家族営業
小さな商売屋は、殆どが家族で運営していると思います。私も結婚前、社長からは「女将にならなくてもいいよ。」と言われました。しかし「自営業の場合家族の理解と協力が絶対不可欠。手伝ってくれたら嬉しい。」とも言われていました。実際、入ってみなければどんな会社なのか、どんな仕事なのか詳しく分からないと思いますし、この地方で自分が生き甲斐を感じられる仕事を他に探すのも難しいと思いました。それでとりあえず手伝ってみるところから始めました。
サービス業と言えども、デパートとは異質であることをひしひしと感じながら、また小さな会社、特に家族営業的な色がかなり強いことも、私には非常に馴染みづらい感じを覚えていました。みんな入ってから何となく覚えていく形式で、マニュアル的なものが何一つなく、教育もそれこそ何も行われていない会社でした。
以前の紋屋は、殆ど全てのことは母が背負い、全てをこまごまと指示し、誰もがその指示を待って動くだけでした。だんだんに母が責任者を各部門ごとに作り、その人に任せていったのですが、人はどんどん変わっていきます。会社としてすべてが決められた事項として動けなければ、本来はいけないのです。責任者に任せたままで、その人の考えや行動に同意できないことも私は多くありました。ひとつひとつ基本は、経営者が良くみんなの意見を聞きながら取り決めて、ずっと徹底していけるシステム造りが必要なのです。
要するに家族営業的な伝授で済むのは、本当に家族のみで働いている場合なのです。それなりに人数があれば、そこにマニュアルもなくてはならないですし、教育も必要なのです。それを私が認識し、社長や常務に理解してもらうのは、恐ろしく大変な作業でした。フロントなどは特に頭脳の部分なので、かなりしっかりした知識や業務上の伝達が必要です。しかし私が入ったときは、永く勤めている予約専従がいましたから、他の人に対する教育よりその人に任せきりになっていました。予約はかけひきもありますし、旅行業者の企画物も沢山あり、頻繁に内容も変わりますので覚えるのは容易ではありません。覚え方や見方の指導も未だに徹底する所までは至っていません。とりあえず旅行業者別で企画物ごとの注意点を記した表を社長に作成してもらい、対応しています。そうしたことをひとつひとつ検証し、指導の方法を考え、私も含めてみんなに分るようにして欲しいと訴え続け、少しづつ変わってきているのが今の紋屋です。
今まで行ったことがなかったフロントの予約勉強会も、やっと数回行いました。電話応対の勉強会、これからも時々していかなければならないでしょう。まず、先の予約はいつから取っていいか、宴会場のご案内の仕方、先の予約で料理内容の問い合わせに対する上手なトークなど、挙げ始めたらきりがないほど指導すべきことが存在しています。その都度いつも的確な指導も行えていないのが現状のような気がします。今はインターネットの時代なので、自社の季節ごとのプランも大きな会社でしたら販売促進部などがあって、少なくとも半年先まで決まっています。いつも社長一人が考えるより、みんなの意見も聞いていこうと委員会を設置しました。今迄与えられたことをただ一生懸命やっていればよかった人たちは、戸惑いを感じているようです。本来は、自分たちの会社は自分たちで作っていくもの、それが小さな会社のいいところなのですが.......。
従業員の一人一人の意見や考えも、今まではアンケートで出ないというだけで直ぐ却下されていたらしく、本当はお客様からかなりお声があがっていることも見逃しがちになっていました。また、従業員だけしかお客様と接していない為に、伝わりづらいことも多くありました。外から来た人間から見れば、今迄あげたことだけでも十分におかしいと感じます。それを素直に社長や常務が分ってくれるような説明が出来る私になるのも、時間がかかってしまいました。常務(義母)とは、嫁姑としてのぶつかり合いは殆どしたことがありませんが、やはり年齢差や性格の違い、考えの相違、そうした点で私一人悩みを抱えてしまうことが多いのが日常です。私としては、段々私に力がついてくれば余り口出しをして欲しくない範囲がでてきます。しかし、母にとってはその辺が分りづらいようですし、私を傷つけるつもりではなく私の立場を損なってしまうことがあります。言わなくちゃ分らないからと遠慮気味に言ってみてもなかなか通じませんし、余程たまってから真剣な話し合いにでもならない限り、分らないようです。
それは、実際に血がつながった親子でも同じなようです。ある程度の年齢になると、もしかしたらかなり強く訴えても、言っている意味が正しく理解できなくなってしまうのかもしれません。お年寄りを傷つけるのは傷つける方も辛いですし、苦しいものです。いつか自分もそうなるのだろうと思うと、やるせない気持ちになります。
夫婦でもぶつかり合いはかなり多くあります。まして社長は、普段から誰からも何も言われない立場で暮らしています。昔、若い頃に営業で嫌な思いを経験したとはいえ、毎日気が合わない上司の下で苦労した経験があるのとは、基本的に違いがあります。なかなかその点は認めてもらえませんが、私のストレス度合いはかなりなものになります。
本来は商売を一生懸命支えあう間柄なのに、そうした苦労というものは付き物であり、悲しいですね。この前も、婿入りして商売をなさっている方が、喧嘩をして家を出てきてしまったと突然紋屋に泊まりにいらっしゃいました。私も慰めには行きましたが、お一人でさびしそうにしていらしたそうです。家族は近しい間だからこそ、簡単に感情をぶつけ合いがちです。相手を思いやることの難しさを痛感します。
その替わり、意見交換が上手く運んでいる時は大変仲が良く、いろんな出来事が絶え間なくあるせいか、余り倦怠はしません。それだけ様々な問題が頻繁に発生するということなのです。きっと家族でなくても、商売をしているところはみんな、働く人同士心を通わせ合うことの大切さを知っているでしょう。一緒に働くとその人の全てが見渡せますから。家族でなくても従業員とでも、言葉の難しさを感じることは実に多いものです。誰に対しても同じように接し、平等にと思うと会話不足になりがちですし、誰かを立てると誰かが立たなくなったりします。
この頃は、とみに一人一人との会話の必要性を感じます。決して心を開いてくれない人もいますが、本来は誰とでも家族のように様々な小さなことも相談し合える、そうした家族的な会社でありたいですね。98年の5月から勤めた紋屋。女将としては99年の3月くらいからがはじまりです。メールマガジンを始めたのが99年の10月、この頃このメールマガジンが社員教育や、会話にも役立っています。お客様開発、お客様との心のふれあいにも大きく貢献するようになってきました。ありがたいと思う気持ちをこれからも忘れずに、努力していきたいです。
私が考えるおもてなし、私が考えている会社作りは、少しづつこのメールマガジンによって、お越しになるお客様にも目に見えて判るようになりつつあります。多くの励ましメールは、私に力を与えてくれるのだと思います。それでも時々疲れ果てますが、私はもうこの仕事をたまたま嫁いだんだからやっているのではない、と感じます。これからも応援して下さいね。・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
◆素顔の女将◆
家内が(私達の時代の)ナツメロを口ずさんでいた。「はりやでずっと流れてたのよ」と言う。張谷さんちってどこだろうと思って聞くと、通院している針の治療院の事だった。針屋さんねぇ.........。(by aruji)●おまけの息子●
つい最近まで下の息子は、「カンゲイコ」の事を「歓迎校」だと思い、冬の早朝に出掛けると学校から歓迎されるらしいと思っていた。そんなのあるかぁ~。(by aruji)

ご予約・プラン紹介はこちら