心のケアの時代を迎えて
昨年私は軽症鬱病という病気になりました。今はかなり回復し、お医者様にもたまに行けば済むようになりました。それでも繰り返し易い病ですし、ストレスをためやすい職業です。私は性格的にも大変細かいことに気を使い、感じやすく傷つきやすいタイプですから、いつもまたなったら怖いという不安を抱えています。
今春に少し精神的に不安定な女性を雇い、経営側も他の従業員もちょっと手こずった経験をしました。その女性が行くべき医療機関は近所にはありませんでしたし、考えてみると日本は精神面でのケアが、海外に比べて非常に遅れている事に気づきました。海外では、当たり前のように映画の中にも小説の中にもカウンセリングを受けているシーンがあるのに、日本では心療内科という言葉さえ余り知られていません。日本においては心のケアそのものが、社会の中で見落とされがちで、少なくとも今までは、偏見の中で放りっ放しになってきたのです。たまたま見たニュースでも、日本の大企業の58パーセントが、鬱病により長期休暇を取った社員をかかえているそうです。
日本においては、気軽にカウンセリングを受けられる医療機関は少なく、まして入院施設がある心療内科は、更に少ない状態だそうです。これだけストレス時代を迎え、癒しという言葉がはやり、CD屋さんに行けば癒しの音楽コーナーが必ずあったり、ショッピングセンターにもアロマテラピーのコーナーがあったりするのに、心のケアが遅れている社会が存在しているなんておかしいですね。だからこそ、私自身も疲れすぎる日常を捨て、無理をしない安らかな環境を作りたいと思います。そして、その上で本当に寛げるおもてなし、宿屋のあり方を少しづつ考え進めていきたいのです。
アロマを導入してから、紋屋のアロマにすっかりとりこになって、お越し下さるお客様が増えてきました。その方々の中には、いつもぎりぎりの状態まで我慢をして、限界の状態のときに紋屋にいらっしゃるという方もあります。それを考えると、現代の旅行も昔とは違うスタイルや傾向もあるような気がします。
せっかくアロマオイルトリートメントがあるので、宿泊施設全館がアロマの香りに包まれた宿にしようと、廊下やお風呂場にもアロマオイルを炊くことにしました。夜はランプの明かりが綺麗です。そんなちょっとしたことで、お客様からも喜んでいただきました。
また、わたしはたまたまデパートにいた最初の7年間をフレグランスコーナーで過したので、その知識に加え、セラピストからも教えてもらいながら、部屋で楽しむアロマランプのオイルを自分で調合してみることにしました。紋屋のオリジナルオイルが出来あがりです。そしてその3種類のオイルをご用意し、アロマランプを無料でお貸し出ししています。嬉しい事にオリジナルオイルを結構お買い上げくださるお客様もいらっしゃいます。
最近は、大きなお風呂でも他人と入るのが苦手という方がいらっしゃいます。そこで癒しの音楽の流れる貸切風呂をなるべくご紹介して、やはりアロマオイルを炊き込んだ個室のしゃれたお風呂でおくつろぎいただくようお勧めしました。(貸切風呂用オイルは、肌に直接使用していただけるオイルだけでブレンドしました)また、ご入浴後にちょっとおしゃれなオードゥトワレをお使いいただけるよう、ご用意いたしました。(本来、オードゥトワレは、シャワーを浴びるたびに身だしなみを整える目的のものです。)白浜は、「気」が強いところだそうですが、私自身もその気を取り込む方法を知りません。すごく景色がよくて、その景色を眺められるだけでもストレス解消になるような土地なのに、ちっとも眺めてはいません。あーしなくちゃ、こーしなくちゃと何時も忙しく仕事のことを考えるのではなく、一日に1回でも、美しい海を眺め海の空気に触れ、雄大な海から元気をもらい、様々な心配事から心を放つ一瞬をもちたいと思います。心の病も本来は、窮屈な部屋へ自らを追い込んでいるようなものです。そうせざるを得ないような世の中で、少しでもケアを果たせる旅館でありたい。そうでなければ、私自身が鬱病を経験した甲斐がない(?) と考えています。
宿造りはなかなか思うようには進みません。不景気で望むような投資が出来ないからです。でも、牛歩の歩みのようでも前へ進み、少しでも快適な空間作りやおもてなしのあり方を確立したいと思うのです。
旅館業は、細かい配慮や心遣いが必要な職種です。神経が太くてのほほんとしたタイプの人より、神経が細やかな人のほうが、おそらく旅館には向いているでしょう。しかし余りにも細かく気を使いすぎて、却ってお客様がつかれるようでもいけません。お迎えする私たちも健やかな心で、疲れているお客様をいつも優しく包み込めるようになりたいと願います。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
◆素顔の女将◆
「often と sometimesはどう違うの?」と面倒な質問を家内から何度もされた。「英語科の高校生(=息子の事)に聞けば」と逃げておいたので、何と教えてもらったか後日になって聞いたところ、「聞いたけど忘れたぁ!」と言う。一体、何のために度々私に聞いたのだ?!(by aruji)*ついでに大女将*
携帯電話に元々入っていた着メロの中で、母は「与作」をお気に召さない。母の友人も気に入らないと言っているそうだが、息子に言わせると「与作に一番近い人達なのにね」あ、私が言ったんじゃありませんからね、お母さん(^^;)(by aruji)

ご予約・プラン紹介はこちら