お客様側の常識
最近「ジベタリアン(=平気で道路など地面に座っている人)」が目立つように、若者の世代には「自分達だけの世界」らしきものが存在しているようです。でも社会の一員として生きていくには、特に日本の社会においては、協調性も必要ですし、他人にも関心を持って「和」を大切にする精神や、人に迷惑を掛けない事だけでも培ってもらいたいと思います。
そういう私も、どちらかというと協調性に欠けている方ですし、私の息子も、自分の世界に没頭すると他への心配りが不足するタイプなので、私自身も反省しなくてはなりません。しかしそういう私の目で見ても、この頃の若い世代の方々のお子さんに対する躾は、少し問題があるように思うのですが、皆さんは如何ですか?
先日、あるお客様のお部屋へご挨拶に伺うと、「全くお風呂にゆっくり入っていられなかった」とため息まじりにその様子を話して下さったのです。そのお客様の隣の部屋からは、キャーキャー子供たちの騒ぐ声が聞こえてきます。隣の3部屋に泊まっている小グループさんは、小学生のお子さんが7人とそれ以下のお子さんが4,5人もいらっしゃる方々で、お母さん方が7人様いらっしゃるのですが、子供たちだけで遊ばせておいて、母親達は素知らぬ顔、という状態でした。そのお子様達がお風呂に来てからは、浴槽に飛び込んだり泳いだりして、他のお客様が入れる状態ではなかったらしいのです。朝はゆっくりしていただき、お布団をご出発まで上げないシステムの紋屋は、ご朝食は会場食です。そのお客様は、問題のお母様方とお子様方とは一緒の会場で食事はしたくないとおっしゃいました。こちらとしても申し訳なく思う次第ですが、お客様同士の問題の場合、こちらが注意をするという訳にも行かない現状がございます。あわててその賑やかな小グループのご朝食会場を、他のお客様とは別にしてその他のお客様にもご迷惑がかからないように配慮しました。
それでも階段・廊下をバタバタ走り回ったり、キャーキャーギャーギャーの騒ぎ声は手の打ちようがありません。こちらが「他のお客様のご迷惑になりますので.....」と控えめに牽制しても、「あ~、すいません」と言ったきり知らん振り。お越しのお客様の中には、「子供が夜泣きしてご迷惑をお掛けすると申し訳ないので、離れを」という方もあるのに、どうしてこんなにもよそに迷惑を掛けても平気な方が存在するのでしょうか。時々、「隣の部屋の声がうるさくてくつろげないので、宿の方で声を掛けてくれませんか」と若い方から頼まれる事もあります。でも本来、そうした事はご宿泊のお客様お一人お一人の自覚が一番であり、ご料金を戴いている私共は、余り強くは申し上げられないのです。毎年お越しのお客様の中には、隣の部屋をノックしてご自身で注意したと苦笑なさる方もあります。
主人と都内のホテルに泊まった時、隣の部屋の坊やが廊下を駆け回り、ドアストッパーを外に出して、部屋のドアをバタンバタンとドアストッパーにぶつけていました。いつまでもそれを繰り返す為、主人は坊やに直接、やさしく注意をした事があります。坊やは一瞬黙り、親の方へ「変なおじさんがいる」と言いに行きました。結局、坊やの騒ぎは止まず、出張で疲れている私達をよけいに疲れさせました。他人に迷惑を掛けない躾も大切ですが、日本ではよそのお子さんを叱らないという習慣もございます。私が尊敬している児童心理学者の先生は本の中で、よそのお子さんを注意したところ、そのお母さんは「あのおじさんが怒るから止めようね」とお子さんに言い、先生を見返した、と書いていました。よそのおじさんが怒るからではなく、よその人に迷惑を掛けるから気を付けなくてはならない事を、自分の子供に教えなくてはなりません。この頃は、へたによその人に注意するとナイフで刺されてしまう危険があり、皆、行動を起こさなくなってしまった事は実に残念な事です。仮によそ様に迷惑をかけなくても、世の中の常識からはずれていることへの認識を今一度取り戻して欲しいと思う事が良くあるのは、私も年を取ったからなのでしょうか...。
料金を払えば何をしても言い訳ではありません。人様のものなら、どんな事をしても良いわけではありません。お迎えしている私共も人間なのです。一生懸命にお迎えし、喜んで頂こうと思っている私共の気持ちが乾いてしまったり、傷付く事もあるのだという事を、お客様にも知って頂きたいと思います。どのお客様にも喜んで頂きたいと心を配りつづけている私共にとって、一部の心無いお客様の為に、他のお客様がご迷惑を被ってしまうのは、何とも言えない情けなさを感じないではいられません。紋屋はごゆっくりなさって頂く宿。ゲームセンターも静かにお過ごし頂きたい為、設けてございません。ゲームセンターがなくて退屈で子供が帰りたいを連呼した、と苦情を言ってお帰りになったお客様も過去いらしたそうです。走り回る事が好きな年代のお子様連れには、ゲームセンターがあり、走り回れる広場のある大型旅館へどうぞお運び下さい。紋屋には、小さいながら書棚がございます。今の時代、小さい頃からテレビゲームで育っているお子様と、たまには親子で本を読まれたら如何でしょうか。
客商売は、お越しくださるお客様に来ないで下さいとは申し上げられません。百貨店にいた頃もいつもその事は痛感しておりました。毎日特定の店員を一日中眺めているだけという変質者的なお客様(?)も、他のお客様に迷惑をかけない限り、追い出すわけにもいかないのです。宿屋には宿泊、会食、入浴以外のお客様はいらっしゃらないので、そんな変な方は入ってきませんが、やはりそのお客様自身の希望に添う宿であるか、折角ご料金を支払うのですから、よくお調べを戴きたいと思います。少なくとも紋屋は、万人向けの宿ではございません。これからの世の中は、いよいよ個性が大切になっていく時代だと思うのです。ご自身の趣味嗜好に合った宿をお選び頂きたい。そして他のお客様にも少しばかりの心配りを。人間は一人では生きていけません。だからこそ誰に対しても思いやりを持ち続けたい。一人一人のお客様ご自身にも、そう思って頂けたら幸甚でございます。・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
◆素顔の女将◆
「さそり座の中心の星はなんでしょう?」息子からクイズが出た。「ベガ?いやシリウスか?」と答えたところ、「アンタレスでした」 途中から座った家内は何を思ったか、「ドンタコスったらドンタコス」とポテトチップのCMのフレーズを笑顔で口ずさんでいた。アンタレスとドンタコスねぇ。(by aruji)●おまけの息子●
下の息子が、以前私が作ったミートパイの作り方を聞いてきた。レシピ―のありかを教えた後、どうしてと聞いたところ、ガールフレンドに作ってもてなすのだと言う。彼によると、上の息子もガールフレンドに、「東京で一人住まいするようになったら、ごちそうしてね」と言われているらしい。どうもうちのは、料理で女の子を釣る息子達らしい。(by aruji)

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