか、新しい建築物のような気がする方もあると思います。もちろん、宿の増改築や改装も宿づくりには違いありませんが、従業員教育やアメニティ選び、館内の生け花や料理の献立、ありとあらゆることが=宿づくりなのです。どこの宿もきっと、今の不景気に四苦八苦して宿づくりをしていると思います。紋屋ももちろん四苦八苦している口です。
どこの宿もお客様を集客することを念頭に置き、様々な仕掛けを行っているわけで、もちろん紋屋もそれなりの仕掛けは常に考えてはいます。しかしながら、今の時代にこれをやれば人がたくさん来る、というような目玉商品はなかなか無いものです。大きな投資をすることも、今は厳しい状況です。やはり地道にひとつづつ努力を重ね、お越し下さったお客様を大切にして行くことが第一であり、基本です。紋屋は頂戴している料金から考えれば、決して悪い宿ではないと思います。でも古い施設であり、新しい宿を好む方に気に入っていただくことは不可能です。ほっと出来るような雰囲気が好きで、アロマを受けて宿の中でゆったりしたい方には、手頃な料金でリフレッシュしていただけるのではないかと思います。釣りを楽しんだり、絵を描いたり写真を撮ることが趣味の方には、紋屋からの眺望はなかなかのものですし、外を散歩してみると、素晴らしいところだと実感していただけると思います。
私は紋屋に嫁ぐ前、東京郊外の立川市にある百貨店(高島屋)に勤めていました。数年前に多摩都市モノレールが完成し、新しい駅ビル・グランデュオが誕生し、2001年1月下旬には私の勤めていた百貨店より駅の近くに、伊勢丹が新店をオープンさせます。立川駅周辺は、昔の面影はすっかり無くなり、これから数年はどんどん発展していくことでしょう。特に新駅ビル・グランデュオは、駅に直結した食品売り場や、徹底的に若者にターゲットを絞った店を揃え、食堂階に中華街を造ったこと等の特徴づけが大変好評で、今時珍しい成功を収めています。それに比べると、18年前から存在している駅ビル・ルミネは、どんなに改装を試みても、どうしても古ぼけた印象に留まっています。先日、友人とグランデュオの中でお茶を飲みながら、やはりハードはハードに負けるのね。これからは特徴を打ち出していかないと生き残れないのね.....等と話し合いました。
今度オープンする伊勢丹のチラシを見ると、各フロアにお買い物相談員を配置させたり、ブランドにとらわれないお肌診断士がいたり、ご年輩の方や車椅子の方用のお買い物カートを揃えたり、今まで店内案内だけだった顧客サービスが、周辺情報まで提供するサービス部門に代わっています。やはり百貨店側も、単にブランドショップを沢山揃えること以外に、ソフト面で何か新しいサービスはないか、きちんと考えている点に着目し、宿でもまだまだ施すことが出来るサービスが沢山あることを考えさせられました。そして他の宿には無い、新しい形の特色付けが人の心を引くことになって行くのでしょう。
では宿にとっての特徴づけは、何をすれば良いのでしょうか。新しいお風呂を造っても、また更に新しいお風呂のある宿が出てきます。新しさは、また新しさに負けてしまう。「古きを訪ねて新しきを知る」 ちょっとひと昔前の宿の味わいを、新しい感覚で打ち出していけたらと思っています。宿において、このおもてなしは自分の宿だけです、と言えるような特別なおもてなしを打ち出していく。行っているおもてなしに、そのおもてなしを導入した由縁を、お客様に積極的にご案内出来たらと考えます。そこで、今回ホームページに「女将のこだわり、あるじの思い入れ」を参入させました。まだまだ始まったばかりですし、小さい宿は人手も足りないので思考錯誤の連続ですが、重いレンガを積み重ねて、今にちょっとしゃれた、こだわり・思い入れが感じられる宿となったら素敵だと、主人といつも話し合っています。
「女将のこだわり、あるじの思い入れ」の中で、たとえば、女性用タビソックスを導入した理由は、宿ではお客様は素肌に浴衣です。半天を着ても入浴後時間が経つと、どうしても足が冷えますよね。足が冷えると体全体が冷えてしまう。特に女性にとって、冷えは大敵です。お客様が靴下をご持参なさっていることが多いことに気付いたのと、自分の体験に基づき、コストがかかっても女性用タビソックスにこだわってみました。モーニングコーヒーの無料サービスも、コーヒーの質を落とさずに良質のコーヒーをご提供しています。今まではセルフサービスで一杯200円頂戴していました。有料だと一杯でも、無料だと二杯も三杯も飲んでいかれる方もあります。今まではコーヒーに手の出なかったご年輩の方も、喜んで飲んで行かれます。売上は失っても、その代わりにお客様が喜んで下さるならと、あるじの思い入れです。
紋屋のおもてなしは、常にお客様からのお声、ご指摘、お過ごしの様子などから考えさせていただいています。まさにお客様からのお声が、何よりの宿づくりのヒントです。気が付いたことがあったら、アンケートに書いてみて下さい。書くのが面倒であったら、客室係りやフロント、私やあるじに対してで結構です。お気軽にお話してみて下さい。すぐに導入できるものと、そうでないものがあるでしょうし、私共の考えに合わない事もあるかもしれません。でも、頂戴するお声の中にいろいろなヒントがあることは確かです。私共の宿づくりに賛同いただける方達のための宿として、成長していきたいのです。万人向けの宿ではなく、私共の打ち出す特色に共鳴して下さる、紋屋と言う宿を好んでいただける、あるじや私に親しんで下さる方々の為の宿にしたいと思います。
コーヒーの無料サービスも女性用タビソックスも、湯上がりドリンクサービスも、特別珍しいものではないかもしれません。でもこうしてひとつひとつ積み重ね、「細かい部分の心遣いが感じられた」というお客様からのお声を、最近多く頂戴しています。まだまだやらねばならないことはたくさんあるのですが、少しづつでも向上するように努力します。
先日、メールマガジンを愛読して下さっているお客様がお越しになり、「苦労しながらやってる感じが受け取れます」とおっしゃっていました。こうしたことを大切に思って下さる.....嬉しいですね。文句を言うことほど、簡単なことはありません。私もこの頃、他の何処かでのどまで文句が出かかっても、紋屋はどうかなぁと思うと、仕方が無いかなぁと思って口をつぐむ事も出てきています。口をつぐまないまでも、不満を不満としてぶつけるのではなく、提案し教えてあげる方が親切かなと思うのです。
紋屋はこうしてひとつひとつ、宿のあるじや女将が考えながらおもてなしをしている宿です。まだまだ至らない点ばかりではありますが、こうしたことにご賛同していただけるお客様のお越しを、日一日お待ちしているのです。  「女将のこだわり、あるじの思い入れ」のページ
    http://www.monya.co.jp/kodawari/kodawari.html・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・◆素顔の女将◆
家内と入った日本料理店で、冷酒を頼んだ。
小さな口と大きな口がある変わった形の容器で出てきた。
  家内 :「これ、どっち側から注ぐんだろう」
  aruji:「小さい口の方だよ。大きい方はお酒を入れるとき用」
  家内 :「そうよね。大きい方だと注ぐ時、ボコボコ入っちゃうものね」
ボコボコ入る!? 相変わらず家内は擬音がオカシイ。(by aruji)●おまけの息子●
下の息子が小学生の時、「いぐあなひ」と言うから例の珍獣イグアナの碑かと思ったら、ダイアナ妃の事だった。(by aruji)

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