台風被害
今年は関東に台風が3つも直撃し、季節はずれの10月の台風21号は、紋屋に多大な被害を残しました。全国的には雨台風より被害は少なかったようですが、残念ながら紋屋は大被害を蒙り、精神的にも経済的にも大きなショックを受けました。
この日は、前日から私の姪が静養に来ていましたし、お客様も少ないものの、休館ではありませんでした。雨台風は昨年経験して対応に慣れましたが、今回は風台風でしたから、私は戦後最大の台風とニュースで聞いても、何やらピンと来てなかったのです。現実は厳しく、夜の7時位からそれははじまりました。町全体が停電し、波が海から直接飛んできました。異様な風に外へは出られない状態です。窓やガラスが吹き飛んだところでは、そのままにするともっと吹き飛ぶ個所が出るので、宴会場の畳をはがして皆で抑えました。女手だけではどうにもならない、危機迫った状態に私は、怖がる姪をつれて何も出来ないでいました。客室から事務所に連れて行く際に、頭の上からガラスが落ちてきましたし、私たちが通常休んでいる部屋に行ったら、震度3位の揺れ。そのうちドンという音がしてミシミシ、バリバリバリバリ。慌てて又事務所に戻った次第です。旅行会社からの電話が鳴っても、暗い事務所の中で満足な応対も出来ないので、明日にして頂きました。古い事務所の周りは、雨漏りのオンパレード。従業員が非常灯の下に立った私に、「そこは危険ですよ。上からどんと天井が落ちてくる可能性がありますよ。」など言うので恐ろしくなりました。
私は役に立たない自分に嫌悪し、自信を喪失しているのを感じます。長い経験をもった母が、畳をはがして窓を抑えることや、工務店の手配など一人で指示したのです。私はお客様に今の状態をどんな風にご説明して良いやら、考え込んでしまいました。段々にひどくなって9時ころやっと少し説明できる状態になったので、なるべく外の被害が及ばない部屋へ移動していただいたり、空室に入って確認作業をしたりしました。結局、帰宅は11:30頃になりましたが、もう既に雨は止み、嘘のような満天の星が輝いていました。朝になってみれば、夜見えなかった所まで見渡せて、本当にひどい惨状に唖然としてしまいました。もちろんその日の夜、屋根が吹き飛んだ時や窓ガラスが割れた時は、とてつもない音と地響きがしましたし、建物ごと吹き飛ぶのかと思ったほどでした。吹き飛んで途中からぶら下がった屋根の一部が、ニューヨークのテロ事件のビルが倒壊した時のような不気味な音をたて、鳥肌になりました。
結果的には南側の西よりの屋根の一部が飛び、裏の建物は3分の2の屋根が吹き飛びました。西よりに大きなマンションが建ってから、時々ガラスが割れることがあっても、今回のように大掛かりな被害は今迄なかったそうです。今回の台風は、2階の宴会場前の窓を吹き飛ばし、壁も大きく損傷し、1階のガラス製のドアも破壊してしまいました。配管も損傷を受けましたし、所々穴があいている個所の多いこと。
夜は何が倒れているのか分らなかった物体は、吹き飛んだ屋根の一部でした。畳で抑えていた壁の向こうには、倒れて来た柱が横たわり、その周りに吹き飛んだ屋根のトタンが竜のように巻きついていました。
また、最も損害が出た部屋は、屋根だけでなく天井も無いサンルーム状態に成り果て、もう部屋として機能しなくなってしまいました。早く工事をしないとみっともないだけでなく、もっと被害を広げてしまうので、早速その日のうちに工務店に見に来てもらい、次の日の早朝から工事に取り掛かりました。一夜が明けた後は、紋屋の破片が飛んだ近所の方々からの苦情の山。社長は毎日その応対で食事も満足にとれていませんでした。よその旅館さんも60メートル屋根が飛んだところもあったそうですが、ごく近隣ではうちの被害が一番大きかったようです。借金が少しでも早く返せるように、運転資金を抽出するのにも大変な状態なのに、工事をしなければもっと被害が大きくなってしまう。そして近所は、うちが旅館ということで補償して当然と思って来ている。
法律では天災においては補償の義務は無いそうですが、田舎では義務が無いではすまなくて、私たちの立場の味方になってくれるものは何も無いのです。怒鳴り込んでくる声が聞こえてくるだけで、ストレスを溜め込んでしまいます。実際その応対をしているのは社長であり、そばにいる私は本来なら元気でいてあげなくてはならないのに、なんて頼りないのだろうと思います。家に帰ると悲しくなってしまいますが、こういうときの救いはかえってお客様です。私もお客様の前だけは笑顔が出て、メルマガを読んできたとおっしゃって、親しみをもってお話してくださる方からかえって微笑む元気を戴いているようです。
アロマルームの小池さんからも「何時も見守っています。」とメールを戴き、一度しか泊まっていないお客様からもお見舞いのメール、顧客さまはもちろんのことです。元気が出ない社長からも、更に元気が出ない私に「あなたが側にいてくれることが大事なんだよ」と言ってもらい、涙が止まらなくなりました。
アロマセラピストの小池さんは、世の中に偶然は無い、必然だと言います。バッチフラワー(病気を治すために、心の状態の改善に働きかける自然療法)のバッチ博士は、病気は役に立つものという説を持っていらっしゃる。要するに、苦労や悲しみもその後の何かに役に立つのでしょう。苦しみは味わいたくないものですが、乗り越えた時は心地よい風が吹く時のように爽やかですし、何事にも動じないどっしり構えられる精神を身に付けられます。まだまだ私は未熟者、元気でないのもしょうがない。そのうち取り戻すまでじっとしていましょう。人生いつ何事が起きるかわかりません。気を引き締めて、悔いの無い一日を生きて参りましょう。
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◆素顔の女将◆
家内がお客様へお出しする献立をワープロで作っていた。見ると、デザートが「巨砲シャーベット」となっている。きっと、そびえ立つ巨砲のようなシャベートを出すつもりなのだろう(爆)(by aruji)◎付録の友人◎
息子のクラスで生物を教えている私の親友は、授業中オジンギャグをよく飛ばしているらしい。最初の頃はクラスでも笑いが出ていたが、段々と冷たい空気が流れ出し、最近ではみんな冷えきっているとか。世間は秋だが、クラスはすっかり初冬のようで、さすがに生物の先生、季節には敏感である。クラス全員の冬眠も近い。(by aruji)

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