ひとつづつ
私が紋屋に入社してから、様々なことを変えてきました。やりたいこと、変えたいことは山程ありますが、それなりに費用もかかることなので、いつも優先順位をつけて、一番先にやらねば成らないことを選んで実行しています。建物が古いので補修費も多くかかっていますし、様々な機械も故障します。そうした中で、変えていかねばならないことを速やかに行動に移す為に、いつも品物の購入方法や何所でどんな風に購入するかが、非常に大切なポイントとなってきています。
今までは、旅館やホテル専門の業者さんにお願いして、適切な品物を持ってきてもらっていたのですが、この頃では、そうした業者さんに任せるよりも、自分たちがインターネットで探した方がいい場合も出てきています。なにしろ紋屋は大きくない宿なので、一つ一つの商品に数がいらないからです。業者さんに頼むと、他の旅館さんと同じ製品がバッティングしやすいこと、また数がまとまらないと安くならないこと等があります。(例えばお土産用のサービス袋一度に一万枚も注文しなければなりません。)
最近では、自分で小売店をあたるか、インターネットなどで卸売り業者さんを探すなどして、紋屋らしい私たちの趣味にあったこだわりの製品をさがすことに面白さを感じています。出入り業者さんは、数がまとまらないと余り熱心に探してもらえないこともあります。
そして、多くの旅館で使われていないことも重要です。なるべくオリジナルに近いもの、何所にでもないものにこだわりたいのです。他の旅館に行って、「この布団、紋屋と同じだ。」ということもありますし、醤油入れが同じだったりもします。出来る事なら、なるべく他の旅館や他のお店では出会わないものが良いですね。
そうはいっても、私たちは全国から出展するギフトショーなどにも行き、仕入先を探しますから、デパートに紋屋と同じ仕入先の商品が並んでいることもあります。完全なオリジナル商品も、少しづつ増やしていきたいですね。今年の夏は、もう何年も目をつぶってきた玄関の下駄を探してみました。お客様からも歩きづらい、足が痛くなったと時々クレームになっていたのです。素敵な下駄はギフトショーや小売店でも良く見かけます。しかし、大変高価でそう簡単には業務用として使えないものばかりです。でも今までと同様の、履き辛くて見た目もさえない下駄は気が進みません。
今は、下駄を履く人も減ってしまい、地元の下駄屋さんもつぶれて少なくなってしまいました。夏のお祭りの時期までもう日にちが無く、かなりあせりました。インターネットで検索し、履きやすそうで見た目もよく、普段下駄を履きなれない方でも安全に履ける物を探しました。しかも見た目もしゃれていて、値段が手ごろなものでなければいけません。
手ごろな値段で探すと該当商品なしで出てきます。仕方なく値段を少しずつ上げて、とりあえず問い合わせをしてみる事にしました。今は需要が少ないせいか、下駄のメーカーではほとんどが注文制作だそうです。私も着物なので、雨の日は以前、普通の雨下駄を履いていました。下駄は歩きづらく怪我しそうです。そこで底にゴムが張ってあって、余り高さが無いもの。鼻緒も和風な雰囲気があるものを探しました。安いものは、聞いてみるとありましたが、やはり鼻緒が汚れやすそうだったり、素材が気にいらなかったりします。下駄メーカーからメールで商品の写真を送ってもらい、また電話でも相談してやっと仕入れたのが今ある下駄です。
       http://www.monya.co.jp/kodawari/geta.html
男性ものは大島柄の鼻緒で、女性用は、トンボ柄、市松柄、刺し子柄のものがあります。到着した商品は、私が思っていたものより立派なものでした。紋屋と同じ料金帯の他の宿では、素敵な下駄を置いてある所は滅多にないので、嬉しい限りです。また、幅広の浴衣も今年仕入れたもののひとつです。皆さんがご存知かどうかは分かりませんが、幅広浴衣はあまりそろえている所はないそうです。業者さんはどこも、「幅広の浴衣なんて特別注文ですよ。大きな旅館だってせいぜい10枚くらいじゃないですか。」と言います。旅館の浴衣は洗濯がはげしいので、直ぐ縮んでしまうのです。
生地を自分で買ってきて作れば、更に高くつきますから、浴衣の場合はやはり業者さんにお願いすることになったのです。何所の業者さんも、あまり積極的ではないことは残念でした。
既製品では扱っていないため、生地を選んで作りました。しかもそうした声が少ないのか、生地もごく限られたものになりました。更に厳しい注文は受け付けてもらえず、出来上がってきたものは、スーパーサイズの浴衣になりました。
それも洗濯を繰り返しすれば、やや小さめになるのでしょうが、細かい注文に答えていくのは、そう簡単ではないと痛感しました。簡単でないからこそ、拘って仕入れる意味が出ても来るのでしょうか。今年の夏前、売店にも久しぶりに新しい商品を入れました。墨の雑貨とハーブのローションです。墨の雑貨は、旧式なお部屋に寛ぎの空間をと取り入れたものです。触っても良しお部屋のアクセントとして、また湿気や臭いとりにしていただけるものです。墨の雑貨では、私は備長炭の携帯ストラップが気に入っています。
       http://www.monya.co.jp/kodawari/zakka.html
ハーブのローションは、地元のハーブ園で取れたハーブとお水だけを使用して作られたローションです。そのローションを作っている方は、もともと地元の同人誌を発行なさっている方で、たまたま私にインタビューをしたいとお越しになったのです。ご挨拶としてご自分で作っていらっしゃるものをお土産としていただいたのです。
試しに使用してみたところ、大変使い心地がよく、気に入りました。そこで早速紋屋の売店においてみることにしました。種類は6種類、紋屋では、レモングラス・ラベンダー・ローズヒップ・ローズマリー・どくだみの5種類をそろえました。ものによって多少の効用に違いがありますが、お風呂上りの体にたっぷりスプレーでき、非常に爽快です。
効能は、整肌、虫よけ、抗炎、抗菌、髪のトリートメント、虫刺され、やけど、切り傷、にきび、鎮静、美白というものです。化粧品ではありませんが、私のようにアレルギーがあって、ゴム製品や、汗、化学繊維にかぶれ易い人でも、そのかぶれが治り易くなるように思いました。ローズヒップは、確かに肌が白くなるような気がしましたし、ローズマリーも髪のトリートメントやかぶれに効きます。どくだみも少しすーっとして肌が痒い時にいいです。地元の方が作っていて、全国では販売していないというのもいいですね。自分自身で作った売店ポップを飾ると、こんな些細なことなのですが、何やら嬉しくなります。今年の夏に間に合わなかったおもてなしもあります。リサーチに時間がかかり、なかなかいいものが見つからないこともあるのです。時間をかけ探して行きます。これからもいつもアンテナを立てて、皆様に喜んでいただけるおもてなし作りを考えます。どうか良いヒントをいただけますように。
こうして、自分自身が気に入ったものを取り揃え、又お客様からヒントを戴きそれをおもてなしとして取り入れていく。そうした喜びは心に灯る小さな灯火のようです。これからも、この灯火をもっと更に温かくともせるように、いつも新しいなにかに挑んでいきたいと思います。・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
◆素顔の女将◆
家内は、「あなたと結婚したころ買ったこの枕、私の首に合わないのが判ったの」と言う。それが判るまで6年もかかったんだぁ~。鈍....いや、何でもない。(笑) (by aruji)

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