売店のこだわり
地方へ出かけてお土産を買うときは、たいがい、その地方ならではの特産品を購入しようとなさると思います。何処にでもある物なら、何もそこの土地で買わなくても良いわけです。でも、実際は本当に良い物は大変高価であり、そう簡単には売れません。売れなければ、在庫として店に残ってしまいます。
千葉県の特産品と言うと、海産物であるとかピーナツなど、たいがい決まりきっています。食品以外では、館山の無形文化財・唐桟織、日本3大うちわの一つである房州うちわ、地元の土で焼いた里見焼、等です。私がこの土地に来た時も、土地ならではのもので、際立つ作家を探そうと懸命に努力しました。他の旅館の売店をかなりの軒数を見に出かけました。何処の宿も基本的には皆同じで、仕入れているメーカーさんもほとんど同じ。変わり映えがしません。特に委託販売と言って売れなければ、引き取ってくれる業者さんの品物は、全国何処の土産物屋さんでも扱っているものと変わりがないのです。要するに、いわゆる土産だとそんなに良い物はないということなのです。
私は、自分も欲しくなるような、是非買いたくなるような物を置きたいと考えました。旅館では、余り高価なものは売れない。でも少し小洒落た、ちょっと興味を引くような、比較的安価な物で、しかも、ちょっと変わっているものなら、目をひくかもしれませんね。とりあえずは、自分が好きな陶器類で趣味が良く、この土地で創っている作家を探しました。たまたま近くに東京方面から移住してきて、こちらで作品作りをしている方があり、売店で置きたいのでと交渉しました。
その他唐桟織も仕入れ、食品も自営の工場を持っている落花生屋さんと契約しました。しかし、基本的には房州では独自の産業が成長していなくて、この土地だけでは魅力的な売店にはならない限界を感じました。私自身が好きな物、こだわりを持てるものであれば、決して土地の物に限定する必要はないのではないか。そうした疑問にぶつかり、自分の足で歩いて気に入った物を見つけたら、交渉してみることにしました。子供さん向けの木のおもちゃや、小さな可愛いらしい紙芝居。文香シール(香りの付いたシール)や季節のお香などです。売店の飾り棚も買うなり、小規模でも改装したかったのですが、予算が無いので、生地や、和紙を買ってきて台の上を飾りました。意外とそれだけでも大分感じが変わりました。恥ずかしながら私が書いた書を飾り、ディスプレイの字も自分で工夫してみました。売店用の装飾品がまだ少し納得に至っていませんが、以前に比べたらかなり雰囲気がでてきました。
本当は金額がはっても、もっと高品質な品物をいれたいのですが、宿の場合は、オンシーズン、オフシーズンがあるので、なかなか思うように在庫を揃えられないことが、悩みです。でも、少しづつでも自分好みの製品が入れられると楽しいものです。中には、この土地のものではないものなんて…とおっしゃる方もありますが、実際これはやってみるのと、見ているだけとは大違いで、地の物だけで全て揃えるのは難しい土地柄もあるのです。
これからも、もっともっと楽しい売店になるように努力していくつもりです。インターネットで「こだわりのタオルをいれてみませんか?」などと逆にセールスされることもありますが、ひとつひとつ丁寧に吟味し、良い物でしかも売れる物を掘り出していこうと思います。素敵な物でも売れなかったり、変?なものでもよく売れたりはしますが、何事も女将、主のこだわりが大切なのではないかと思います。
地方へ行ったらその土地のお土産。考えてみると、誰が決めたのでしょう?その土地に、例えば京都のように、沢山の文化的特産品があれば別です。それよりは経営側が自分で選んだ物の方が、業者さんが勝手に置いていった物より良いと私は思います。経営者のポリシーを伝えられる売店にしたいのです。もち
ろん土地のものを全然置かないわけでもないのですから…。
出来ることなら、私が自分で作った物を何時の日か、皆様にご提供出来たらステキですね。その為にも趣味にも力を入れ、腕を磨いていきたいと思います。今後の紋屋の売店に期待していただけたら幸いです。・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・◆素顔の女将◆
売店に、家内が気に入った品を並べて「若女将コーナー」を作った。値札も自分で書いていたが、切り子ガラスの値札に「豆針」とあった。何だろうと思ったら、「豆鉢」の誤りだった。(by aruji)

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