面接
ここ1年半前くらいから、人の採用は私が受け持っています。入社前から分かっていたことですが、だんだん今までの人たちが年をとって退職していくからです。履歴書片手に20分から40分くらいかけて、面接に来た人と話しながらいろんなことを考えます。目の前にいる人をみつめながら、きっとこの人は少々短気なところがありそうだなあ、この人はどちらかというと職人肌らしいからうちには合わないだろう、ちょっと人相が悪いから事件を起こしているかもしれない、と疑ってみたり(笑)などです。
正直に言ってなかなかいい人材はやってきません。給料が高くないからです。もっと良い人材が欲しければ高いお給料を支払えばいいのでしょうが、そうでなくても人件費が会社の首を絞めていますので、そこそこの時給でも来てくれる人の中から選ばなくてはなりません。中には、これはラッキー(職がない時期だから来てくれたのだ)と思える人が面接に来ることもあります。しかしそれは稀です。この人は続かないかもしれないと思いつつ、試しに入れてみたら本当に2.3日しかいないでやめてしまうケースもあれば、その逆もあります。旅館だと、住む所がない人は住み込みで働けて、お風呂も入れて便利なため、結構流れて来る人もあります。そういうことで警察の人が定期的に聞き込みにやってくるのです。もう所持金もなくて行くところがないから、何とかおいて欲しいという人も、私が知っているだけで3人くらいありました。また、とても気に入ってきてもらっても、担当した場所の人と合わずに3日でやめてしまった人、知らないうちに来なくなって、気がついたら隣のホテルで働いていたという人もいました。住み込みで働きたいとやってきて、その日のうちにいなくなった人、保証人になってくれる人をたててと言っただけで、次の日から来なくなった人もいます。まったくもって人の採用は難しいものです。
旅館はそれなりに家庭の事情を抱えてくる人も多く、そういう職種なのでしょう。しかし、お見合いと同じで、ある程度数をこなすと見所勘所がつかめてはくるようです。旅館は何と言っても接客業ですから、基本的には人と話すことが好きな、人当たりがやさしいことが肝要です。本当のところは一緒に働いてみなくては分かりませんが、人に尽くすことが好き、接客肌の人でないと後でクレームの元になります。採用した人間を育てるのも仕事ですが、育つであろうという予測がつかなくても、とりあえずは入れてみなくてはならないほど余り楽しくない、裏方的な、しかもどちらかというと汚い仕事内容の職種もあります。まして、旅館は朝と夜の仕事です。普通の会社のように朝の9時から夕方の5時までという美味しい時間帯ではありません。休日も不定期ですし、忙しいときにはまったく休めません。こうした厳しい条件でしかも給料が安いのですから、働く側も又雇う方も大変なのです。
特に困る点は、オンシーズンとオフシーズンがあること。土曜と平日では大きく開きがあることです。忙しい日は人が足りないのに、暇になると余ってしまいます。こちらの都合にあわせて忙しい時だけ来てくれて、忙しくない時は休んでくれる、そういう都合のいい従業員はいないでしょう。それで、今春は初めて派遣社員を採用してみたのですが、それはそれでいつもいる人たちには良い刺激になったようでした。
しかし派遣社員の場合は、他の地方から来てもらいますので、この辺のことをお客様から聞かれてもわからないという問題があります。また、こちらの接し方もつかず離れずの距離で、厳しいことも言いづらいです。短期で来て貰うので、みんなとの調和の点でも少し気がかりです。たまたま今春は当たりの人でしたが........。私は日ごろから感受性が強いので、この人は多分こういう人なのではないかとか、この人は私とは合わないだろうとか、この人はきっと戦力になってくれるのではないかとか、感じ取る力は強いほうです。でも少し心配がある時はものすごく悩みます。新しい人材を入れて、ある程度性格やその問題点、良いところ悪いところも知れてくると、なるべく適性に合った部署にしてあげようとか、この人のこういう部分をあちらの方向にも使って活躍してもらえないだろうかとか、常に頭を悩ませます。その人の抱えている家庭状況と会社の都合、人と人との相性の問題など、常に頭の中はぐるぐる回っています。
紋屋に入ってもらっているアロマルームの小池さんとも、人の問題はやはり必須なだけにいつも話し合います。アロマルームのほうも人を増やさないとお客様は取れませんが、人を置いても暇な時期はご要望がなく、私どもと同じ悩みを抱えているのです。
時々、この人は絶対良い戦力になるだろうと気に入る人がきたとき、こちらの雇用条件が良くないので却ってこちらが引いてしまうこともあります。でもやはりそういう人は、すぐ他が見つかってしまい、あーやっぱり抑えておけばよかったと後悔します。また、逆にとんでもない人を入れてしまったと後悔することもあります。こうしていろいろな失敗と成功を繰り返し、だんだん逞しい人事部長(?)になっていくのでしょう。大きい会社の場合は、人事は人を採用して配属してしまえばおしまいですが、女将はその後もずっと指導していくので、ひとりひとりの性格や、仕事振り成長具合をいつも頭の隅に入れて、会社への貢献度を査定していき見守るのです。
まだまだ私は女将としては半人前なので、正直言ってすべての人まで目が行き届きませんし、力不足なので指導の方もまだまだ私の色に染めきれていません。私の方から自分自身をさらけ出し、近づいていき、みんなの心を預かれるように早く成長したいと願っています。一人一人それぞれの個性と性格があり、その人にあった指導を駆使したいと心の中では思います。個人差はあるものの、はじめは距離がかなり合った人とも段々プライベートな話まで出来るようになったり、本当に仕事面でありがたい意見を出してくれて、頼もしい気持ちにさせてくれる人もあります。
お客様もそうですが、やはり私は人間が好きです。従業員との関わりも難しいですが育てあう喜びもありますね。もちろん心がまったく届かない人もいますけれど.....。やはり自分の会社の従業員は可愛いものです。言うことを聞く、聞かないや相性もありますが、急にすべてのことが上手くいく方がおかしい。すこしづつ経営側の気持ちが浸透していく。すこしづつ私が見込んだ人に変えていく。それも私の会社作りのひとつです、まだまだやらねばならないことが山積みですが、困難に向かって進んでいくときの気持ちは、かえって爽やかではあります。厳しい世の中ではありますが、気持ちを暗くしていても何も良い事はありません。季節が巡ってくるように、きっといつか良い事もあります。
そう前向きな気持ちで、しかも肩の力を抜いて進んで参ります。・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
◆素顔の女将◆
ワードで原稿を書いていた家内は、officeアシスタントのイルカ(注)が目障りらしく、クリックして「イルカを消したい」と入力していた。す、すごい質問の仕方!(^^;)(by aruji)
 注:ワープロソフトのワードは、画面上にイルカ(他にも犬・猫など)のイラストが出て、操作上で何かわからない時はそれをクリックし、質問を入力すると操作を教えてくれる機能がある。○こっそり義母さんも○
房総・富浦町はビワの名産地として有名だが、家内によると家内の実家では昔、「ビワを子供が食べるとあたる」と食べさせてもらえなかったと言う。そしていただきものは、全て義母さんが食べてしまったとか。地元では誰に聞いてもそんな話しは無く、もしかすると一休さんの話しに出てくる、蜜(だったか)を隠していた和尚さんと同じかも(笑)(by aruji)

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